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南太平洋島嶼国「トゥヴァル」について(19):中本博皓

2016年11月22日 08時50分46秒 | 島嶼諸国
南太平洋島嶼国「トゥヴァル」について(19)




(2)日本の援助  

ⅰ)日本の援助額
 これまでトゥヴァルに対する日本のODAの実績を振り返って見ると、オーストラリアやニュージーランドとともに大きな貢献を成してきた。援助の内容、中身を精査すると、トゥヴァルが海洋資源(水産資源及び鉱物資源)の開発に努力していること等を踏まえ、水産分野を中心に無償資金協力および技術協力を行ってきた。

最近の資金協力のうち2000年度についてみると、「離島漁村間連絡船建造計画」を実施するに案件に対して」、離島間における水産物を中心とする物資輸送にも援助している。また、無償資金協力では、主として「草の根」による無償資金協力が行われている。トゥヴァルに対する2001年度までの日本の援助は、以下のように無償資金協力は累計で47億9,950万円 、技術協力9億6,100万円を行ってきた1)。     

              2001年度     01年度までの累計 

  ①無償資金協力 :  7億1,900万円     47億9,950万円
  ②技術協力   :   6,700万円      9億6,100万円 


 2002年にも2400万円が無償供与されている。さらに2003年度には、民生環境分野の草の根無償資金協力として、①フナフティ国際空港化学消防車供与計画 (被供与団体:トゥヴァル警察、国の機関)に対して邦貨で 3,719,780円、② 通信運輸 離島港湾(ナヌメア島)荷役機械供与計画 (被供与団体:地方政府局、国の機関) に対して邦貨にして5,667,754 円、民生環境(ヌクラエラエ島)給水施設整備計画 (被供与団体:ヌクラエラエ島協議会、地方公共団体)対して邦貨で 8,917,712 円を供与している2)。

ⅱ)台湾の援助も大きい
太平洋島嶼国地域は、新しい独立国が多い。小島嶼国であっても、社会経済的に自立した国家の構築が急務である。トゥヴァルも典型的な国としては零細規模の経済であり、産業にしても農・漁業の一次産業に依存した自給自足的な経済であり、首都所在の島嶼と多くの離島が地理的に拡散して散在している。国際市場へのアクセスの困難性、地球温暖化による自然災害に対する脆弱性、海面上昇による国土水没の危機に直面しているなど、島嶼国に特有の共通的障害に直面している。それだけに多くの支援を必要としている。

中国大陸政府と難しい政治的葛藤・衝突を有する台北行政府(台湾)の主権を承認する国は、現在25か国ある。中南米の諸国、たとえば パナマ、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、エルサルバドル 等の14か国、アフリカにもガンビア、セネガル等8か国、そして太平洋島嶼国では5か国キリバス、ソロモン諸島、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国 そしてもう一つがトゥヴァルである。
 
台湾の行政院とトゥヴァル政府は非常に親密な関係にあり、2005年2月2日のラジオ・オーストラリアによると、台湾行政院はトゥヴァル政府に対し160万米ドルを寄贈したと伝えている。この台湾のグラントは特別なものではなく、毎年台湾行政院が外交関係を維持している太平洋島嶼諸国に援助している台湾「OAD」の一環であると見られている3)。

すでに述べたように、唯一の国営ホテル「バイアク・ラギ・ホテル」の建設も、2004年竣工した政府共同庁舎も台湾の資本援助と投資に大きく依存している。2005年1月27日から同31日にかけて、台湾の陳水扁総統は外交関係のある南太平洋のパラオとソロモン諸島を訪問し、両者相互の友好の絆を深めた。台湾の首脳が南太平洋島嶼国を訪問したのは初めてとのことである。この訪問の目的は、国交の維持と協力関係を確かめるとともに、地域相互の政治・経済関係の維持と発展を呼びかけることがねらいであったと見られている。

友好関係にあった台湾の支援を蹴って外交関係を断ち、新たに中国政府との外交関係を樹立したトンガ王国ではあるが、ビジネスの現場においてトンガ人と中国人商人との間で若干の軋轢も生じている。例えば、中国人に対して、嫌がらせがあったりすることもあると言うが、南の国で、のんびりしたせいかっの中で、商売を楽しむトンガ人と、金儲けを楽しむ中国人とでは所詮人生の価値観が違うから、トンガ人と中国人の間における軋轢はそう簡単に解消されるものではないだろう。トゥヴァルの場合は、台湾と友好関係を維持し、新合同庁舎の建設に見られたような大きな援助が台湾によって、これからも行われるならば、トゥヴァルにとって経済的には大きな拠り所となることは確かである。

  台湾は、資金援助だけでなく、医療使節団をトゥヴァルに派遣して、現地住民に対して医療サービスを提供する支援も行い、トゥヴァルの人々との友好関係を築いている。次のような情報もある。「台湾ICDF(International Cooperation and Development Fund:財団法人台湾国際合作発展基金)メディカルチームのメンバー6名が、2011年5月3日トゥヴァル入りし、同医療施設は、12日(火)までの1週間、首都のフナフチに滞在し、日本の援助で建てられたツバル唯一の総合病院であるプリンセスマーガレット病院において、トゥヴァルの人々の希望者を対象に各分野ごとに無料の治療を提供した」、と言われている。島嶼国にとっての援助は、ソフト面で行うことも日本を始め、多くの先進国に求められているように思われる。