『実録・連合赤軍』

2008-06-17 23:50:31 | cinema
あまり体調はよくなかったのだが、黄金町の「ジャック&ベティ」という映画館まで『実録・連合赤軍 浅間山荘への道程(みち)』を観にゆく。

映画の日でもレディスディでもないのに映画にゆくのは、少し前にLさんから「ジャック&ベティ」の無料券を貰っていたからだ(本当にありがとうございました)。「ジャック&ベティ」は、15年ほど前に溝口健二を観るために通ったことのある思い出深い映画館で、しかもずっと観ようと決めていた『実録・連合赤軍』の上映中ということで、20日までの上映期間にぎりぎり間に合った。

観客は、わりと年配のひとが多かったように思う。190分という上映時間に耐えるには、古い映画館の椅子はかなり辛い。わたしも途中腰が痛くなった。
しかし、片時もスクリーンから目が離せない、凄い映画だった。

ナレーションは原田芳雄。原田芳雄が何歳か知らないが、当時の当事者の視線で語られているような感じが全体にあった。映画としては、前半は坂井真紀演じる遠山美枝子の、後半は加藤元久(当時高校生)の視点が中心となる。非常に生々しい、連合赤軍の記録だ。

「総括」という語が、繰り返される。この年の流行語大賞になったんじゃないかというくらい、とにかく「総括」「総括」。使っている人間にも、だんだん「総括」の意味がわからなくなっていく過程を、映画は執拗に追っていく。

それにしても観終わったあとに、いろんな疑問が残る。一度は脱落者であった森恒夫は、なぜ総括されなかったのか。森や永田洋子の暴走を、なぜ誰も止められなかったのか。それを「勇気がなかったんだ」という、加藤元久の叫びで終わらせてしまってよかったのか。もっと言ってしまえば、なぜこんな事件が起こってしまったのか、その答えはどこにもないし、それはこの映画に限ったことではない。

しかし重いなあ。先の加藤元久は1956年生まれ。あどけない少年の顔つきから、浅間山荘での銃撃戦の取り憑かれたような顔まで、歪んだ成長が映画には描かれている。実際の彼は、この映画を観たのだろうか。

いろんなことを考えさせられたのだけれど、まだ自分のなかで整理できていない。少し関連書籍を読んでみたいと思っている。きょう宮崎勤の死刑が執行されたらしいけれど、永田洋子も坂口弘もまだ処刑されていないのだよなあ。というようなこともぼんやり。
関係ないけど坂口弘役はARATAで、坊主でもかわいいの。でもって、マフラーの巻き方がお洒落でちょっと笑っちゃいました。

そうそう、少し前に山本直樹の『レッド』という漫画を読んでいて、山本直樹自身も瀬木政児役で出演しているし、何かしらつながりのある映画だとは思っていた(漫画のほうは登場人物が実名ではないのがもどかしい)。こっちの2巻以降の展開も気になるところ。


映画が終わって関内駅まで歩こうと思ったら、伊勢佐木町モールを逆走してしまう(とことん方向音痴)。しかし伊勢佐木町もさびれてしまったなあ。無駄に長い商店街という感じ。