暇人おじさんのにゃんにゃんブログ

飲水思源、水を飲みて源を思う、今日も本物を求めて一万歩

真鴨コンフィ・猪バラ肉入りカスレ

2021-02-19 12:56:27 | 洋風料理
ジビエ料理第4弾は、真鴨コンフィ・猪バラ肉入りカスレ。
フランス本国でも、カスレにジビエを使うのは少ないのではと思いますが、
たまたま真鴨と猪肉が手元に揃いましたので、早速ジビエ風味カスレを作ってみました。

カスレに鴨もも肉のコンフィは欠かせないようですので、まずこのコンフィ作りから。
鴨は前回アップした真鴨を使いました。
下記写真のももと手羽を使いました。



これを香味野菜と一緒に70℃ほどに保ったラードで3時間ほど温浴させただけです。
煮あがったら香味野菜は除き、ラードに浸けたままタッパーにいれて保存しておきました。

次はこれを使ってカスレ作り。
本場では鴨コンフィ以外に、そのコラーゲンを利用するために豚の皮や鼻等のコンフィを一緒に入れるようですが、ちょうど猪バラ肉がありましたので、その脂身が同じような効果があるかなとこちらを使用しました。
他にソーセージも必需品のようですので、以前作って冷凍してあった中華風自家製ソーセージと、既製品ですが羊肉のソーセージも加えました。
羊肉のソーセージは、近所のハラール食品店で買った冷凍ものです。



猪バラ肉は事前に30分ほど茹で、茹で汁に浸けたまま粗熱をとってから取出し、一晩冷蔵庫に寝かします。
翌日これをフライパンで焦げ目を付け、切り分けておきます。
次は猪の脂の滲んだこのフライパンを使い、自家製ソーセージと羊肉のソーセージに焼き色を付けます。
さらにこのフライパンを使い香味野菜、とまと、白いんげんを順に入れて炒めます。
白いんげんは、一晩水に浸してふやかしておいたものを煮たててあく抜きしたものを使いました。

次はこれらを深皿に入れ、無水鍋を使い温度を上げないようごく弱火で1時間ほど蒸します。
フランスでは日本や中国式の蒸す料理法はないので、オーブンで蒸し焼きにするようですが、
今回は、オーブンで焼く前に中華料理の扣肉の手法を使って蒸しを入れると柔らかく味がなじんでいいかなとやってみました。
蒸し前は、こんな感じ。
表面の白いのが鴨のコンフィ。ラードを付けたまま入れます。

 

蒸し上がりはこんな感じ。
美味しそうでこのままでも食べられますが、カスレですので次はこれをオーブンで焼きます。

 

溜まった出汁や脂分は減らして土鍋に移し、オーブンで1時間ほど焼きます。
途中何回かかき回し、焦げ目を全体に中まで行き渡らせます。
出来上がりはこんな感じ。

 

小皿に移していただきます。
蒸しを入れていますので、肉、ソーセージ、いんげん豆全てが大変柔らかく、味も深く馴染んでいます。
鴨は真鴨を使っていますので鴨本来の野性味のある風合いも残っており、猪バラ肉の優しさと味わいがうまくマッチしました。
ソーセージは、低温で熱を入れていますので味が逃げることなくしっとりとできあがり、
中華風の方は少し甘みのある中華味が馴染み、羊肉の方はいろいろなハーブで味付けしてあるらしく中東風な風味が楽しめました。
カスレもう一方の主役白いんげん豆も味が十分に浸み、肉出汁にくるまれた豆の甘みが口いっぱいに広がります。
また鴨コンフィに使ったラードや猪バラ肉の脂身からかなり脂が滲んでいるはずですが、脂っこさは一切ありません。
本場フランスではこの高カロリーさ故に、昔風のものはあまり食べられなくなったと聞きますが、
そんなことを感じさせないあっさりした味加減です。

翌日も、翌々日も残り物をいただきましたが、段々味が馴染み、うま味がより深くなっていきました。
ただその分ジビエらしい野性味がなくなってきますが。
初日は前回アップした真鴨テリーヌを前菜に、カスレはメインでいただきました。
フランス田舎風ジビエ尽くしのひと時でした。

  






真鴨のテリーヌ

2021-02-17 13:45:40 | 洋風料理
ジビエ料理第3弾は、真鴨のテリーヌ。

真鴨は当地では売られているのを見たことがありませんので、インターネットで取り寄せました。
雄雌1羽ずつ。
これは鉄砲で撃ったものでなく、網で獲ったもののようです。
事前に米で餌付けしておいた天然物を網で獲るようですね。
これとは別に、鴨が飛び立った時タモを放り投げて捕えるやり方もあるようで、以前金沢近江市場でこの方法で捕えたものを扱っている店を見つけ、送ってもらったことがあります。
羽毛は自分で掃除したことがないので、毛抜きで送ってもらいました。

  

まずこれを解体するところから。

鴨は食べているものによって味が変わると言われますが、喉を切った時の食道や砂肝からそれが出てきますので、プロはその内容で肉の良し悪しを見極めているようですね。
今回砂肝に詰まっていたのは、こんな感じ。
何が入っているのかイマイチよく分りませんでした。米ではないような感じでした。
私の散歩道にある池にも鴨が群れ泳いでいるのですが、岸辺にいるときまき散らした糞が緑色ですので、普通は藻を食べているのかなと思ったりしています。



解体し終わったのはこんな感じ。

 

ガラは2羽分とも出汁取り用に、内臓は2羽分ともテリーヌに、



皮は、1羽分はテリーヌをくるむのに使うので破らないように丸ごとくるっとむき取り、もう1羽分はテリーヌとは別に後日胸肉を調理するとき皮つきで使うかもしれないので肉に付けて切り取りました。



肉は雌の方は全てテリーヌに(写真左)、雄の方は胸肉はステーキ用に、もも肉と手羽はコンフィ用に取り分けました(写真右)。

  

テリーヌ用の肉と内臓は中国の粉酒を振りかけ混ぜ込み、一晩冷蔵庫で寝かしておきます。
粉酒はアルコール分50度ありますので、殺菌と香りづけを兼ねたものです。
ガラは香味野菜ともども白ワインに浸け、これも一晩冷蔵庫でマリネしておきます。

翌日、テリーヌ用の肉と内臓は細かく切り刻みます。

 

テリーヌには猪肉を混ぜますので、このロース肉も一緒に切り刻みました。



ガラは出汁に。
マリネ液から取出し香味野菜ともどもオーブンで焦げ目が出来る迄焼き、マリネに使った白ワインで煮込みました。

 


次はテリーヌ型に詰め込みです。
まず型内部全体にピタッと鴨皮を敷き、内臓と肉のみじん切りに先の出汁を煮詰めたものを併せてミンチ状に練り込んだもの、猪ロース肉の背脂、鴨胸肉塊、最初に入れたのと同じ内臓と肉のミンチ、最後に猪ロース肉の背脂、以上を順に詰めました。
本来はフォアグラを入れ込むようですが、手近になかったので今回はパスしました。
これをトントンと下に打ち付けて空気抜きをし、さらに一旦これを型から外し、ひっくり返して入れ直し、再度トントンと。
詰めあがりはこんな感じ。
これを一晩冷蔵庫で休ませます。



翌日これを蒸し焼きに。
直接熱が伝わらないように一回り大き目の型に入れ2重にし、お湯を張った無水鍋に入れて蒸し焼きに。
温度は60℃を超えないように極く弱火でじっくり熱を入れます。
1時間くらいして温度計を刺して測ったらまだ55℃ほどでしたので、さらに1時間半ほど熱を入れました。
最後熱を測ったら80℃になってしまっていました。



蒸し上がりは、こんな感じ。
粗熱が取れたらラップしビニール袋にくるんで冷蔵庫に入れ、2週間ほど熟成させておきます。

 

2週間後はこんな感じ。

  

中は、こんな感じ。
別途作った真鴨もも肉と手羽のコンフィと、猪バラ肉、自家製ソーセージ、既成品の羊肉ソーセージを併せて作ったカスレと一緒にいただきました。
こちらは別途ページで紹介します。

 

最後温度が80℃になってしまったからか、この分しっとり感が薄れ若干ですがぱらついた感じが出ていました。
それと肉部分は赤身ばかりで脂気がありませんので余計ぱらつき感が出たのかも。
脂を補う意味で猪背脂を敷いたのですが、思ったほど脂が中に浸み込まなかったようなので、
ミンチの中に猪バラ肉も加えると良かったかもしれません。

内臓、鴨肉、猪肉のミンチ部分は臭みはほとんどありませんでしたが、何故か塊で入れた胸肉部分に少し臭みが出ていました。
全体的に、もう少ししっとり感が出ていたら内臓の旨味も冴え、最高だったと思います。





イノシシロース肉のポワレ ねずの実風味

2021-02-01 01:32:06 | 洋風料理
ジビエ料理第2弾は、高橋徳男シェフのレシピ通りに、イノシシロース肉のポワレ ねずの実風味を作りました。

ロース肉は、こんな感じ。
950g取り寄せたのですが、これで400gほど。



前回も作ったねずの実風味ソースと調味料は、こんな感じ。

 

肉は切り分けず、塊のままポワレに。
最初、強火で全面焼き色を付け、次はごく弱火でポワレにしました。
金串を指して焼き加減を確認しながら焼きました。

盛り付けは、ソースの上に玉ねぎのクリーム煮を敷き、



この上に肉を乗せ、さらにねずの実風味の調味料をまぶして完成です。

  

これも大変おいしい料理となりました。
上手く焼けた肉の爽やかさが一番引き立ち、
臭みの立つ養殖肉と違い、これが本当の肉の香りなのだと納得させられます。
ねずの実とジンの風味がこの爽やかさにバッチリです。
玉ねぎのクリーム煮との相性もよく、肉・ソース・玉ねぎのクリーム煮を併せて一緒に食べると味が複層し、肉の旨味が一層引き立ちます。
高橋シェフのレシピには、栗の煮込みが添えられていましたが、これはパスしてしまいました。



ビーツ風味野猪扣肉ボルシチ風

2021-02-01 00:17:08 | 洋風料理
冬になると毎年ジビエを料理するのですが、今年も猪と真鴨を取り寄せました。
ジビエ料理第1弾は、ビーツ風味野猪扣肉ボルシチ風。

扣肉は好きな料理で、豚バラ肉を使った南乳扣肉・梅菜扣肉・芽菜扣肉等を度々作るのですが、
今回は、猪バラ肉を使ってフレンチのようなロシアンのような中華のようなもの、ビーツ風味野猪扣肉ボルシチ風を作りました。
味付けはフレンチ・ロシア風、火入れ法は中華と言った作り方ですが、一応はフレンチです。

今回使った猪バラ肉は、こんな感じ。
脂がたっぷり乗った猪らしい肉です。
これで950gあります。今回はこの半分を使いました。

  

料理は、まず最初に猪骨を使った出汁作りから。
骨と肉は一緒に一晩赤ワインと香味野菜でマリネし、



翌日、骨と野菜はオーブンでローストし、漬け込んだマリネ液で煮込んで出汁を取ります。
肉はローストしないで骨と一緒に煮込みますが、こちらは30分ほどで取出し、冷蔵庫で一晩休ませておきます。
休ませた後の肉は、こんな感じ。

 

骨の方は出汁が1/3ほどになるまでさらに煮詰めます。
5時間ほど煮込むと、こんな感じです。



骨と野菜を取出し、

 

出汁は濾してこんな感じになりました。
これも一晩冷蔵庫で休ませておきます。



次は、休ませておいた肉を油で揚げ、表面に焦げ目をつけます。

  

これを切り分けるとこんな感じ。



次はこれを蒸すのですが、その前に蒸しに使うソースと調味料作り。
ソースは、先ほど作っておいただし汁を使い、ねずの実風味に。
まずねずの実を砕いてバターで炒め、ジンと赤ワインを順に加え煮詰め、次にだし汁を加えて煮詰め、最後にさらにジンを少し加え風味付けし、塩コショウで味を調えて完成です。

調味料は2種類。
一つは、みじん切りにした玉ねぎとしめじ・シャンピニオンをまずバターで炒め、さらにねずの実を加え炒め、最後に塩コショウで味付けします。

二つ目は、梅菜や芽菜に相当するものとして、ビーツを使用します。
まず薄切りにした玉ねぎを黄金色になるまで充分炒め、そこに粗目にすりおろした人参を加え炒め、最後にこれも粗目にすりおろしたビーツを加え炒めます。
これに先ほど作っておいたソースを加えて出来上がりです。

調味料が出来上がったところで、肉の蒸しに入ります。
深皿にまず上記ビーツ調味料を敷き、その上に切り分けた肉を置き、さらに先ほど炒めて作っておいたねずの実風味の調味料をを乗せ、最後にビーツ調味料を乗せます。

 

これを蒸し器に入れて1時間半ほど蒸しました。
蒸し上がり後は、こんな感じ。



本来は、これをお皿にひっくり返して移すのですが、今回はこのままにし、
上のビーツを除けるとこんな感じ。



小皿に取り分けるとこんな感じ。
ビーツの赤い色が染み、綺麗なソースになっています。



中華風に、チンゲンサイと豆苗を炒めたものを周囲に盛り合わせてみました。

 

見栄えは中華風ですが、味はボルシチ風味フレンチと言ったところでしょうか。
猪バラ肉の脂の甘みが冴え、抜群に美味しいです。
脂分が多い分、豚肉の扣肉より深いうま味に満ちています。
肉の臭みは一切ありません。

ねずの実とジンを使ったソース・調味料は、高橋徳男シェフのレシピを使いました。
このレシピは、猪ロース肉をステーキにした添え物としてソース・調味料を使っているのですが、
今回はこれを応用したものです。
次回は、このレシピ通りのものを作ろうかと思っています。