ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「テスカトリポカ」 佐藤 究

2022年04月14日 20時22分57秒 | 作家 さ行
テスカトリポカ ハードカバー 2022.4.14読了。
佐藤 究 (著)

第165回直木賞受賞! 鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元! メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。



登場人物の運命が絡まり物語がすすんでいく。これは運命か偶然か神の手引きか? 一体何なんだーとか(小声で)叫びながら読んだ。読んでいる間、旅に出ているような、夢の中にいるような、凄まじい没入感に浸って出てこれない。というより出ていきたくなくなる。この感じはずっと昔に読んで衝撃を受けた垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」以来だ。稀にしか体験できない素晴らしい時間を過ごさせてもらった。クライム小説にアステカの神話を絡めたところが肝だねぇ~。重くて厚い(550頁超)ハードカバーを毎日持ち歩いても少しも苦にならなかった(嘘)。9点。