ある記憶

遥か遠くにいってしまった記憶たち

酒付けの日々

2007-12-16 01:03:22 | 
4月 新寄宿生歓迎コンパ
5月 逍遥
6月 夏のダンスパーティ
8月 ビールコンパ
10月 神無月の散歩
11月 秋のダンスパーティ
12月 クリスマスコンパ
1月 餅つきコンパ
2月 豆まき大会
3月 卒業寄宿生追い出しコンパ

これらが僕の住んでいた寄宿舎の「公式行事」だ。

「逍遥」「神無月の散歩」とは風情のある名前だ。名こそ粋だがこれが半端ではない。
市街地からバスの最終便で、それぞれ県南部、県東部の辺鄙な漁村に全員で赴き、浜辺でキャンプファイヤーを焚き、その回りで酒を酌み交わす。
深夜まで飲み食いし、語り合い、寄宿生の親睦を図るという目的の行事である。
帰りは当然バスも無いから「徒歩」で、20キロ以上に上る帰り道を、一升瓶片手に歩いて帰ることになる。
道に迷ったり、途中で道端に寝転んだりしながら、それでも皆不思議と無事に寄宿舎に戻ってきた。
驚異的な帰巣本能というべきか!?
僕も「逍遥」で初めてその洗礼を受けた。12時に現地を出て、寄宿舎にたどり着いたのは朝の9時過ぎであった。
河川沿いに帰途についたのだが、その大河が途中で二股に分岐していることに気がつかず、ひたすら山地に向かってしまった。余りに周囲が山深くなり住居が淋しくなっていることに気がついた頃には、既に夜が明ける間際であった。
若くて体力があったとはいえ、もうくたくたであった。もう二度と御免だと思った。
それでも同級の2人と散々道に迷った末に「無事」寄宿舎に辿り着いた。ほぼ最終組だった。
寄宿舎では、寄宿舎の委員会が、大鍋に具沢山の味噌汁とおにぎりを作って待っていてくれた。泣きたくなるくらいあり難かった。得も知れぬ達成感に感無量であった。

委員会は、バイクで出向き、途中で倒れたり「不祥事」を起こしている寄宿生がいないかと、一晩中パトロールをせねばならない。
寄宿舎の委員会こそ大変である。勿論、委員会が行事の主催ということになっている。委員会は、寄宿2年目の学生によって運営されるが、これが地獄の半年なのである(半年ごとに改選される)。

この年2回の「逍遥」と「散歩」。酔って海に飛び込む者、海に投げ込まれる者まで出る始末。激論が高じて殴りあいをする者さえ・・・。
よくぞ「事故」「事件」にならなかったなと今でもつくづく思う。みんな逞しかった。

人間は何があっても強く生きねばならないのだということを嫌でも学ばされる。
その他の行事もまた、結局は酒を飲むことに尽きた。

こうして僕のお酒の許容量はどんどん増大して行くのであったが、しかし、酒を飲んで人生を論じ、様々なテーマで議論することは嫌いではなかった。
勿論、女の事も。



最新の画像もっと見る