漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 094

2023-07-19 05:26:20 | 貫之集

池のほとりに藤の花のあるところ

いけみづに さきたるふぢの かぜふけば なみのうへにたつ なみかとぞみる

池水に 咲きたる藤の 風吹けば 波のうへに立つ 波かとぞ見る

 

池の水の上に咲く藤の花が風が吹くと揺れて、波の上に立つ波であるかのように見える。

 

 貫之歌で「池の水」「藤」と来れば、水面に映る藤の花を詠んだ歌かとおもいきや、水の上方で揺れる藤を波と見立てての詠歌でした。池の上に張り出すようにして咲き誇る藤を、さらにその上から見下ろしての構図でしょうか。