暇人おじさんのにゃんにゃんブログ

飲水思源、水を飲みて源を思う、今日も本物を求めて一万歩

中華風小鴨の丸焼き

2021-03-07 23:42:01 | 中華料理
ジビエ料理第6弾は、中華風小鴨の丸焼き。

ジビエと言うとフレンチに目が行きがちですが、前回アップした小鴨、今回は中華風に試してみました。
広東の焼き物の料理本を見ていたら小鳩の丸焼きが出ていて、小鳩と小鴨では肉質は違いますが同じ赤身ですのでこれを使ってもいけそうかもと、ほぼその通りに作ってみました。

先日羽毛を取って掃除しておいた小鴨は冷蔵庫で熟成させておきましたが、
取り出すとこんな感じ。
内臓は抜き出してあります。



これをまずほんの少しだけ熱湯にくぐらせ、冷水に浸け皮を張らせます。



次はこれを再度沸騰した湯に入れ、すぐにガスを切りそのまま40分ほど浸けておきます。
これはこの段階で肉にほぼ火を入れておくためです。
低温調理と同じ要領ですね。
浸け終わったのはこんな感じ。



水気を切って粗熱を取ったら、次は貴妃汁というマリネ液に1時間ほど浸けておきます。
このマリネ液は、干し貝柱、干しエビ、中国ハム、大地魚を揚げたものに、生姜と水を加えて3~4時間ほど弱火でじっくり煮出した後、一旦これを濾し、
この出汁を再度火にかけ沸騰させ、さらに塩、チキンパウダー、乾燥生姜、月桂樹葉、陳皮、桂皮、グローブ、八角、甘草、花椒、草果を加えて火を止め、
このまま2時間ほど置いて風味を付けさせた後、濾したものです。
ただし中国ハムと大地魚は手に入りませんでしたので、ハムは自家製叉焼で代用、大地魚はパスしました。
大地魚は、日本の干し鱈のようにヒラメを干したもので調味料として使うもののようですが、見たことがありませんのでよくわかりません。

  



この液でのマリネは全体がよく浸かるよう、ビニール袋に入れて浸けました。



次はこれを取出し、水洗いし水気を切り、乾いたら焼鴨水をかけ、吊るして3時間ほど風干しします。
焼鴨水と言うのは、水飴、酢、紅酢を混ぜ合わせたもの。
ネットに入れて風通しの良いところに干しておきました。



風干し終わったのはこんな感じ。



仕上げは、これを油で揚げますが、油の中には入れないで、網の上に乗せ油を掛けまわしながら揚げていきます。
これは皮が弱いので破れないようにするためと、皮をパリッと仕上げるためです。
油を掛けまわしながら皮面をパリッと焼くのはフレンチでも同じですね。

焼き上がりは、こんな感じ。



これを背骨から縦半分に切っていただきます。

 

貴妃汁を作ったときに使った干し貝柱、干しエビ、自家製叉焼の出汁殻を使って焼きめしを作り、一緒にいただきました。

 

 

食べ方は、手で取ってかぶりつきながら食べました。
骨付き鶏のから揚げと同じ要領ですね。
前回作った燻製サラダ仕立てのものより、鴨の風味が薄れている感じでした。
色々手を尽くしている分、本来の味が優しくなっているのでしょうね。
それと少し揚げ過ぎていました。
それでも鴨の香りは十分にあり、フレンチにはない焼き物独特の風味が味わえました。
焼きめしも大変おいしいかったです。
干し貝柱等の味わいも十分残っており、調理滓を有効に活用することが出来ました。




干し豚バラ肉&焼腸入り芽菜扣肉(コーロー)を作りました

2020-12-17 17:19:12 | 中華料理
芽菜扣肉(コーロー)は、私の好きな食べ物の一つですのでたまに作るのですが、
今回は、前回アップした干し豚バラ肉と焼腸等を加えれば味が深まっていいかなと、早速挑戦してみました。

豚バラ肉は事前に油鶏水で20分ほど茹で、そのまま油鶏水の中で一晩浸けておきました。
浸け終わったのはこちら。



これを油で揚げ、表面に焦げ目をつけます。
一緒に煮込む焼腸等と並べたのが、次の写真。
焼腸は、前回アップしてからも風通しの良いところに干しておいたものです。
この他焼腸とは別に、90℃ほどに熱した油鶏水に生腸詰を入れ、すぐ火を消し20分ほど予熱通しをし、さらに寒風に干しておいたものも一緒に加えました。
写真2本並んでいるうち、下のやや大きめのがそれです。
いずれも干した分、身が詰まりサラミ風な風情になっています。



豚バラ肉は蒸す前に角切りしておきます。



これを干し豚バラ肉、焼腸等ともども深皿に乗せ、さらに炒めた芽菜も加えて蒸しの準備完了です。

 

蒸しは無水鍋を使います。
これは蓋が2重になっているので蒸気が漏れにくく、鍋の中に充満し続けますので、
気圧も高くなり圧力鍋のようになるのではないかと思っています。
その分、普通の蒸し器の半分位の時間で済みます。
今回は、温度をあまり上げないようにするためごく弱火で1時間蒸しました。
蒸し終わったのはこんな感じ。



腸詰等をスライスして一緒に並べると、こんな感じ。



付け合わせにチンゲン菜炒めを作りましたが、その調味料として蒸し終わった後の芽菜やスライスした干し豚バラ肉、焼腸等を加えました。



小皿に取り分け、他に紅芯大根のごま油和え(心里美)、蕪皮のきんぴらと一緒にいただきました。
蕪皮は2日間干し半乾きにしたものを使いました。
この本体は今蕪鮨に仕込み中です。

  

そして締めは定番通り、丼に。豚の角煮丼と一緒です。
当然この料理は丼の他、ラーメンや焼きそばにのっけてもおいしいでしょうね。



今回は今迄になく大変おいしかったです。
干し豚バラ肉や腸詰が効いたのでしょうか。
溶け出た豚の脂の中に色々なうま味が染み渡っており、これを絡めて食べるのが絶品です。
腸詰は、焼いたのも茹でたものもそれほど違いはありませんでしたが、焼いた方は焼き過ぎていた分少し硬めで、味も多少落ちているような気がしました。

芽菜と言う発酵野菜や腸詰を一緒に煮て複雑なうま味を引き出していくという意味では、
フランスアルザスのシュークルートと発想は同じで、これは中華版シュークルートと言えますね。
フレンチと中華が世界2大料理と言われるのも、同じ手法で複雑な味に仕上げていく共通性故でしょうか。




干し豚バラ肉と焼腸(広東式腸詰焼き)を作りました

2020-12-13 12:38:01 | 中華料理
11月も下旬になり、ようやく気温が下がり始めましたので、
風干しして作る中国食材、干し豚バラ肉と焼腸(広東式腸詰焼き)を作りました。

まず、豚バラ肉をカチカチになる迄干して保存食とする干し豚バラ肉から。
これは蒸しただけで酒肴として食べても美味しいですが、蒸した後色々な料理の調味料として使うことが多いようですね。
ベーコンやパンチェッタと同じようなものでしょうか。

まず豚バラ肉を1.5cmほどの幅でスライスし、柱侯醤をまぶし塗りこんだところに、
紹興酒や写真のような中国焼酎、醤油、砂糖、ネギ等の香味野菜を併せたものに浸け、まんべんなくつかるよう落とし蓋をし、半日ほど浸け込んでおきます。
この浸け液は、酔っ払い蟹を浸けるときのと似ていますね。

  

漬け込み終わったのはこんな感じ。

 

これを取出し乾いたところで、さらに溜まり醤油を塗ります。
これを風通しの良いところでカチカチになる迄陰干しします。



2週間後にはこんな感じ。



まだカチカチではありませんのでさらに1週間ほど干し、カチカチになったところで風干し完了。
出来上がりは、こんな感じです。
この3週間、雨は全く降りませんでしたので昼夜同じところで干し続けました。
心配したカビも一切生えませんでした。



これを一つづラップし、袋に入れて冷凍保存しておけば、いつでも料理に使えます。



料理に使うときは、生姜の千切りを乗せて10分ほど蒸し、薄切りにして使います。




さて今回もう一品は、焼腸(広東式腸詰焼き)です。
豚ひき肉を中国式に味付けし、羊腸に詰めます。
使う調味料は違いますが、一般的なウインナー作りと同じ手順です。
次の写真で、豚肩肉と豚バラ肉を叩いてミンチにしたもの1.1kg使っています。



これを丸一日風干しして水気を抜き、

 

さらに叉焼(チャーシュー)を作るときに使う叉焼汁を塗ってさらに2日ほど干します。

 

表面の叉焼汁が乾いたところで、150℃ほどのオーブンに入れ、15分ほど焼きます。
写真のように小型の寸動鍋にひっかけてオーブンに入れて焼きました。
焼き後寸動鍋の底には、腸詰からしみ出た脂がどっぷりと固まっていました。
ひき肉に脂の多いバラ肉を加えましたのでその脂ですが、この脂がウインナーをしっとりさせる大切な役割を果たしていますので、こんなに流れてしまうのは焼き温度が高過ぎでしたね。
もっと低い温度で焼かないといけなかったようです。

 

とは言え、これで完成です。
見栄えはまずまずですね。



先程の蒸した干し豚肉ともども薄切りにし、ネギを添えていただきました。
脂が流れた分多少パサつくかなとも思いましたが、全然そんなことなかったです。

 
 
干し豚、焼腸ともそのまま食べても美味しいですが、調味料として使うのが一般的。
次の写真は、野菜炒めに加えたもの。
酒醸と干し豚、焼腸、紹興酒を先に炒め、さらに野菜を加え炒め、最後にオイスターソースと塩コショウで味付けしただけのものです。
野菜に味がなじみ大変おいしいです。

 

干し豚と焼腸は翌日も残り物を食べましたが、前日よりずっと美味しくなっていました。
乾燥して味が落ち着いたのかもしれません。
腸詰は焼いた後も陰干ししておくといいかもしれません。

東京渋谷に麗郷と言う台湾料理屋があって、4~50年ほど前よく行ったものです。
店のカウンター前には沢山の腸詰がぶら下がっていて、いかにも美味しそうで、
行くと必ず食べたものです。
昔のことなので味の記憶が薄れてきましたが、いずれ同じように台所にぶら下げておき、
食べたいときにちぎって使うというのもいいなとは思っているところです。









南乳扣肉

2020-06-11 13:26:55 | 中華料理
今日の料理は南乳扣肉。
この料理は好きで度々作っていますので、このブログでも先月紹介したばかりですが、
今回はまず最初茹でる時、先月鼓油鶏を作ったときの油鶏水が保存してありましたのでそれを使ったのと、
最後仕上げに蒸す時、無水鍋を使いしっかり蓋をして高圧になるように蒸した、と言う点を工夫しました。

茹でて揚げて煮て蒸しての料理ですが、
今回は茹でて揚げた後、煮る前に角切りに切ったところからの紹介です。



これを煮るのですが、まず生姜・ニンニク・八角・山椒で油に香りづけし、香りが出たところで取り除いておきます。



ここへ南乳を入れ肉に絡ませます。

 

ここへ最初肉を茹でた時に使った鶏油水を少し加え、しばらく煮詰めます。



煮終わったところで深皿に移し、セロリー葉を乗せて最後の蒸し段階に。

 

上記のように今回は、無水鍋で蒸しました。
無水鍋と言っても無水で蒸すわけではなく、普通に蒸し器のように使うだけですので、まず水を入れ、お皿を乗せる置き台を入れ、この上に肉を入れたお皿を乗せます。
ただこの鍋は、蓋を2重にして蒸気を漏れにくくし高圧が保てるようになっていますので、高圧ガマで煮るような効果が得られるのではと思っています。
これで45分ほど蒸しました。
蒸し上がりは、こんな感じ。



これを小皿に取り分け、水溶き片栗粉でとろみをつけた煮汁を掛けて完成です。
今回は所謂豚角煮丼のように食べても美味しいのではと、丼としてもいただきました。

 



煮詰めるとき少しドロッとする位まで煮しめましたので、その分味が濃いめになりましたが、
ご飯と一緒にいただくにはちょうど良かったかもしれません。
無水鍋で蒸したのが効いたのでしょう、いつもよりは柔らかめに仕上がりました。
程よい柔らかさでした。


南乳扣肉

2020-05-14 19:53:58 | 中華料理
今回の料理は、南乳扣肉。
この料理は字のごとく南乳ベースで煮込んだ豚の煮込みで、梅菜と一緒に煮込んだ梅菜扣肉とともによく作るわたくしの好きな料理です。
作り方は、私の持っている古い中華料理雑誌に出ている、東京新橋中国飯店のレシピを参考にしています。
豚バラ肉を茹でて揚げて煮て蒸してと、4段階もの調理を経て作り上げていくものです。

まず第1段階は、20分ほど水で茹でてあく抜き等をするのですが、今回は、前回鼓油鶏を作ったとき利用した油鶏水という浸け液が残っていましたので、これで茹でました。
この浸け液は色々な香辛料等を加えて煮だしたものですので、肉の臭み抜きや香りづけにはぴったしのような気がして使ってみました。
茹でた後は粗熱が取れるまで浸け液ごと冷ましておきます。

次は、表面を固めて後の調理で肉汁が抜け出るのを防ぐため、油でさっと揚げ、焼き色を付けます。
これを角切りに切り分け、ニンニク・ショウガ・唐辛子等で香りづけした油でさっと炒め、さらに油鶏水を少し加えて5分ほど煮ます。
煮終えて、次の蒸し用に深皿に移したものが次の写真。



これに、今回はタケノコ、大根を加えて蒸しました。



蒸し時間は、肉の柔らかさ加減の好み次第で、多少噛み応えがあるのでしたら40分から1時間程度、とろけるようなというものでしたら2時間ほど、
今回は1時間蒸しました。
ビーフシチューも一緒ですが、その美味しさを表すのに口の中でとろけてとよく表現されますが、
肉はよく噛むことによってその本来のうまみが引き出されるものですので、
今回もそのように味わいたく、蒸し時間を少なめにしました。

蒸し上がり後これを盛皿に移すのですが、この蒸した深皿の上に裏返しにした盛皿を乗せ、まず煮汁を小鍋に切り、それからひっくり返して一気に盛皿に移します。
移動後はこんな状態です。



小鍋に移しておいた煮汁に水溶き片栗粉を加えてとろみをつけ、先ほどのお皿の上に掛けまわして完成です。
チンゲン菜とカリフラワーを油鶏水で味付けした炒め物と一緒にいただきました。

 

小皿に取り分けるとこんな感じ。