ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

「夏の庭2022」展、始まる(2)

2022年08月02日 | 游文舎企画


「輪廻転生」深澤三枝子

「稲穂」という見慣れた素材が、シンプルで堅実な形態把握によって力強く美しく生まれ変わります。自然に接し、地に足を付け、確かな技術力で、自分にしか出来ないものを作り続けることが、実は世界の動きに鋭敏に反応していることに気付かされます。



「赤ふんベローン」関根哲男

関根さんは野外アートの申し子と言っていいかもしれません。目も鼻もないのに表情豊かで愛嬌があってちょっと卑猥でユーモラスで、これはもう関根さんの独壇場。場の空気をあっという間に変えてしまう強烈な作品です。



「おとぎばなし」田端優子

山梨県にアトリエを構える田端さんは「時流を漂い あてなく楽しい旅をする 歌いながら 笑いながら」とコメントを寄せていますが、何か強く主張するよりそれは意外に難しいものではないでしょうか。静かに向き合い、流れに身を任せていたい、そんな優しさが伝わってくる作品です。



「バオバブ(止まり木)」荻野弘一

シャープな切れ込みとなめらかなフォルム―石彫のイメージとはちょっと違う軽やかさを感じます。こちらも田端さん同様、「時にはゆったりした時間を過ごして下さい」とのメッセージ。止まり木に止まった鳥たちは、でも、鋭く人間世界を見抜いているよう。
(作品紹介 続く)