延喜十八年四月、東宮の御屏風、八首
桜の花のもとに人々のゐたるところ
かつみつつ あかずとおもふに さくらばな ちりなむのちぞ かねてこひしき
かつみつつ あかずと思ふに さくらばな 散りなむのちぞ かねて恋ひしき
延喜十八年(918年)四月、皇太子殿下に奉呈した屏風歌八首
桜の花のもとに人々がいるところ
桜の花を見ながら、いつまでも飽きることがないと思っているけれども、散ったあとはどんなに桜を恋しく思うだろうか。
「東宮」は第60代醍醐天皇の第二皇子保明親王のこと。わずか二歳で皇太子となりましたが、醍醐天皇より先に亡くなったため、即位することはありませんでした。