34年ぶりの第二歌集

2008-07-02 23:41:50 | books
村木道彦さんの第二歌集『存在の夏』が出た。
『天唇』が1974年だから、実に34年を経ての第二歌集ということになる。
う~ん、感慨深い。
ちょっとこれで原稿を書くかもしれないので深くは触れないけど、気になった歌をいくつか。

八月はファンタの匂ひ隣席に壜逆【さか】しまに飲む男ゐて
ふつふつと 真日【まひ】 天心に近づけりものの曳きたる影を煮詰めて
[思想]とは書棚【たな】に在るもの「左カラ二ツ目ノソレ、ソレヲクダサイ」
来てたれも朱【しゆ】に染まりたる声となりなにかものいふ 海はゆふやけ
さてなにをどうするといふこともなしなべては体言止めのゆふぐれ
かそけさは緋の葉いちまいひろふべきもののひとつのやうにおりくる
晩年へ――なべては迅し雨脚も傘もひとらも傾きてゆく
わかものら泥のごとくに睡りをり意志もたぬとき腕【かひな】はやさし
おほかたはやぶれてをはる壮年に 剃刀まけのほほのくれなゐ
おろしたてのシャツのにほひにつつまれて発つ ほのぼのとかなしかれども
人影の絶えしひととき眼鏡店レンズ数百ひぐれを反照【かへ】す
練辛子【マスタード】、納豆、沢庵、陽の光 日常といふは黄色【わうじき】まみれ


でもって、『天唇』も読み直す。
やはりいいなあ。泣きそうだ。
だけどたとえば、「たまきわる ひとを愛せぬそのゆえにたれをも愛す星の数ほど」みたいな歌は、今見るといいとは思わない。当時(高校時代ね)は、衝撃だったけどね。

そんなわけできょうは一日歌集を読んで終わった。いよいよ困ったことになっている。
明日こそは、、、たぶん。