ナウマンゾウの絶滅原因を探る(8)
絶滅したナウマンゾウのはなし(第一話)
ゾウ類の起源をさぐる(その2)
3) 先史時代の日本列島にゾウ類が姿を現したのは1900万年前のことで、アネクテンスゾウと呼ばれる種類だそうです(高橋「日本のゾウ化石、その起源と移り変わり」、2013)。
1900万年前といわれましてもすぐさま合点出来ることではないのですが、高橋先生は「岐阜県可児郡御嵩(かにぐんみたけ)町中切の瑞浪層群平牧層から発見されたアネクテンスゾウ(Gomphotherium annectens)の上顎骨を基に、東北大学教授だった松本彦七郎(1887ー1975)が1924年に書いた論文「日本産マストドンの二種類(略報)」(『地質学雑誌』31、1924年)に掲載していますが、その後、同じ場所から下顎骨が発見されたことについて述べています。 それは、ナウマンゾウの名付け親でもある、当時、京都大学助教授だった槇山次郎(1896ー1986)が1938年に各地から集めたゾウの化石を独特の研究手法でJaponic Proboscidea(1938)としてまとめた、その中にも記載されています。
現在は、「槇山次郎博士記載標本」として、また「日本古生物標本横断データベース」としても利用されています。なお、岐阜県可児郡御嵩町産アネクテンスゾウの化石上顎骨と下顎骨は、その後の研究で同一個体のものであることが明らかになりました。
化石が発見されているゾウ類の中で、新第三紀鮮新世前期に日本列島に生息していたツダンスキーゾウ(Stegodon cf. zdanskyi)からアケボノゾウに至るステゴドン系統は、おそらくは中新世の終わり頃に中国大陸から日本列島に移動して来たと考えられます。
その後の氷期に海面が下がり陸橋が出来たことで渡来したと考えられますが、日本列島で環境に適応した放散を繰り返して進化したものと考えられます。敢えて、付け加えますと、ナウマンゾウが登場する前に日本列島に大陸から渡来し生息していたゾウ類は、何らかの原因で消え去っているわけです。
たとえば、短い期間でしたが、500年前頃から450万年頃までなんですが、センダイゾウと呼ばれるゾウが生息しており、ミエゾウと数十万年共存していた時期があったのではないか、と時系列的には考えられのですが、確たる裏付けではありません。
上述しました高橋論文(2013)では、日本のゾウ類の移り変わりを分り易く図解されています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます