エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;注目されるヒートポンプとLEDの動き)

2011-01-22 00:22:40 | Weblog
HEMS・BEMSに関しては、エコキュート(空気熱ヒートポンプ給湯器)が急速に普及していることにも注目することが必要です。エコキュートは、ヒートポンプ技術で消費電力以上の熱エネルギーが利用できるもので、オール電化住宅向けなどで出荷量を伸ばしてきています。09年10月末、家庭用の給湯システムであるエコキュートの累計出荷台数が202万7千台となり、01年の発売開始以来8年間で200万台を突破しました。価格が1台当たり数十万円で済むということも大きな要因です。
200万台超によるCO2削減効果は、ガス瞬間式、石油瞬間式、電気温水器など従来型の給湯器を使用する場合に比べて、年間約140万トンになると試算されています。また、スマートグリッドでは、需給調整を需要側にある機器によっても行いますが、その機器の候補としては、プラグインハイブリッド車や電気自動車のほか、エコキュートがあります。エコキュートの利点は、電気を熱(お湯)の形態で貯蔵できることですが、現在は、深夜電力でお湯を沸かすために使われているにすぎません。
今後は、太陽光パネルで発電した電気が余った昼間にエコキュートを動かして熱(お湯)で貯めれば、別の時間帯には電気を使わずに済みます。電気事業連合会は、20年に1000万台のエコキュートを導入することを目標としていますので、エコキュート1台当たりの調整能力が1キロワットだとすると、1000万キロワット分の調整が可能になります。
ただし、エネルギーとはいえヒートポンプですから、発電はできないため冷暖房と給湯に限ります。今後は、ビル、工場、商店、病院などの冷暖房・給湯にもヒートポンプ技術を活用した高効率熱供給システムの商品開発を行っていく方向です。東京ガスと日立アプライアンスは、都市ガスを使った吸収ヒートポンプシステムの採用によって、冷房時に捨てていた廃熱を暖房に有効利用するシステムを開発しています。冷房と暖房を同時に実施するデータセンターや商業施設向けに販売します。冷房と暖房を同時にするデータセンターや商業施設では、これまでは冷房廃熱を冷却塔で捨てていましたが、吸収ヒートポンプによって廃熱を回収し、暖房用の温水をつくるのに活用することとしたものです。通年使用でCO2排出量削減率は34%、冷暖房同時実施時は66%との効果を発揮します。
次に注目される動きはLED(発光ダイオード)です。1879年にトーマス・エジソンが発明した白熱電球は、130年間にわたって人類の照明を支えてきましたが、この照明という分野においても、白色LEDという新たな半導体によって革新が起ころうとしています。LEDは自ら光る半導体であり、赤色、緑色はかなり早い時期に実用化され、今は南カリフォルニア大学の中村修二教授が青色LEDを開発したことにより原色がそろい、はじめて白色LEDの量産が可能となりました。LEDは電球に比べて15倍以上の価格ですが、寿命は白熱電球の40倍です。したがって、10年以上は取り換えなくてもよく、消費電力は2分の1から3分の1に減ります。LED照明のメリットとしては、蛍光灯に含まれる水銀を含まないということもあります。
 海外メーカーではフィリップスが積極的なビジネス戦略を展開していますが、国内では、シャープがLED照明事業に本格参入しており、同社は、LEDを液晶、太陽電池に次ぐ第3の主力事業に育成する方針です。三菱化学、日立電線、同和鉱業などのほか、国内半導体大手の東芝やNEC、日本の照明最大手のパナソニック電工なども参入しています。