ギャラリーと図書室の一隅で

読んで、観て、聴いて、書く。游文舎企画委員の日々の雑感や読書ノート。

「夏の庭2022」展、始まる(1)

2022年08月01日 | 游文舎企画


今年も「夏の庭2022」が始まりました。広い芝生は緑の絨毯となり、青い空に入道雲、灼けるような暑さに負けず、個性豊かな作品が並びました。連年開催で3回目となる今年、庭も作品を待っているかのように、年々調和してきているように感じます。初日にはアーティストトーク、ダンス、即興演奏も行われ、炎暑にも拘わらず多くの方が訪れて下さいました。作家の皆様、ご高覧くださった皆様、ありがとうございました。
この後14日3時まで開催いたします(会期中無休)。ぜひお出かけ下さい。




「再生―circle」霜鳥健二  



「パイロンⅣ・カテドラル」星野健司




「鉄入道」杉崎那朗

入口付近に鉄の重量級の作品が3点並びます。鉄と緑の自然がこれほど調和することに驚かされます。同じ素材を使いながらそれぞれ独自の技法・作風を追求する三様の作品を比較しながら見るのも一興です。
シャープで洗練された形態が特徴の霜鳥さんの作品は、半年がかりでまるで植物を育てるように「育てた」という錆がとても印象的で魅力的です。円環状に並べることによって「再生・循環」を表現しています。とても豊かで大きな拡がりを感じさせます。
一方の星野さんも抽象的な作品ですが、拡がりではなく、直立した上方への志向を感じさせます。「パイロン」は「標識塔」を意味しますが、平原に屹立する彫刻作品になぞらえます。中央に挟み込まれた円筒がどこか人間の顔を連想させます。自身の幻視の世界「不可思議の森」に棲息する精霊でもあるのです。
杉崎さんは高さが2m20cmの大作。力強いフォルムと異様なほどのぶつぶつした表面感が見る人を引きつけてやみません。半年がかりの労作で「畳一枚分の鉄板4枚分、アーク溶接」にて制作したとのこと。鉄の表面を全て溶接で埋め尽くすことでもこもこしてきたので「入道」というタイトルにしたそうです。今展参加者中最年少、溶接の技術を磨き、工業的な技術と造形的な感覚との融合を目指しています。(作品紹介 続く)

お知らせ
茅原登喜子さんは8月7日午後5時頃より公開展示を行います。
8月7日午後4時半~  6時半~     即興 遊観遊音
8月7日午後7時半~  コンテンポラリーダンス 丹羽洋子