親会社にいるMさんが腰痛で休んでいる。
先々週の金曜日、椅子から立ち上がったはずみに、腰に激痛が走って動けなくなったという。
一週間休んで一旦会社に出社したが、仕事には耐えられず早退した。もう今日で2週間になる。
彼は昔、野球をやっていてフェンスに激突した。それか原因か腰に違和感を持つようになったという。
社会人になって1度だけ腰痛で休んだことがあるが、それ以来特に問題はなかったようだ。
今回こんな状況になったのは20年ぶりで、何が原因かも思い当らず、何の予兆もなかったという。
地元の病院へ行ったが「椎間板ヘルニア」ということで、「安静にして置くしかない」と言われたようだ。
Mさんの状況から以前NHKのTV番組でやった「病の起源 腰痛」というのを思い出した。
今8割もの人が一生に一度は患うと言われる腰痛、何が原因なのか?そんな番組であった。
古代シリアの遺跡から出土する変形した腰骨は昔から腰痛に苦しんでいたことを示している。
腰痛は、人間が二足歩行を始めたための宿命なのか?構造的欠陥なのではないか?
しかしアフリカで今なお狩猟採集の生活を送っているハザ族には腰痛は見つからないという。
そんなことから腰痛は、人間が農耕を始めて以降、急速に増えたと考えられている。
原因として考えられているのは、10代のときから始まる椎間板の劣化であるらしい。
椎間板は、歩くことなどによって適度の圧力が加わるぶんには、劣化が進みにくいが、
過度の圧力が加われば、劣化は進んでしまう。劣化が進めば、椎間板の周辺部にまで
損傷が広がり、様々なタイプの腰痛を生んでしまう。
だから人間が腰に弱点を抱えていることはある意味仕方のないことだという。
今、骨にも椎間板にも異常が見られないにもかかわらず激しい腰の痛みを訴えるケース
が問題になっている。患者は、原因が分からないまま様々な治療を放浪することになる。
最近、その現代の腰痛を引き起こす意外な原因が明らかになってきたそうだ。
それは痛みは腰ではなく脳の中で作られて、その大きな原因はストレスと考えられている。
ストレスがどのようなメカニズムで人の弱点の腰を襲うのか、今その解明がなされつつある。
専門医の話では原因がわかっている腰痛は全体の20%で、残り80%は不明であるという。
そして検証を進めるうちに、ストレスが、その要因として大きくクローズアップされてきた。
(福島医大の調査では腰痛患者の3割に心の問題があるという)
まず精神的ストレスがかかることで椎骨周囲の起立筋(等の筋肉)は緊張状態を起こす。
その緊張は起立筋に均等ではなく一方だけに負荷がかかった場合、体のバランスを壊す。
そのアンバランスが骨格を引っ張り、骨格にゆがみを生じさせる。
そしてそのゆがみの支点に強い緊張を生み、ピークを越えると「一部骨格のズレ」を生じて
「ヘルニア」などの障害を発生させやすくする。
筋肉的に強い緊張が出ている箇所は「痛み(筋肉痛や凝り」として発現するのだと考えられる。
ストレスに晒されている現代人にとっては避けては通れないものだといわれている。
腰痛に限らず筋肉は腰だけでなく肩にも首にも足にも身体全体を包んでいるから、肩こり・
首のコリ、手足の諸症状がストレスが原因でもおかしくない。
番組では、これらの腰痛を心療内科医とのコラボによって、心の有り様を変え緊張を軽減し、
結果的に腰痛などの障害を取り除く試みがなされていると結んでいた。
今回のMさんの病欠、特に腰に負担がかかる仕事ではないため、多分にストレスが原因と思われる。
彼は中途入社の2年目、今会社の中でデリバリーの仕事をしている。46歳である。
会社は印刷関係の仕事が主なためデリバリーは業務の要でもある。1日何十アイテムをそれぞれの
フィルムの構成に合わせて原紙の手配から、印刷、ラミネート、製袋のスケジュールの組み立てまで、
ユーザーの希望納期に合わせて工程を組み、納期管理をしていく。短納期の商品が押し込まれたり、
予定納期からの急な変更があれば組み立てた工程を全て変更していかなければならない。
お客さんの希望通りに納めて当たり前、遅れればMさんの仕事の要領の悪さを指摘される。
自分たちの都合を言い張る得意先、無責任な営業、無理解な経営者、その中での業務の遂行は
やりきれない理不尽さと、頑張っても評価のない虚しさの中で仕事をしなけらばいけない部署である。
彼はもともとはお菓子メーカーの工場に勤務していたが、上司と喧嘩して辞め、今の会社に来た。
路頭に迷った時の不安や絶望感から「もう転職は絶対嫌だ!」という気持ちが強く働いたという。
そのためか今の職場ではどんな理不尽なことにも、じっと我慢し耐え忍んでいるように見える。
この会社では戦わず従順な態度が見てとれると、皆な仕事を押しつけて来るのが社風のようである。
オーナー自身が自社の環境を例えて「うちの会社はサファリーパークのように放し飼いだから」と言う。
統率されず管理されない野放図な職場の中ではどうしても強い(声のでかい)ものが優位に立つ。
今回のMさんの病欠は多分にこのような環境の中でストレスを溜め、臨界に達したのかもしれない。
この過密で激変する現代社会を生きて行く上で「ストレス」は避けては通れない。
加えて過度のストレスの掛かる職種で働かなければいけなくなったとき、当人としてどうするか?
じっと耐えて我慢しているだけでは早晩破たんをきたし、自分が壊れていくことは目に見えている。
それをどうかわし、どうこなし、改善していくのか、現代に生きていく上で最大の課題かもしれない。
Mさんを見ていると、誰かがそれを取り除いてくれることを期待しつつ、じっと耐えているように思う。
現状を会社(オーナー)に訴え、自らも周りの環境や仕事の改善を行っていく勇気が必要なのだろう。
Mさんの仕事は会社の要である。今回の病欠を会社も本人も真剣に受けとめ改善しない限り、
また一人、サファリーパークの中で犠牲者を作ることになるだろう。
先々週の金曜日、椅子から立ち上がったはずみに、腰に激痛が走って動けなくなったという。
一週間休んで一旦会社に出社したが、仕事には耐えられず早退した。もう今日で2週間になる。
彼は昔、野球をやっていてフェンスに激突した。それか原因か腰に違和感を持つようになったという。
社会人になって1度だけ腰痛で休んだことがあるが、それ以来特に問題はなかったようだ。
今回こんな状況になったのは20年ぶりで、何が原因かも思い当らず、何の予兆もなかったという。
地元の病院へ行ったが「椎間板ヘルニア」ということで、「安静にして置くしかない」と言われたようだ。
Mさんの状況から以前NHKのTV番組でやった「病の起源 腰痛」というのを思い出した。
今8割もの人が一生に一度は患うと言われる腰痛、何が原因なのか?そんな番組であった。
古代シリアの遺跡から出土する変形した腰骨は昔から腰痛に苦しんでいたことを示している。
腰痛は、人間が二足歩行を始めたための宿命なのか?構造的欠陥なのではないか?
しかしアフリカで今なお狩猟採集の生活を送っているハザ族には腰痛は見つからないという。
そんなことから腰痛は、人間が農耕を始めて以降、急速に増えたと考えられている。
原因として考えられているのは、10代のときから始まる椎間板の劣化であるらしい。
椎間板は、歩くことなどによって適度の圧力が加わるぶんには、劣化が進みにくいが、
過度の圧力が加われば、劣化は進んでしまう。劣化が進めば、椎間板の周辺部にまで
損傷が広がり、様々なタイプの腰痛を生んでしまう。
だから人間が腰に弱点を抱えていることはある意味仕方のないことだという。
今、骨にも椎間板にも異常が見られないにもかかわらず激しい腰の痛みを訴えるケース
が問題になっている。患者は、原因が分からないまま様々な治療を放浪することになる。
最近、その現代の腰痛を引き起こす意外な原因が明らかになってきたそうだ。
それは痛みは腰ではなく脳の中で作られて、その大きな原因はストレスと考えられている。
ストレスがどのようなメカニズムで人の弱点の腰を襲うのか、今その解明がなされつつある。
専門医の話では原因がわかっている腰痛は全体の20%で、残り80%は不明であるという。
そして検証を進めるうちに、ストレスが、その要因として大きくクローズアップされてきた。
(福島医大の調査では腰痛患者の3割に心の問題があるという)
まず精神的ストレスがかかることで椎骨周囲の起立筋(等の筋肉)は緊張状態を起こす。
その緊張は起立筋に均等ではなく一方だけに負荷がかかった場合、体のバランスを壊す。
そのアンバランスが骨格を引っ張り、骨格にゆがみを生じさせる。
そしてそのゆがみの支点に強い緊張を生み、ピークを越えると「一部骨格のズレ」を生じて
「ヘルニア」などの障害を発生させやすくする。
筋肉的に強い緊張が出ている箇所は「痛み(筋肉痛や凝り」として発現するのだと考えられる。
ストレスに晒されている現代人にとっては避けては通れないものだといわれている。
腰痛に限らず筋肉は腰だけでなく肩にも首にも足にも身体全体を包んでいるから、肩こり・
首のコリ、手足の諸症状がストレスが原因でもおかしくない。
番組では、これらの腰痛を心療内科医とのコラボによって、心の有り様を変え緊張を軽減し、
結果的に腰痛などの障害を取り除く試みがなされていると結んでいた。
今回のMさんの病欠、特に腰に負担がかかる仕事ではないため、多分にストレスが原因と思われる。
彼は中途入社の2年目、今会社の中でデリバリーの仕事をしている。46歳である。
会社は印刷関係の仕事が主なためデリバリーは業務の要でもある。1日何十アイテムをそれぞれの
フィルムの構成に合わせて原紙の手配から、印刷、ラミネート、製袋のスケジュールの組み立てまで、
ユーザーの希望納期に合わせて工程を組み、納期管理をしていく。短納期の商品が押し込まれたり、
予定納期からの急な変更があれば組み立てた工程を全て変更していかなければならない。
お客さんの希望通りに納めて当たり前、遅れればMさんの仕事の要領の悪さを指摘される。
自分たちの都合を言い張る得意先、無責任な営業、無理解な経営者、その中での業務の遂行は
やりきれない理不尽さと、頑張っても評価のない虚しさの中で仕事をしなけらばいけない部署である。
彼はもともとはお菓子メーカーの工場に勤務していたが、上司と喧嘩して辞め、今の会社に来た。
路頭に迷った時の不安や絶望感から「もう転職は絶対嫌だ!」という気持ちが強く働いたという。
そのためか今の職場ではどんな理不尽なことにも、じっと我慢し耐え忍んでいるように見える。
この会社では戦わず従順な態度が見てとれると、皆な仕事を押しつけて来るのが社風のようである。
オーナー自身が自社の環境を例えて「うちの会社はサファリーパークのように放し飼いだから」と言う。
統率されず管理されない野放図な職場の中ではどうしても強い(声のでかい)ものが優位に立つ。
今回のMさんの病欠は多分にこのような環境の中でストレスを溜め、臨界に達したのかもしれない。
この過密で激変する現代社会を生きて行く上で「ストレス」は避けては通れない。
加えて過度のストレスの掛かる職種で働かなければいけなくなったとき、当人としてどうするか?
じっと耐えて我慢しているだけでは早晩破たんをきたし、自分が壊れていくことは目に見えている。
それをどうかわし、どうこなし、改善していくのか、現代に生きていく上で最大の課題かもしれない。
Mさんを見ていると、誰かがそれを取り除いてくれることを期待しつつ、じっと耐えているように思う。
現状を会社(オーナー)に訴え、自らも周りの環境や仕事の改善を行っていく勇気が必要なのだろう。
Mさんの仕事は会社の要である。今回の病欠を会社も本人も真剣に受けとめ改善しない限り、
また一人、サファリーパークの中で犠牲者を作ることになるだろう。