エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

「スマートグリッド革命」(シリーズ;生き残れる自動車メーカーはどこか)

2011-01-17 00:20:15 | Weblog
「スマートグリッド革命」はクリステンセンの「イノベーションのディレンマ」(Innovator's Dilenmma)を引き起こします。その中で、生き残れる自動車メーカーはどこになるのでしょうか。09年10月放映されたNHK番組『自動車革命』においては、あのトヨタでさえ、「21世紀において自分たちは時代が必要とする企業なのか」(豊田章夫社長)と自問自答し、苦悩する姿を映し出されました。
09年11月トヨタは、ガソリン車の自動車レースの最高峰であるフォーミュラ・ワン(F1)からの撤退を表明しました。直接的な撤退理由は企業収益上からの経費節減ですが、時代の変化を感じさせる出来事でした。さらに10年における全世界で1000万台にも及ぶプリウスのブレーキなどのリコール騒動は、急成長した組織のあり方や複雑化しすぎたガソリン自動車設計のあり方を浮き彫りにしました。
その中でトヨタと違った形で生き残り戦略を展開しているのが日産自動車です。日産自動車は10年12月に電気自動車「リーフ」を5万台発売し、12年には20万台に拡大する計画です。11年には中国市場にも投入します。日産自動車は、米エネルギー省(DOE)から支援を受けて、テネシー州の工場を改修してリーフとリチウムイオン電池の生産を行うほか、GridpointやIdaho National Laboratoryなどとともに、アリゾナ、カリフォルニア、オレゴン、テネシー、ワシントンの5州で電気自動車や充電インフラを構築しつつあります。これはアメリカ最大の電気自動車普及プロジェクトです。
日産自動車は電気自動車を情報インフラにすることも構想しています。電気自動車は2次電池の状態を常にモニターする必要があり、自動車とデータセンターの間で24時間通信する仕組みを構築することになるためです。常時通信するようになれば、例えば車載カメラの映像をデータセンターに収集し,他のユーザに提供することで,カーナビなどの利便性を高めるという応用例が考えられています。日産自動車はこうしたデータを世界的に集めて集約化する「グローバル・データセンター」をも構築しつつあります。今や電気自動車は、未来の移動手段としてだけでなく、低炭素経済社会や新エネルギー社会システムの実現手段として、スマートグリッド社会の一翼を担うことになります。
 また、日産自動車は、電気自動車の普及には自治体や国との連携が欠かせないとして,横浜市と「ヨコハマモビリティ “プロジェクトZERO"」(民間事業者が実施する急速充電器設置への補助、EV購入補助、公用車のEV導入など)を推進しています。また、「EVイニシアティブかながわ」に基づき14年度までに県内3000台EVと100基の急速充電器の普及を目標としている神奈川県とも提携しています。日産自動車は、こうした電気自動車の普及に向けた提携関係を30以上の国や都市と締結しています。