そこには愛がありましたとさ

2009-01-25 23:55:46 | Weblog
新首都の会へ。

出がけに笹井宏之さんの訃報を知る。
昨日原稿を書きながら、笹井さんのことを考えていた。どの歌をひくべきか悩んで、もう一度『ひとさらい』を読み返そうと思っていた。
直接的には、「未来賞」受賞を知らせる電話で一度だけ話した。「未来」の『ひとさらい』の書評を書いたことへのお礼のハガキをもらった。それだけの関わりでしかなかったけれど。

新首都の会は11人の参加。
I川さんが辛そうで、早退。近しかったひとには、あまりに突然すぎる早過ぎる死だったのだ。簡単に受け入れられることではない。終わったあとの飲み会で、sちゃんが「きょう歌会でよかった」と言った。ひとりで悲しんでいるよりも、笹井さんのことを語れるひとたちといられることのほうがいいと。


家に帰って、いろんなひとのいろんなかたちの追悼の日記を読んだ。今夜、あちこちで笹井さんの残した短歌を思っているひとがいる。それが一番の供養だろう。

愛します 眼鏡 くつひも ネクターの桃味 死んだあとのくるぶし
からすうりみたいな歌をうたうから すごい色になるまで、うたうから
拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません
この森で軍手を売って暮したい まちがえて図書館を建てたい
一生に一度ひらくという窓のむこう あなたは靴をそろえる
人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ    笹井宏之

きらきらした歌をありがとう、笹井さん。みんな、忘れないよ。