『富士日記』(下)

2009-01-24 23:30:40 | books
昨日、K高さんから「いつも食ったり飲んだりしてるなー」と言われてしまったので、たまには読んだ本のことも書く。本のことは、きちんと書きたいと思うとなかなか書けない。そう思っているうちに書くタイミングを逃したままになってしまう。何年も読書記録をつけていた昔のマメなわたしに戻りたい……。

やっと読み終えた『富士日記』。最後の下巻は切なかった、

言いつのって、武田を震え上るほど怒らせたり、暗い気分にさせたことがある。いいようのない眼付きに、私がおし黙ってしまったことがある。年々体のよわってゆく人のそばで、沢山食べ、沢山しゃべり、大きな声で笑い、庭を駈け上り駈け下り、気分の照り降りをそのままに暮していた丈夫な私は、何て粗野で鈍感な女だったろう。

我が儘で自分勝手で横暴なところもある武田泰淳に、献身的に仕えているように見える百合子だけれど、彼女の天真爛漫さが武田の支えだったのだろうなあ。武田に対する絶対的な信頼と尊敬の念が百合子をそうさせていたのかもしれないし、当時妻とはそういう役割だったのかもしれない。わたしだったら絶対耐えられない、と思ってしまうようなできごとがいくつもあった。
偉大な芸術家同士がパートナーでい続けることって、かなりの確率で無理だと思う。百合子だって武田が亡くなったことで、隠れた才能を見出されたのだから。まあ最近は夫婦の形態も変わって来ているし、例外もあるかもしれませんけどね。


でも、武田百合子面白かった。ほかのも読んでみようと思う。


きょうは部屋の掃除をして、毎度書きあぐねている原稿を三分の二くらい書いた。昨日U山くんたちと話したことがヒントになったものの、やはり書き始めてみると自分の考えがまとまらない。書いていて、すーっと考えも収束していくように感じる時と、さーっと散漫になっていく時とがある。散漫になっていく時は、熟成を待たなくてならない。まだ少し猶予はあるからじっくり考えよう。

明日の新首都の会の詠草を慌てて送る。歌も、熟成が必要なのだが。。。