『消え去ったアルベルチーヌ』

2008-07-22 23:03:19 | books
『失われた時を求めて』を通読したものは読まなくてはいけない、というので、読みましたよ。「逃げ去る女」の巻を大幅に削除し新たに加筆した、プルースト生前最後の原稿が和訳されたというものがこれ。

翻訳はとても読みやすくて、なんだかプルーストを読んでいる気がしなかった(それはわたしが井上究一訳に慣れきってしまったからか)。どこを削除しどう変わっているかについては、本書の後半にこと細かに記されているのだけれど、大きな削除はともかく、実際に自分の本と照らし合わせてみないとよくはわからない。まあわたしは研究者でもなんでもないので、そこまではしない。とはいえ、『失われた時を求めて』という作品が、実に複雑な成り立ちだということはよくわかる一冊。これは一回通読したからといって読んだということにはならないんですね。時折、好きな巻だけ読み直してみるとか、そういうことを繰り返すものなのだろう。名作というものは奥が深いのだ。


荻原裕幸さんの日記http://ogihara.cocolog-nifty.com/biscuit/で、『ギャザー』の中の一首

湖を背に歩き出すわたしたちendとand微妙に混ぜて

という歌が引用されていた。ありがたいことです。
懐かしい……。この歌が作られた背景はよく覚えている。マイルス・デイヴィスが死んだ翌年のMt.Fuji Jazz Festivalだ。だからこの湖は山中湖。


写真は、先日pらむちゃんから貰った黒猫クッキー。あんまりかわいいので食べられない。目がブルーなとことか、うちの子(猫のほうね)そっくりよ。