エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;EUにおける画期的な民生部門のエネルギー効率向上)

2011-02-01 07:21:59 | Weblog
EUにおける民生部門のエネルギー効率向上に関しては、03年1月より「建築物のエネルギー性能改善に関する指令」が施行され、建物の新築・大規模改修時、使用時、売買・賃貸借時の建物のライフサイクルのすべてに関して、必要な規制を行うことを加盟国に求めており、加盟国は国別行動計画を策定して対応しています。その内容は、民生部門の省エネ・CO2排出削減のあり方を検討するうえで非常に有益な内容を含んでいます。
具体的には、、建物の新築・大規模改修時には、エネルギー性能要求事項の最低基準の適用を義務付けることにより、一定水準以上のエネルギー性能を満たす建築物しか建てられないようにするとともに、使用時には、ボイラー・空調システムの定期的な検査を義務付けています。さらに、売買・賃貸借時にも一定の仕組みを導入することとしていることが特徴で、売買・賃貸借時には取引時に、「エネルギー性能評価証書」の取得と取引先への提示を義務付けることにより、エネルギー性能の高い建築物がその分だけ適切に評価されるようにしています。
これは、エネルギー性能の高い建築物の普及を図ることにより、より広範に民生部門のエネルギー効率向上を図ろうとするもので、エネルギー性能に対する市場の関心の高まりは、設計会社、建設会社、設備・機器メーカーなどの事業拡大や収益拡大という新たなビジネスチャンスを作り出しています。さらに、建築物所有者や居住者の省エネに関するニーズが高まることにより、エネルギー使用に関するコンサルティングサービスなどを提供するエネルギーサービスプロバイダーのビジネスの成長を促すことも期待されます。
日本では、10年4月から施行されている改正省エネ法において、住宅を建築し販売する事業者(住宅事業建築主)が新築する一戸建ての住宅の省エネ性能の向上を促す措置などが導入され、11年4月以降は、一定の中小規模の建築物(床面積の合計が300㎡以上)について、新築・増改築時における省エネ措置の届出及び維持保全の状況の報告が義務づけられることになっていますが、EUの対応に比べると不十分といわざるを得ません。現在政府の「低炭素社会における住まいと住まい方推進会議」において、改善策が検討されています。