漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 236

2023-12-08 06:32:38 | 貫之集

女の菊の花見たるところ

おくしもの そめまがはせる きくのはな いづれをもとの いろとかはみむ

おく霜の 染めまがはせる 菊の花 いづれをもとの 色とかは見む

 

女が菊の花を見ているところ

菊の花に霜がおりて、紛らわしい色に染めたかのよう。どれをもともとの菊の花の色と見たら良いのだろうか。

 

 菊というと黄色い花の印象が強いですが、ここで詠まれているのはもちろん白い菊ですね。百人一首(第29番)にも採録された著名な古今和歌(巻第五「秋歌下」 第277番)が思い出されます。

 

こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな

心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花

 

凡河内躬恒