今週のgizmag誌オンライン版にアップされた記事によれば、米North Carolina State Universityの研究チームが、本物のコウモリのように羽ばたいて飛ぶロボットコウモリを完成間近とのことである(大学サイトのニュースリリース)。
MAV(Micro Aerial Vehicle)もしくはNAV(Nano Air Vehicle)のジャンルにおける羽ばたき飛行方式のアドバンテージについては内外で広く認識されており、先日も米Aerovironment社のハチドリ型マイクロ羽ばたき機開発プロジェクトに対して、DARPAが210万ドルの研究費助成を決定したことが報道されたばかりである。
2枚の羽ばたき翼のみで(尾翼などの空力装置なしで)安定したホバリングを達成したAerovironment社の研究成果も注目に値するが、今回のロボットコウモリには、さらに驚くべき新技術が投入されている模様。上記の記事によれば、試作機は広範な可動範囲をもたらす形状記憶合金製の骨格をもち、また同じ形状記憶合金を髪の毛のように細く加工して、羽ばたき翼を駆動する人工筋肉としても利用しているとのこと。
これらのアイディアが実際に機能するなら、羽ばたき機開発の歴史における巨大な前進になるだろう。詳報が待たれる。
日本の超小型室内飛行機の水準は世界的に見ても相当高いが、海外には突出した技術で容易に追随できないレベルを達成している愛好家がいて、ネットで盛んに情報発信を続けている。その中でもその作品と共に名を知られた一人が、今回紹介するAngry_Monk氏。おもにインターネットのRCGroups-Indoor and Micro Modelsフォーラムで、以前から素晴らしい超小型機を発表している(最軽量機は0.39グラム!)。そのMonk氏が、数ヶ月前から超小型羽ばたき機に取り組み始めた。どうも当ブログ管理人が昨年発表した同種の機体についての記事もチェックしていて、これを上回る機体の製作をめざしている模様である。当初は固定翼機と勝手が違って苦労していたようだが、ここにきて、ついにブレークスルーともいえる飛行重量1グラム未満の羽ばたき機の開発に成功したとのこと。同フォーラムで、詳細な記事を発表している。機体の全体的なフォーマットは先行するオランダDelFlyチームのDelFly Microや、これを参考にした当方の機体デザインと同様だが、得意の超軽量コンストラクションに加え、自作のマイクロブラシレスモータを搭載するなど、独自の特徴も有している。何よりも初の1グラム切り!画期的な成果であり、脱帽といわざるを得ない。飛行シーンの動画アップは来週以降になるとのことだが、発表が切に待たれるところである。
2009/07/12追記:
この機体はちゃんと上昇飛行できるのか?実際のところ半信半疑だったが、数日前、作者による飛行テストシーンの動画がついにアップされたのを見て納得。実に安定した飛行を1分以上にわたって見せてくれている。これは心底参りました。
フォーラムにおける作者の書き込みを見ると、やはりマイクロブラシレスモータのパワーが成功の鍵になっている模様。モータの詳細なスペックも公開されているので、がんばって追試してみるのもいいかも知れない。
「Flapping Wings」は、世界で最も充実した羽ばたき機専門ウェブサイトThe Ornithopter Zoneを主宰するNathan Chronister氏が発行している、羽ばたき機関係専門の英文ニュースレターです。その最新号となるSpring 2008 issueがこのほど発行されましたが、目次に注目→
・Ornithopter experiments of Indoor Airplane Club, Aso, Japan.
・"Twister" tandem RC ornithopter by Yusuke Takahashi.
・New reaction design from Dick Quermann.
・Tumbling pigeons.
何と巻頭で、我らがIAC-ASOにおけるインドア羽ばたき機実験の数々を大特集!
第2特集では、製作者自らの寄稿による、タンデム羽ばたき機ツイスターの詳細解説!
とまあ、実に5ページを割いて、当方の羽ばたき機を紹介してくれています。うれしいことですね。
すでに国際的にも注目されているIAC-ASOの活動ですが、あらためて、後世に残る印刷物の形で世に出ることには感慨ひとしおです。我々の活動について、言葉の壁を超えて、さらに多くのファンに知ってもらえることを願います。
なお、「Flapping Wings」は年4回発行。購読料は年間$12.95(日本を含む海外ではさらに$4+が加算されるとのこと)。
これには目からウロコが何枚も落ちた感じであった。その後、自分で再現しようと思っても全然再現できないので、いったいどうなってるんだろう???と疑問の日々だったが・・
おおっ、あの東大で、無尾翼羽ばたき機が研究されている!→論文
なるほど~こうやればいいのか~って、読んでも全然わからないぞ?辛うじて、空力中心が翼前縁から30%がベスト、ってことだけ読み取れた。あんまり頭上げでもいけないんだなふむふむ。いつかトライしてみよう。
・・・とこの当時は夢だった無尾翼羽ばたき機が、1年後にはフツウに飛び回っているとは思いもしなかった。羽ばたき機の進化は速い。