羽ばたき飛行機製作工房

小型羽ばたき機(オーニソプター、Ornithopter、Flapping Wing)専門の研究開発サイトです

iPhlyその後のテスト状況について

2011-11-27 22:15:24 | 製作記事(羽ばたき機以外)

11/13の記事「iPhly(iPhone/iPod Touchで羽ばたき機をコントロール)」で、iPhlyを利用してiPhone/iPod TouchとJRのDSM2対応送信モジュールを接続し、2.4GHzのラジコン操縦を行えるようにしたことを紹介した。
11/20には第81回IAC-ASO飛行会でこのiPhlyコントローラによる羽ばたき機の操縦テストを行い、好結果を収めている(こちらの動画を参照)。
iPhlyの標準仕様では、iPhone/iPod TouchとiPhly本体はオーディオケーブルによる有線接続となっている。しかし、できることならかさばるiPhly本体+送信モジュールはかばんの中にでも隠して、iPhone/iPod Touchだけでスマートに操縦したい。というわけで、iPhlyのワイヤレス化に取り組んだ。
使用したのは、iPhone/iPod TouchなどBluetooth対応機器用のアクセサリとして販売されているワイヤレスヘッドホンアンプ。市価は3,000円前後。下図のように接続する。



結果はというと、当記事執筆時点ではまだ部分的にしか成功していない。この状態ではスロットルのみがコントロール可能で、他のチャンネルは全くだめ(サーボもアクチュエータも)。どうも出力されているシグナルが弱すぎる(出力電圧でみて有線時の1/8程度)ため、音声CODECによるシグナル波形の乱れをノイズとして拾ってしまうらしい。オペアンプの増幅倍率をあげてみたが(出力電圧アップ)、乱れた波形のまま増幅されるようで、状況は改善しなかった。ちなみに、このワイヤレスアンプはそれ自体が反転増幅回路になっている模様で、iPhlyのシグナル極性を逆転させないと出力波形の向きが有線時と合わない。
ヘッドホンアンプをより高級なものに交換することで音質を改善し、ひいてはPPMシグナルの波形をより忠実に転送することで、他のチャンネルのコントロールも可能になるのではないかという期待もあるが、さらなる出費となるため、ダメ元でトライするかどうか思案中。
なお、言い添えると、FMS(Flying Model Simulator)2.0は、このワイヤレス状態でちゃんとコントロールできるのが不思議なところ。

2011/11/28追記:
性懲りもなくその後も実験を続けていて気がついた。iPhone/iPod TouchとiPhly本体を有線接続している状態でも、ワイヤレスアンプを電源オンにすると、受信側を正常にコントロールできなくなる。つまり、ワイヤレスアンプの通信と、TD2.4LPモジュールの通信が干渉している。ワイヤレスアップを介した無線接続の場合に2チャンネル目以降をコントロールできなかったのは、PPMシグナルの弱さや波形の乱れではなく、ワイヤレスアンプ自体が行っている通信のためである可能性が高い。
メーカ情報では、通信にTD2.4LPモジュールはDSM2方式、ワイヤレスアンプ(LBT-AVAR120)はFHSS方式を使っているとのこと。DSM2方式はより一般的にはDirect Sequence Spread Spectrum (DSSS)と呼ばれる方式の一種だそうだが、Frequency Hopping Spread Spectrum (FHSS)方式とは互換性がないと思っていたので、同じPPMシグナルを乗せているとはいえ、干渉が起こるのは意外だった。
それではiPhone/iPod TouchとiPhly本体の間をFMトランシーバで結ぶか?そこまで行くともう何をやっているかわからなくなるので、本件はこの辺にしておこうと思っている。


Double Triangle 2X 改良

2011-11-26 13:21:02 | 製作記事(羽ばたき機)

先日のIAC-ASO飛行会にて、ピッチング方向の姿勢制御に課題があることがわかったので、帰還後、2サーボのエレボン仕様に改良した。使用したサーボはSpektrumの1.5gサーボAS2000。購入後出番がなかったがようやく日の目を見た。受信機もDT RX34に換装している。



近所の空き地で飛行テストを行ったところ、飛行性能の顕著な改善が確認できた。
Blade mSR送信機、iPhlyともエレボンmix機能をもたないため、手持ちのT6EXA送信機とTD2.4LPモジュールを、Aerobaticsさんのブログを参考に製作したFutaba-JR変換アダプタを介して連結し、操縦している。







全備重量は何やかやで18.5gと、製作当初に比べ約2gほど増加。

       機体スペック
全幅               1000mm
全長                 500mm
飛行重量             18.5g
(50mAhLi-po電池含む)
  製作年月  2011年11月

 


iPhly(iPhone/iPod Touchで羽ばたき機をコントロール)

2011-11-13 18:57:05 | 製作記事(羽ばたき機以外)

このところ日本でも急速にスマートフォンの普及が進んでいる。スマートフォンには、モバイルユースを想定したさまざまなアプリをインストールして利用することができる。スマートフォンは、カメラ、GPS、加速度センサなどさまざまな機能を内蔵しており、これらの機能をうまく利用したアプリも続々登場している。
iPhlyはそんなアプリの一つ。iPhoneやiPod TouchをスマートなRC送信機に変身させる魅力的な製品である。iPhlyはApp Storeで無料でダウンロードすることができるソフトウェアと、購入もしくは自作が可能なハードウェアで構成されている。詳しいことは開発者のサイト(英文)や、国内ではYSFCのブログで栗田さんがすでに詳しく紹介されているので参照のこと。



海外のショップで販売されている製品版のハードウェアは、FUTABAタイプのモジュールと組み合わせる仕様になっているため、そのままではJRタイプのモジュールは使用できない。開発者のサイトでは、ハードウェアは自作も大いに結構と奨励されているので、先日購入したJRのDSM2低電力2.4GHz送信モジュールと組み合わせて使用すべく、ハードウェアの自作にふみきった。

試行錯誤があったものの、開発者サイトで公開されている回路図や、としちゃん、kobaraさん、Aerobaticsさんなど先人のブログ記事を参考に、ようやく作動する状態までこぎつけることができた。JRのPPM信号はFUTABAとはチャンネルの並び順が異なっている他、信号の高低(ポジティブ/ネガティブ)が逆なので、上記の回路図そのままでは動かない点に注意(ここでしばらく悪戦苦闘した)。上記の回路図と同じページに掲載されているDIY Trainer Cordの回路をはさみこむことで、信号を逆転させ、JRモジュールが理解できるように変換している。

自作した回路を、単三6本用の電池ボックスといっしょにコンパクトなプラスチックケースに格納し、前面パネルには送信モジュールをはめ込めるようにした。iPhone/iPod Touchとは3.5ミリジャック付きのオーディオケーブルで接続する。裏面にiPhone/iPod Touchをくくりつけて手持ちの送信機として使うこともできるし、長めのケーブルでiPhone/iPod Touchとは離して卓上の送信モジュールとして使うこともできる。ただしオーディオケーブルの取り回しがやっかいなので、iPhone/iPod Touchが内蔵しているBluetoothを利用して、ワイアレス化にもトライしてみる予定。受信側にはBluetoothイヤフォンの流用を考えている。



来月開催されるMake: Tokyo Meeting 07で、このシステムを使用して羽ばたき飛行機を操縦するデモンストレーションを行う予定。