ⅲ)-1 人口動態
前回(7)において、最近のトゥヴァルへの人口移動に触れたが、もちろんそれはほとんどが短期渡航である。ちなみに、Tuvalu Central Statistics Divisionの調査によると、1995年度は922人だったが、2001年、2002年、2003年について見ると、それぞれ976人、1236人、1496人と急増している。この時期、台湾からの投資もあってトゥヴァルの総合庁舎が建設されていた時期で、多くの外国人がトゥヴァル、特にフナフティに渡来する外国人が多くいたこと
確かである。そのため、首都フナフティの人口が一時的にせよ集中的に増加した。
2002年の『センサス』に依拠すると、都市人口は46.98%、地方(農村)人口は53.02%、トゥヴァルにおける都市とは、フナフティ島を指している。フナフティ島の人口が4,492人である。フナフティ島を除く8島の人口が地方人口と呼ばれている。その合計は5,069人である。
次に、男女比率は女性1に対して男性は0.98、女性は1.02である。合計特殊出生率は、3.7人、粗出生率27.1人(千人当り)、粗死亡率9.9人(千人当り)、出生時平均余命(出生した時点で算定される平均余命)63.6歳である。以上の数値は何れも2002年「人口調査」によるものである。粗出生率および粗死亡率について世界の数値と比較してみると、下記の通りである。
《トゥヴァル及び主要地域の主な人口指標》
①1995-2000年の平均的な人口成長率:トゥヴァルの場合(0.52%)、オセアニアの平均(1.29%)、先進地域の平均(0.27%)、発展途上地域の平均(1.59%)
②粗出生率(通常、人口1000人当たり出生数を指す。これは「普通出生率または粗出生率」(crude birth rate、CBR)と定義されている。)2002年トゥヴァル:27.1(トゥヴァル政府センサスによる)、なおWHO世界保健統計2015年版によると、同国の2013年の粗出生率は、23.6で世界の70位である。ちなみに、日本は8.4で世界の192位、スイスは10.4で世界の171位である。もっとも粗出生率の高い国はニジェールの49.7、2位がマリの47.1、3位がチャドの45.9である。いきなり、粗出生率が27.1と出されると驚くが、以上の解説をつけると、納得がいくと思う。WHOの世界保健統計は公表されているので、疑問に思う方は検索し確認されたい。
③合計特殊出生率:トゥヴァルは、2002年(センサス)3.7、オセアニアは2.38、先進地域の平均は1.57である。
④出生時の平均余命:トゥヴァル63.6、オセアニア73.8、先進地域の平均74.9、発展途上国の平均63.3である。
(注)トゥヴァルについては、2002年同国政府によるセンサス、それ以外のものは日本人口学会編『人口大事典』2002年版に依拠した。
ⅲ)-2 トゥヴァルの年齢別階層人口とその比率
(年齢) (人)(%)
00-04:1179、12.3
05-09:1201、12.6
10-14:1079、11.3
15-19:0825、08.6
20-24:0682、07.1
25-29:0524、05.5
30-34: 0545、05.7
35-39: 0684、07.2
40-44: 0697、07.3
45-49: 0580、06.1
50-54: 0467、04.9
55-59: 0275、02.9
60-64: 0280、02.9
65-69: 0207、02.2
70-74: 0167、01.7
75-79: 0101、01.1
80+ : 0068、00.7
ⅳ)南太平洋島嶼国の中でもトゥヴァルは過少人口国
日本の外務省の資料(「わかる!国勢情勢」)によると、トヴァルの人口はおよそ9,600人となっているが、この数字は同国の2002年の国勢調査(人口センサス)が基礎となっていると見て良い。PIF(太平洋諸国フォーラム)加盟諸国・地域統計の中では2006年と示されているが、トゥヴァルについては2002年のセンサスから引用されたものと見てよいと思われる。トゥヴァルの人々は、点在する小さな島で伝統的に自給自足の生活をしていた。芋類、ココナッツ、バナナ等の農産品、養豚、鶏卵等があり、1部では物々交換が今も行われるケースもある。漁(漁業)も行われているが、自分達で食べる分以外は漁をしない。
一方で、海外から食料の輸入が増加している。とくに、伝統的な食材への需要は減少している。特に耕作地の劣化が進んでいるため、プラカ(タロイモとほぼ同じ:下記の写真参照。)伝統的な作物の生産は次第に減ってきている。加えて、温暖化の影響とも言われているが、高潮による被害、例えば海水を被ることなどによって土壌の塩分濃度が高くなり、一部の耕作地ではプラカの生産が減少しているし、また若者の伝統作物に対する消費量も減っており、輸入に依存した消費行動を志向している。そのために、首都フナフティでは、コメやパスタ、そしてパンのような輸入しないと入手出来ない食品へ、消費者の需要が顕著に変化して来ている。
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