60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

春の一日

2009年03月17日 08時32分04秒 | Weblog
先週の土曜日は冷たい雨と風が舞った。明けて日曜日は久々の晴天である。
会社の事務の女性から映画「ホノカア・ボーイ」が良いらしい、と聞いたので観に行くことにする。
恵比寿ガーデンプレイスにある映画館で上映していたので、久々に恵比寿まで足を伸ばしてみた。
ガーデンプレイスは歩道や広場が広く、建物はレンガ色が基調で落ち着いた雰囲気である。
花壇には春の花が咲き乱れ、春の暖かな日差しがさして、まばゆいばかりである。
老夫婦が散歩し、恋人同士がベンチに座って語らう、買い物客が携帯で写真を撮っている。
「ああぁ~、やっと春が来たのだ」大きく伸びをしたくなるような天気である。

旧暦では1月・2月・3月が春である。(新暦に直すとだいたい半月ずれるようだ)
社会通念や気象学的には3月・4月・5月が春という分類になるのであろう。
しかし、私が春を感じるのはまず、視覚的には菜の花の黄色を見た時であろうか。
そして本当に春になったと体が実感するのは気温が15度を維持するようになった時である。
冬の寒さからの緊張感がほぐれ、安心して体を大気にゆだねられる温度だからであろう。

映画の「ホノカア・ボーイ」、恋に破れた青年(岡田将生)がハワイ島の北部にあるホノカア村に来る。
彼はこの村唯一の映画館で助手として働き始めたのだが、そこで風変りな日系のおばあちゃん
(倍賞千恵子)と出会う。以来その青年はおばあちゃんの作る美味しいゴハンを毎日ごちそうになる。
毎日毎日、一品一品、愛情をこめて作って食べさせてくれるゴハン、美味しくないわけがない。
ハワイののびやかな舞台で展開される、のんびり流れる時間と空気とを切り取ったような美しい映像。
特段のストーリーがあるわけでなく、日常の出来事をそれぞれが受け入れ淡々とした営みを映す。
優しく温かい町の人々との生活、おいしいご飯、かわいい女の子への恋心、そんな毎日の積み重ね。
何でもない「普通」を楽しむことの大切さを教えてくれる。なんとも幸せな気分に浸れる映画でもある。

恵比寿ガーデンの落ち着いた雰囲気、美味しいパンとコーヒー、暖かな日差し、心地良い映画、
「今を楽しむ」為に、たまにはこんな穏やかな1日があってもいいように思う。