『ククーシュカ/ラップランドの妖精』

2006-04-26 19:01:08 | cinema
渋谷のシネ・アミューズで『ククーシュカ/ラップランドの妖精』を観る。
期せずして、またフィンランドものでした。
なに? ブームなの? フィンランド。

というか、わたしは今までラップランドってスウェーデンだとばかり思い込んでいた。
ラップランドといえば大島弓子の『いちご物語』のいちごちゃんのふるさとです。スウェーデンじゃありませんでしたっけー? (読み直してみようっと)

そんなことはともかく、映画です。
『かもめ食堂』とは違って、フィンランドといっても北のほう、原住民であるサーミ族の住むラップランドが舞台。ロシア軍とドイツ軍(フィンランド軍)とが戦っていた時代というから、少し昔の話です。仲間から見捨てられた平和主義者のフィンランド人の若者と、軍法会議に連行される途中に味方の爆撃にあって怪我をしたロシアの大尉。この二人を偶然助けることになったサーミの女性。三人は全くお互いに言葉が通じなくて、誤解やすれ違いの繰り返しのなか、いつのまにかサーミの女性のたくましさというか生活力に巻き込まれていく。

最後の最後まで三人は言葉が通じない。そして大きな勘違いのまま別れていく。ラストはかなり笑えます。

このサーミの女性がなんとも魅力的。老婆のようにも若い娘のようにも見える。そしてシャーマンでもある。ひとが瀕死の状態にあるとき、大切なのは治療よりも「離れていこうとしている魂を引き止めることだ」というところに、自然と戦いながら生きている人間の強さを感じました。

フィンランド人がつながれた鎖をなんとかはずそうと格闘しているシーンや、死にそうなフィンランド人がなんとか戻ってくるシーンが、全体のバランスから見て長すぎはしないかとちょっと思いましたが(どちらも結果はわかっているのだから、あんなに引っ張らなくてもいいんじゃないかと)、女って強いなあと思わせてくれる映画です。なかなかすてきでした。


せっかく渋谷まで行ったけど、紀伊国屋で柄谷さんの新刊(1001冊目の岩波新書)を買っただけでさっさと帰ってくる。いろいろやることが山積み~。