『歩いても歩いても』

2008-07-09 23:34:10 | cinema
チネチッタ川崎で『歩いても歩いても」を観る。
ああ、すごくよくわかるなあという映画。逗子か三浦あたりに住む老夫婦。その長男の命日に娘(YOU)と次男(阿部寛)がそれぞれの配偶者や子供を連れてやってくる。長男は海で溺れかけた子を救おうとして水死している。町医者の父としては大事な跡継ぎを亡くしてしまった。普通の家と違うのは、たぶんそのへんの事情だけ。あとはどこにでもある、なんとなく近寄りがたい実家の雰囲気とか、さりげなく嫁の悪口を言う姑とか、無口で怒りっぽい父親とか、そういう話。

ものすごい細かいところで、「そうそう」と思わせられる。ああ、こういうところが親の嫌な部分なんだなと思う。同時に自分がしている残酷なことに思い到る。

死んだ長男が助けた男の子はもう25歳。毎年命日にはお線香をあげにやってくる。帰り際「また来年も必ず来てくださいね」と母は言う。母にとっては、その子が息子を殺した張本人なのだ。誰も憎むことができないのに、決して癒されない傷。

まあね~、男の子に対する母親の独特な感じとか、やはり思い当たってしまいますね。帰省のたびにパジャマ用意してあげちゃうとことか(笑)。

老夫婦役は原田芳雄と樹木希林。原田芳雄は実年齢よりかなり高い設定のようだったけど、いい感じに頑固親父を演じていた。樹木希林についてはもうこの映画の要。観ているひとすべての<実家の母>になっていたと思う。

とても地味な映画だけど、すごくいろんなものが心に残る映画。それにしても意外に混んでいたなあ。

映画終わって、川崎でちょっとバーゲン覗いて、品川から歩いて明治学院へ。
目黒から歩くことに慣れてしまうと、品川からは近い近い。

今回の宿題は、映画や小説のタイトルのアクロスティック。わたしは「実録・連合赤軍」で作ってみた。ただのオヤジギャグと否定されるかと思いきや、わりと評判がよかった。あら、うれしい。
終わってまたしても「スカラムッシュ」へ。「たまには違うものも食べなさい」とマスターに言われて、オイルサーディンのチーズ焼きなど頼んでみる。でも講座はしばらく(三ヶ月ほど)夏休みなので、定番のつくねや卵焼きや炒めごはんをしっかり味わったことであった。