五月五日
あやめぐさ ねながきいのち つげばこそ けふとしなれは ひとのひくらめ
あやめ草 根長き命 つげばこそ 今日としなれば 人の引くらめ
五月五日
あやめ草は根を長く伸ばして長い命を継いでいるから、あやめの節句の今日という日になれば、人々がそれにあやかって根を引くのであろう。
小松の長く伸びる根にあやかって長寿を願う「子の日(ねのび)」の行事を詠んだ歌が 003 などに見えますが、あやめ草の根を題材とした同種の願いの歌もこのあと幾度が登場します。ただこちらは貫之以外の歌人にはあまり見られない題材のようで、貫之独自の視点ということかもしれません。