暇人おじさんのにゃんにゃんブログ

飲水思源、水を飲みて源を思う、今日も本物を求めて一万歩

干し豚バラ肉&焼腸入り芽菜扣肉(コーロー)を作りました

2020-12-17 17:19:12 | 中華料理
芽菜扣肉(コーロー)は、私の好きな食べ物の一つですのでたまに作るのですが、
今回は、前回アップした干し豚バラ肉と焼腸等を加えれば味が深まっていいかなと、早速挑戦してみました。

豚バラ肉は事前に油鶏水で20分ほど茹で、そのまま油鶏水の中で一晩浸けておきました。
浸け終わったのはこちら。



これを油で揚げ、表面に焦げ目をつけます。
一緒に煮込む焼腸等と並べたのが、次の写真。
焼腸は、前回アップしてからも風通しの良いところに干しておいたものです。
この他焼腸とは別に、90℃ほどに熱した油鶏水に生腸詰を入れ、すぐ火を消し20分ほど予熱通しをし、さらに寒風に干しておいたものも一緒に加えました。
写真2本並んでいるうち、下のやや大きめのがそれです。
いずれも干した分、身が詰まりサラミ風な風情になっています。



豚バラ肉は蒸す前に角切りしておきます。



これを干し豚バラ肉、焼腸等ともども深皿に乗せ、さらに炒めた芽菜も加えて蒸しの準備完了です。

 

蒸しは無水鍋を使います。
これは蓋が2重になっているので蒸気が漏れにくく、鍋の中に充満し続けますので、
気圧も高くなり圧力鍋のようになるのではないかと思っています。
その分、普通の蒸し器の半分位の時間で済みます。
今回は、温度をあまり上げないようにするためごく弱火で1時間蒸しました。
蒸し終わったのはこんな感じ。



腸詰等をスライスして一緒に並べると、こんな感じ。



付け合わせにチンゲン菜炒めを作りましたが、その調味料として蒸し終わった後の芽菜やスライスした干し豚バラ肉、焼腸等を加えました。



小皿に取り分け、他に紅芯大根のごま油和え(心里美)、蕪皮のきんぴらと一緒にいただきました。
蕪皮は2日間干し半乾きにしたものを使いました。
この本体は今蕪鮨に仕込み中です。

  

そして締めは定番通り、丼に。豚の角煮丼と一緒です。
当然この料理は丼の他、ラーメンや焼きそばにのっけてもおいしいでしょうね。



今回は今迄になく大変おいしかったです。
干し豚バラ肉や腸詰が効いたのでしょうか。
溶け出た豚の脂の中に色々なうま味が染み渡っており、これを絡めて食べるのが絶品です。
腸詰は、焼いたのも茹でたものもそれほど違いはありませんでしたが、焼いた方は焼き過ぎていた分少し硬めで、味も多少落ちているような気がしました。

芽菜と言う発酵野菜や腸詰を一緒に煮て複雑なうま味を引き出していくという意味では、
フランスアルザスのシュークルートと発想は同じで、これは中華版シュークルートと言えますね。
フレンチと中華が世界2大料理と言われるのも、同じ手法で複雑な味に仕上げていく共通性故でしょうか。




干し豚バラ肉と焼腸(広東式腸詰焼き)を作りました

2020-12-13 12:38:01 | 中華料理
11月も下旬になり、ようやく気温が下がり始めましたので、
風干しして作る中国食材、干し豚バラ肉と焼腸(広東式腸詰焼き)を作りました。

まず、豚バラ肉をカチカチになる迄干して保存食とする干し豚バラ肉から。
これは蒸しただけで酒肴として食べても美味しいですが、蒸した後色々な料理の調味料として使うことが多いようですね。
ベーコンやパンチェッタと同じようなものでしょうか。

まず豚バラ肉を1.5cmほどの幅でスライスし、柱侯醤をまぶし塗りこんだところに、
紹興酒や写真のような中国焼酎、醤油、砂糖、ネギ等の香味野菜を併せたものに浸け、まんべんなくつかるよう落とし蓋をし、半日ほど浸け込んでおきます。
この浸け液は、酔っ払い蟹を浸けるときのと似ていますね。

  

漬け込み終わったのはこんな感じ。

 

これを取出し乾いたところで、さらに溜まり醤油を塗ります。
これを風通しの良いところでカチカチになる迄陰干しします。



2週間後にはこんな感じ。



まだカチカチではありませんのでさらに1週間ほど干し、カチカチになったところで風干し完了。
出来上がりは、こんな感じです。
この3週間、雨は全く降りませんでしたので昼夜同じところで干し続けました。
心配したカビも一切生えませんでした。



これを一つづラップし、袋に入れて冷凍保存しておけば、いつでも料理に使えます。



料理に使うときは、生姜の千切りを乗せて10分ほど蒸し、薄切りにして使います。




さて今回もう一品は、焼腸(広東式腸詰焼き)です。
豚ひき肉を中国式に味付けし、羊腸に詰めます。
使う調味料は違いますが、一般的なウインナー作りと同じ手順です。
次の写真で、豚肩肉と豚バラ肉を叩いてミンチにしたもの1.1kg使っています。



これを丸一日風干しして水気を抜き、

 

さらに叉焼(チャーシュー)を作るときに使う叉焼汁を塗ってさらに2日ほど干します。

 

表面の叉焼汁が乾いたところで、150℃ほどのオーブンに入れ、15分ほど焼きます。
写真のように小型の寸動鍋にひっかけてオーブンに入れて焼きました。
焼き後寸動鍋の底には、腸詰からしみ出た脂がどっぷりと固まっていました。
ひき肉に脂の多いバラ肉を加えましたのでその脂ですが、この脂がウインナーをしっとりさせる大切な役割を果たしていますので、こんなに流れてしまうのは焼き温度が高過ぎでしたね。
もっと低い温度で焼かないといけなかったようです。

 

とは言え、これで完成です。
見栄えはまずまずですね。



先程の蒸した干し豚肉ともども薄切りにし、ネギを添えていただきました。
脂が流れた分多少パサつくかなとも思いましたが、全然そんなことなかったです。

 
 
干し豚、焼腸ともそのまま食べても美味しいですが、調味料として使うのが一般的。
次の写真は、野菜炒めに加えたもの。
酒醸と干し豚、焼腸、紹興酒を先に炒め、さらに野菜を加え炒め、最後にオイスターソースと塩コショウで味付けしただけのものです。
野菜に味がなじみ大変おいしいです。

 

干し豚と焼腸は翌日も残り物を食べましたが、前日よりずっと美味しくなっていました。
乾燥して味が落ち着いたのかもしれません。
腸詰は焼いた後も陰干ししておくといいかもしれません。

東京渋谷に麗郷と言う台湾料理屋があって、4~50年ほど前よく行ったものです。
店のカウンター前には沢山の腸詰がぶら下がっていて、いかにも美味しそうで、
行くと必ず食べたものです。
昔のことなので味の記憶が薄れてきましたが、いずれ同じように台所にぶら下げておき、
食べたいときにちぎって使うというのもいいなとは思っているところです。









この冬も栃餅を作りました

2020-12-07 23:29:40 | スウィーツ
この秋は生り物が不作で、就中ドングリが近年稀にみる不作のようで、熊の出没ともどもニュースを賑わしておりましたが、
当地では柿が同様に不作で、特に干し柿用のものが少なかったようです。
そんな中、今年も栃餅を作ろうと9月末位から栃の実拾いに出かけていましたが、
こちらも例年よりは実りが少なかったような気がします。
花が咲いている頃から今年は花が少ないなとは思ってはいましたので、不作はある程度予想はしていましたが。

栃の実の生っている状態を見たことがある人も少ないと思いますので、
こんな感じで生っています。



これが落ちてこんな感じで転がっています。



この実はあくが相当強いので、通常のあく抜き程度では食べられるようにはなりませんので、
食べられるようになるまで何段階もの工程を経てあく抜きをします。
使えるようになるまで2か月ほどかかります。

第一段階として、まず実の殻を外し、虫抜きと称し2~3日水に浸けておきます。
なぜ虫抜きかと言うと、この工程で白い虫が出てくるからと書かれていますが、実際この虫が出てきたのを見たことがありません。
左側写真は実を外した後の殻、右側写真、殻を外した後、実を水に浸けて虫抜きしているもので、白いものが浮いていますがこれはあくです。
このあくには石鹸と同じ成分が含まれているので、石鹸のように泡立ってくるようです。

 

虫抜きが終わったところで、これを1か月ほど天日干しします。



カラカラ音がするようになる迄しっかり干して、やっと中の実の取出しです。
天日干しで殻が固くなっておりますので、まずお湯に浸けてふやかします。

 

これを梅割り器で挟み圧してやると、比較的簡単に外れます。
このとき栗の渋皮のような薄皮が付いたままですが、あく抜きの時自然と剥がれますのでこの段階では外す必要はないです。



これでようやく本格的なあく抜きに入ります。
木灰とお湯に併せ、1週間ほど毎日攪乱させながら待ちます。



試食してみてまだ少しピリッとする位が潮時です。
あくを抜きすぎると独特の風味がなくなりますので、栃餅作りでは、このあく抜き具合が一番のポイントのような気がします。
あく抜きが終わったら、水で綺麗に洗い流し、少し干して完成です。



栃餅作りでは、餅米1升に対して300gほど使いますので、300gづつに小分けして冷凍保存しておきます。



今回は2日ほどおいてすぐ栃餅作りに使いましたので、1袋は出しておきました。

最後は、いよいよ栃餅作りです。
餅つき機で、一晩浸水させた糯米の上に栃の実を乗せ、一緒に蒸し搗きます。



搗き終わったら40gほどに小分けし、餡にくるめて出来上がりです。
餅は搗き終わると見る見るうちに固くなってきますので、餡は餅米を蒸している時間を利用して事前に小分けし、搗きあがり後すぐにくるめられるようにしておくとベターです。

  

次の写真は、焼いたもの。
普通の餅同様すぐに硬くなりますので、焼くか雑煮で食べるのが美味しいようです。
少し土臭い独特な香りがしますが、こういう自然な味に食べ慣れてくると、市販の普通の甘い饅頭は加工された人工的な味が引き立ち、美味しく感じなくなります。
この栃餅と一般の甘いものを同時に食べると、その違いがよくわかります。
日本酒で、玄米酒が独特な酸味と風味があり最初はびっくりしますが、飲みなれてくると逆に一般の酒は甘ったるく気持ち悪くて飲めなくなるのとよく似ています。
一般的には嫌われているあくが美味しさの源泉だと言うことを、あらためて認識させられます。
どんな食べ物でも、自然のまんまというのが一番美味しいようですね。

 









今年もパネトーネを作りました

2020-12-04 00:39:23 | スウィーツ
今年も早や12月、とは言えコロナ下、例年のようなクリスマスの喧騒が聞こえてこないですね。

こんな時は家で静かにクリスマスを迎えるのもいいですね。
私はここ何年間の習慣でこの時期になると、イタリアのクリスマスパン「パネトーネ」を作り、毎朝食時このパンを食べつつクリスマスの到来を楽しむのですが、
今年のような時こそ、このパンがぴったしかなと、11月も終盤になって早速作り始めました。

このパンは一般的なパンと違って酵母発酵と同時に乳酸発酵もさせなければなりませんので、
何回も種生地作りを繰り返しながら乳酸菌を取り込んでいきます。
そのため生地が出来上がるまで手間暇がかかりますが、
その分乳酸の爽やかな風味に富んだ優しい香りに溢れたパンが出来上がります。
かつその乳酸のおかげで何か月でも日持ちする一方、日ごと風味が深まりますので、毎日その変化を楽しみながらクリスマスを迎えることができるのです。

さてそんな手間暇がかかりそうなパネトーネですが、
工程は大まかには、酵母菌の育成、イーストママ作り、種生地作り、パネトーネの生地作り、焼成の手順になります。
この順番に沿って説明しますと、

第一段階としてまず酵母菌の育成から。
今回はこの酵母菌として山ぶどう酵母を使うことにしました。
この酵母菌は売られている訳ではありませんので、まずこれを手に入れることから。
これには、この酵母菌が棲みついている山ぶどうを使います。
方法はいろいろありますが、私はまず山ぶどうジュースを作りそこから酵母菌を抽出することにしました。
山ぶどうには天然の酵母菌が棲みついていますので、これを絞ってジュースを作ろうとるすると、酵母菌が活動し始めジュースが自然発酵してきます。
この自然発酵菌たる酵母菌を育てます。
とは言え山ぶどうは10月に実るものですので、この月にしか手に入りません。
従って10月に購入し、ジュースを作っておきました。

蛇足になりますが、ジュースの作り方は以下の手順で。
山ぶどうは当地では売られているのを見たことがありませんので、通販で取り寄せました。
取り寄せた山ぶどうはこちら

 

これをビニール袋に入れ、足で踏みつぶします。

 

これを樽に入れ、毎日かく乱させながら熟成するまで待ちます。

 

熟成するとこんな感じ。

 

これを搾ってジュースの完成です。

 

酵母菌の抽出には関係ありませんが、搾り滓はジャムにします。
プロと違ってしっかりとは搾り切れませんので、搾りかすにはまだたくさんの有用な残滓が残されていますので、これを有効活用するものです。



搾りかすに水を加えてしばらく煮た後、裏漉しします。



これに砂糖を加え煮詰めてジャムの出来上がりです。

 



酵母菌抽出の前段階が長くなってしまいましたが、
いよいよ上記山ぶどうジュースを使って酵母菌の抽出から。
山ぶどうジュースに砂糖を少し加え、25℃に温度設定したヨーグルトメーカーに入れ、60時間ほど発酵させます。
細かな泡が出てくれば酵母菌が活性化して発酵している証拠ですので一安心。



これで発酵が完了し、酵母菌が取り出せました。

さて次は第二段階としてのイーストママ作り。
上記酵母菌が活性化された発酵液と小麦粉を併せこね、発酵させてイーストママ作りの完了です。

 

第三段階は、種生地作り。

上記イーストママに小麦粉と水を加え、練って発酵させ休ませてと、一日一回これを何日も繰り返し強い酵母菌を育成すると同時に乳酸発酵も促します。

次の写真は、生地発酵2回目のもの。
この段階では生地をキャンバスにくるんで発酵させます。



キャンバスがガチガチに膨らんだ後の生地は、こんな感じ。

 

さらにこれを使い新たに種生地作りを続行。
次の写真は、最終種生地の出来上がったもの。

 

これでいよいよ本段階たるパネトーネ生地作り。
上記種生地に小麦粉、卵黄、グラニュー糖、バター等を加えてねり、まず第一段階の生地作り。
発酵前、発酵後が次の写真。

 

これでやっとパネトーネ生地作り最終段階に入ります。
上記生地にサルタナレーズン、オレンジピール、レモンピールの他、卵黄他味のもととなるような具材を加え、しっかり混ぜ合わせます。
これをパネトーネカップ大の分量として300gづつに丸め分け、30分ほど休ませた後、パネトーネカップに入れます。



これを型の淵まで膨らむまで室温でじっくり発酵させます。
半日から長いと丸一日かかります。
次の写真右側は発酵完了後。頭の部分にナイフで十字を切り表皮をむいています。
これは焼きの膨張で裂けないように、かつ丸く膨らむようにするためです。

 

発酵が完了したら、いよいよ焼成。
180℃のオーブンで30分ほど焼き上げます。
焼き上がり直後は、こんな感じ。

  

型の下の方に金串を2本刺し、ひっくり返して写真のように放冷します。
これは、そのまま置いて冷やすと山のように膨らんだ生地が冷める時重力に引っ張られて下側にへこみますので、これを避けるためです。



冷やし終えたのは、こんな感じ。
表面の膨らみはそのままキープされています。



これを1個づつビニール袋に入れ、数日間熟成させて完成です。



今回は3種類作りました。
通常のシンプル版はこちら。



次の写真は、シンプル版にさらにラズベリーと、上記山ぶどうジャムをまぶした和胡桃を加えたものです。
これはフランスリヨンの名物パン、プラリーヌ・ブリオッシュにヒントを得たものです。
この胡桃は近所の公園の胡桃の木に実り、9月になって落ちたものを拾ってきたもので、
1か月ほど土に埋めたままにして表皮を腐らせた後、水で洗って表皮を取り除き、これをくるみ割り器で割って中身を取り出したものです。
一般的に売られているアメリカ胡桃とは似て非なるものです。

    

さらに次の写真は、チョコを加えたもの。
チョコが重かったのか、発酵の時、淵の方まで十分膨らみませんでしたが、
焼き上がりは問題もなく、他のと同様しっとりと大変おいしいです。



パネトーネの大きな特徴は上記のように、酵母発酵と乳酸発酵を同時発酵させるものです。
従って乳酸発酵によって生じた乳酸の風味が香り豊かな味わいを作りだすと同時に、
時間が経つにつれ風味が深まってきます。
一般のパンですと数日でカビが生えてきますが、このパンはいくらでも日持ちします。
経験では、常温で1年経っても美味しくいただけました。
もっとも、通常はクリスマスを終える頃には食べ終えてしまってはいますが。

今回は、例年になく美味しく出来上がりました。
このパン生地は通常パサつくことが多いのですが、今回は大変しっとりとしています。
クリスマスまで毎日楽しめそうです。