暇人おじさんのにゃんにゃんブログ

飲水思源、水を飲みて源を思う、今日も本物を求めて一万歩

今年もパネトーネを作りました

2020-12-04 00:39:23 | スウィーツ
今年も早や12月、とは言えコロナ下、例年のようなクリスマスの喧騒が聞こえてこないですね。

こんな時は家で静かにクリスマスを迎えるのもいいですね。
私はここ何年間の習慣でこの時期になると、イタリアのクリスマスパン「パネトーネ」を作り、毎朝食時このパンを食べつつクリスマスの到来を楽しむのですが、
今年のような時こそ、このパンがぴったしかなと、11月も終盤になって早速作り始めました。

このパンは一般的なパンと違って酵母発酵と同時に乳酸発酵もさせなければなりませんので、
何回も種生地作りを繰り返しながら乳酸菌を取り込んでいきます。
そのため生地が出来上がるまで手間暇がかかりますが、
その分乳酸の爽やかな風味に富んだ優しい香りに溢れたパンが出来上がります。
かつその乳酸のおかげで何か月でも日持ちする一方、日ごと風味が深まりますので、毎日その変化を楽しみながらクリスマスを迎えることができるのです。

さてそんな手間暇がかかりそうなパネトーネですが、
工程は大まかには、酵母菌の育成、イーストママ作り、種生地作り、パネトーネの生地作り、焼成の手順になります。
この順番に沿って説明しますと、

第一段階としてまず酵母菌の育成から。
今回はこの酵母菌として山ぶどう酵母を使うことにしました。
この酵母菌は売られている訳ではありませんので、まずこれを手に入れることから。
これには、この酵母菌が棲みついている山ぶどうを使います。
方法はいろいろありますが、私はまず山ぶどうジュースを作りそこから酵母菌を抽出することにしました。
山ぶどうには天然の酵母菌が棲みついていますので、これを絞ってジュースを作ろうとるすると、酵母菌が活動し始めジュースが自然発酵してきます。
この自然発酵菌たる酵母菌を育てます。
とは言え山ぶどうは10月に実るものですので、この月にしか手に入りません。
従って10月に購入し、ジュースを作っておきました。

蛇足になりますが、ジュースの作り方は以下の手順で。
山ぶどうは当地では売られているのを見たことがありませんので、通販で取り寄せました。
取り寄せた山ぶどうはこちら

 

これをビニール袋に入れ、足で踏みつぶします。

 

これを樽に入れ、毎日かく乱させながら熟成するまで待ちます。

 

熟成するとこんな感じ。

 

これを搾ってジュースの完成です。

 

酵母菌の抽出には関係ありませんが、搾り滓はジャムにします。
プロと違ってしっかりとは搾り切れませんので、搾りかすにはまだたくさんの有用な残滓が残されていますので、これを有効活用するものです。



搾りかすに水を加えてしばらく煮た後、裏漉しします。



これに砂糖を加え煮詰めてジャムの出来上がりです。

 



酵母菌抽出の前段階が長くなってしまいましたが、
いよいよ上記山ぶどうジュースを使って酵母菌の抽出から。
山ぶどうジュースに砂糖を少し加え、25℃に温度設定したヨーグルトメーカーに入れ、60時間ほど発酵させます。
細かな泡が出てくれば酵母菌が活性化して発酵している証拠ですので一安心。



これで発酵が完了し、酵母菌が取り出せました。

さて次は第二段階としてのイーストママ作り。
上記酵母菌が活性化された発酵液と小麦粉を併せこね、発酵させてイーストママ作りの完了です。

 

第三段階は、種生地作り。

上記イーストママに小麦粉と水を加え、練って発酵させ休ませてと、一日一回これを何日も繰り返し強い酵母菌を育成すると同時に乳酸発酵も促します。

次の写真は、生地発酵2回目のもの。
この段階では生地をキャンバスにくるんで発酵させます。



キャンバスがガチガチに膨らんだ後の生地は、こんな感じ。

 

さらにこれを使い新たに種生地作りを続行。
次の写真は、最終種生地の出来上がったもの。

 

これでいよいよ本段階たるパネトーネ生地作り。
上記種生地に小麦粉、卵黄、グラニュー糖、バター等を加えてねり、まず第一段階の生地作り。
発酵前、発酵後が次の写真。

 

これでやっとパネトーネ生地作り最終段階に入ります。
上記生地にサルタナレーズン、オレンジピール、レモンピールの他、卵黄他味のもととなるような具材を加え、しっかり混ぜ合わせます。
これをパネトーネカップ大の分量として300gづつに丸め分け、30分ほど休ませた後、パネトーネカップに入れます。



これを型の淵まで膨らむまで室温でじっくり発酵させます。
半日から長いと丸一日かかります。
次の写真右側は発酵完了後。頭の部分にナイフで十字を切り表皮をむいています。
これは焼きの膨張で裂けないように、かつ丸く膨らむようにするためです。

 

発酵が完了したら、いよいよ焼成。
180℃のオーブンで30分ほど焼き上げます。
焼き上がり直後は、こんな感じ。

  

型の下の方に金串を2本刺し、ひっくり返して写真のように放冷します。
これは、そのまま置いて冷やすと山のように膨らんだ生地が冷める時重力に引っ張られて下側にへこみますので、これを避けるためです。



冷やし終えたのは、こんな感じ。
表面の膨らみはそのままキープされています。



これを1個づつビニール袋に入れ、数日間熟成させて完成です。



今回は3種類作りました。
通常のシンプル版はこちら。



次の写真は、シンプル版にさらにラズベリーと、上記山ぶどうジャムをまぶした和胡桃を加えたものです。
これはフランスリヨンの名物パン、プラリーヌ・ブリオッシュにヒントを得たものです。
この胡桃は近所の公園の胡桃の木に実り、9月になって落ちたものを拾ってきたもので、
1か月ほど土に埋めたままにして表皮を腐らせた後、水で洗って表皮を取り除き、これをくるみ割り器で割って中身を取り出したものです。
一般的に売られているアメリカ胡桃とは似て非なるものです。

    

さらに次の写真は、チョコを加えたもの。
チョコが重かったのか、発酵の時、淵の方まで十分膨らみませんでしたが、
焼き上がりは問題もなく、他のと同様しっとりと大変おいしいです。



パネトーネの大きな特徴は上記のように、酵母発酵と乳酸発酵を同時発酵させるものです。
従って乳酸発酵によって生じた乳酸の風味が香り豊かな味わいを作りだすと同時に、
時間が経つにつれ風味が深まってきます。
一般のパンですと数日でカビが生えてきますが、このパンはいくらでも日持ちします。
経験では、常温で1年経っても美味しくいただけました。
もっとも、通常はクリスマスを終える頃には食べ終えてしまってはいますが。

今回は、例年になく美味しく出来上がりました。
このパン生地は通常パサつくことが多いのですが、今回は大変しっとりとしています。
クリスマスまで毎日楽しめそうです。




















栗粉餅を作りました

2020-10-16 15:06:46 | スウィーツ
栗の旬もぼちぼち終わりに近づいてきたのでしょうか、スーパーでは少ししか見られなくなってきました。
前回は栗入りガトーバスクをアップしましたが、
今回は、栗粉餅を作りました。

私にとって栗粉餅と言えばいまだに、かつて岐阜市内にあった市川屋(俗称猫餅屋)のものしか考えられないですね。
親父さんが店先で裏漉器に向かって一生懸命栗を裏漉ししていたのを思い出します。
それを搗きたての餅に振りかけただけのものでしたが、抜群に美味しかったです。
東京に住んでいた頃は、季節になると家族のものがわざわざ岐阜まで買いに行き、新幹線に乗って持ってきてくれたものでした。
今回は、それを思い出しつつ作ってみました。

栗を40分ほど蒸し、半分に切って中身を取出し、裏ごししたものを餅に振りかけるだけです。
蒸した直後のものは水気が一切なくほくほくで、これだけで十分栗の美味しさが味わえます。

 

 

裏漉し後はこんな感じ。べたつきは一切なくさらさらしています。
お店で売っているものは、これに砂糖を加えたりしているところが大多数ですが、
栗の純粋な風味を味わいたいので、砂糖等は一切加えませんでした。



これを、本来は搗きたての餅に振りかけるのが常道ですが、
今回は、以前作って冷凍庫に保存してあった2種類の餅を使いました。
一つは、春に作ってあったヨモギ餅に。
ヨモギが出始めた頃摘んできたもので作ってあったものです。
電子レンジでチンして柔らかくし、その上に栗粉を振りかけただけです。

 

 

二つ目は、栃の実入り小豆餡と餅粉を絡めて作った栃餅を笹の葉にくるんで作った笹餅を使いました。
この夏に作って冷凍しておいたものです。
栃の実は今が旬のものですが、採集してからあく抜きをして食べられるようになるまで2か月ほどかかりますので、今秋産のものはまだ食べられるところまで行っていません。
従って昨秋採集したものを使ってこの夏に作り、冷凍しておいたものを使いました。
その時の作り方はこんな感じ。
最初に小豆粒あんと上新粉を練り混ぜ、最後に栃の実をあまりつぶさないように混ぜ合わせ、容器に移して1時間ほど蒸します。



これを笹の葉にくるみ、少しだけ蒸して出来上がりです。
通常の栃餅に比べ、栃の実が塊のまま残っていますので栃の実の風味がしっかり味わえます。

   

 

今回、冷凍保存してあったこれを電子レンジでチンして柔らかくし、笹の葉を外して栗粉をまぶしました。
飾りに栗と栃の実も添えてみました。

 

出来上がった2種類を並べるとこんな感じ。



ヨモギ餅の方は、春の風味と秋の風味の合体ではありますが、何の不自然さもありません。
砂糖を加えてないので自然のままの旨味が直にひしひしと伝わってきます。
季節の違いをどうのこうの言うに及ばない、自然の旨味の懐の深さに感じ入る一品とはなりました。

一方栃餅の方は、ともに今が旬のもの。
こちらは小豆餡の仄かな甘みが、栃の実の苦み渋みと栗の穏やかで優しい風味を調和させ、食べたことのない絶妙な風味を醸し出しています。
写真のように栃の実と栗は見たところ似た風情であり、これが違和感なく風味を統合させているのでしょうか。
栗粉とヨモギ餅そして栃餅、ともに絶対に市販のものでは味わえない優しい自然の風味に溢れた一品とはなりました。









栗入りガトーバスクを作りました

2020-10-07 14:04:08 | スウィーツ
毎年今頃、店頭に栗を見かけるようになると、ガトーバスクだという気分にさせられ、今年も早速栗入りガトーバスクを作りました。

栗入りですのでまず栗の砂糖煮を作ることから。
くりくり坊主で皮をむき、こんな感じで煮〆めます。
2回に分けて砂糖を加え、写真左は1日目のもの、右は2日後完成されたものです。

 

次は生地のパート・シュクレ作り、これも練っては休ませてと言う感じで2日がかりです。
完成後、型に入れ込んだのがこれ。
生地の型底に敷くクレーム・フランジパーヌ(写真右)も事前に作っておきます。

 

型に敷き詰めた生地の上にまずクレーム・フランジパーヌを拡げ、その上に栗を敷き詰めます。



さらにその上にクレーム・フランジパーヌを被せ



蓋をし、上に溶き卵を塗り、フォークで模様をつけて下準備完了です。



これをオーブンに入れて150℃で70分、160℃で10分、180℃で10分、計90分焼きました。
焼き上がりは、こちら。



粗熱を取り、型から外したのがこちら。
しっかり焼けてなかなか良い焼け具合いです。

  

切ったのはこんな感じ。
生地の練り具合、焼き具合が良かったのでしょう、口に入れた時の生地の崩れ具合と香りが素晴らしく、美味しいものを食べているっという幸福感に満たされます。
私はバスク地方には行ったことがないので本物がどんなものか知りませんが、かなり本物に近いのではと思われる出来具合です。

  

自家製ソーセージを使ってカスレ風を作りました

2020-09-25 12:47:36 | 洋風料理
久し振りにソーセージを作りましたので、カスレ風を作りました。
カスレは鴨もも肉のコンフィを入れるのが定番のようですが、スーパーでは簡単に手に入らないので今回はパスしました。
従って本物と区別してカスレ風と。

鴨もも肉コンフィはあきらめ、鴨とともにもう一方の主役、ソーセージは本物をと、自家製で。
豚バラ肉と肩ロースの塊300gづつを購入、それぞれ半分は包丁で粘りが出る迄叩いてミンチ状に、残り半分は5mm角ほどの粗切りにし、香草・香辛料等と一緒に混ぜ合わせました。
作りたては、こんな感じ。



これを1時間ほど欄干で干して表面を乾燥させます。
乾燥後はこんな感じです。



味見に、茹でポテトと併せてソテーしたものをパン・ド・カンパーニュに挟んで食べてみました。
市販の添加材てんこ盛りのとは違い、肉の純粋な風味に溢れ、ドイツ風でなかなか美味しかったです。

 

味を確かめたところで、いよいよカスレ作り。
作り方は、今月までやっていたダンサーの塚本弾が旅人だった「NHK旅するフランス語」の中で紹介されていた、トゥールーズ地方のカスレ作りを参考にしました。
ここでは、市場で素材を購入するところから始まり、作って食べるところまでやっていましたので、大変参考になりました。

ソーセージの他肉類は、豚肩肉、牛テール、豚耳を使いました。
事前に、豚肩肉は一晩塩漬けに、牛テールは一晩水に浸け血抜きを、豚耳はラードでコンフィしておきます。
翌日これらを深鍋に入れて2時間ほど茹で、茹で汁に浸けたまま冷ましがてら寝かせておきます。
この間に、これも一晩水に浸けておいた白いんげんを茹で、これも2時間ほど茹で汁に浸け置きしておきます。

 



材料がすべて整ったところで、いよいよカスレ作り本番です。
まず鴨脂でソーセージをソテーし、表面を固めます。
次は、このフライパンを使い、ニンニクみじん切り、玉ねぎ、にんじん、セロリーを炒め、色づいてきたのを見計らいトマトを加え、さらに白いんげんも加えてなじませます。
これを土鍋に移し、さらにソーセージ他寝かせてあった肉類を上に並べ置き、先ほどソテーした時フライパン底に出来た焦げ目を白ワインでこそげ取ったもの及び塩コショウをまぶします。



最後に、肉類を茹でた時出来た出汁をひたひた程度に注ぎ、セロリー葉、タイム、セージを乗せます。
これをオーブンに入れ、160℃ほどの低温でじっくり煮込みます。
ソーセージは肉汁が逃げやすいので通常はあまり長く火入れしませんが、低温で煮込むと肉汁が抜けないので、それを生かしソーセージともどもじっくり煮込むのがコツだと先の番組でフランス人の料理人が言っていました。



50分ほど煮込むとこんな感じに。



表面の焦げた香草は取り除き、一度かき混ぜ中身を反転させ、さらに煮込みます。
これを15分ほど煮込むとこんな感じ。



さらに煮汁を煮詰めませ、表面に焦げ目が出来る迄煮込んで完成です。



お皿に盛り合わせるとこんな感じ。

 

予想通りソーセージは肉汁が逃げることなくしっかり火が通り、断面のピンク色で分かるように、うま味が充満しています。
純粋に肉の香りに溢れ、見た目ともどもいかにもヨーロッパ郷土料理と言う味わいで、大変美味しくいただきました。

 

翌日は、残り物をパスタと一緒に和えていただきました。
これがまた大変美味しかったです。
パスタが加わっていかにもイタリア田舎の食事といった雰囲気になりました。
イタリアピエモンテの赤ワインと、パンのカンパーニュがぴったしでした。













梅酢が出来上がりました

2020-09-04 13:32:37 | 発酵食品
ここ数年毎年梅酢を作っているのですが、今年もようやく出来上がりました。
6月上旬に仕込み始めましたので、およそ3か月ですね。

仕込んだ直後はこんな感じ。
生きた酵母や乳酸菌が入っている玄米酒粕を入れましたので、白い粒状のものが見えます。



1週間後はこんな感じ。
酵母発酵が進み、梅からだいぶ水分も出、梅は柔らかくなり始めています。



酵母発酵が落ち着いたところで、昨年秋仕込んだ柿酢を酢酸種菌として表面に散らしてやりました。
3週間後には酢酸菌膜が張り始めています。



順調に酢酸発酵が進み、1か月半後はこんな感じ。



2か月後



そして3か月後、酢酸菌膜は沈み込み、きれいな表面になりました。



酢酸発酵が終わった証拠ですので、早速絞り込みました。

 

布巾をねじるようにして絞り、さらに重しをして半日ほど置き、さらに布巾を絞り込みました。

 

出来上がったのはこんな感じ



これを瓶詰めして完成。
720mlの酒瓶に3本近く採れました。



翌日には滓が沈み込み上部は澄み始めています。



この後も酢酸発酵は進みますので、菌が呼吸できるようにキッチンペーパーで蓋をし、このまま数か月置いておきます。
1か月位先から使い始める予定です。