漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 350

2024-03-31 05:59:26 | 貫之集

くれぬとて なかずなりぬる うぐひすの こゑのうちにや はるのへぬらむ

暮れぬとて 鳴かずなりぬる 鶯の 声のうちにや 春のへぬらむ

 

春が暮れてしまうと思って鳴かなくなった鶯の声と一緒に、春が去って行ってしまうのであるよ。

 

 第一句の「ぬ」は完了の助動詞。打消しの助動詞「ず」の連体形と同型で紛らわしいですが、ここでは前者。
 貫之は古今集 0312 では鹿の声ととも秋が暮れて行くと詠んでおり、同種の発想ですね。

 

ゆふづくよ をぐらのやまに なくしかの こゑのうちにや あきはくるらむ

夕月夜 をぐらの山に 鳴く鹿の 声のうちにや 秋は暮るらむ

(古今和歌集 巻第五「秋歌下」 第312番)



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