昼下がりのコーヒー豆のあくび アーリーアフタヌーンコーヒー日記

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コーヒー豆屋のちょっとだけゆっくり流れる時間

散瞳

2024-07-06 07:25:07 | 日記
ギリシア神話で愛するニンフ・ガラテイアが、美青年アキスと抱き合っているのを見たキュクロプスのポリュフェモスは逆上し、逃げるアキス目掛けて大岩を投げ圧殺したところを見ると、単眼であるにもかかわらず距離感が正確で、単眼主体(立体)視をマスターしていたのでしょう。尤も生まれた時からですから、当然のことかもしれません。

輻輳(眼球の動き)や調節などで「視る」機能を制御する瞳ですが、縮瞳は輝度が高いと瞳孔が縮み、低いと開く(散瞳)機能。また、近くを見る時は縮み、遠くを見る時には開いてピントを合わせます。実はこの機能、心理的要因でも起こるそうで。個人差はあるようですが。

心理的に近くにあると感じるものを見る時は縮み、遠くに感じる時は開く・・・ルドンの描いたポリュフェモスの単眼は、愛するガラテイアを間近に捕らえているはずなのに、彼女の姿は丘の緑や花の色の同化して、その姿をしっかり見ることができません。

明日は何かと話題の多かった都知事、都議補選。ラストスパートの演説もヒートアップするかも。
その時、候補者や応援する方々のすぐ目の前にいる有権者個々人の姿は、候補者サイドからはしっかり見えているでしょうか。

ちゃんと表情を個別に区別できますか?遥か彼方にピントを合わせていませんか?
心は今そこにありますか?

生身のヒトは数字じゃありません。