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ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「弥勒」 篠田 節子 読了!

2014年11月18日 13時36分48秒 | 作家 さ行
「弥勒」 [講談社文庫] 篠田 節子 (著)  2014.11.3読了 。

ヒマラヤの小国・パスキムは、独自の仏教美術に彩られた美しい王国だ。新聞社社員・永岡英彰は、政変で国交を断絶したパスキムに単身で潜入を試みるが、そこで目にしたものは虐殺された僧侶たちの姿だった。そして永岡も革命軍に捕らわれ、想像を絶する生活が始まった。救いとは何かを問う渾身の超大作。


人の生と死とはなにか?人が生きるとはどうゆうことなのか?宗教とは、祈るとは、国とは、民族とは、価値観とは、等等、あらゆる問題が読者に投げかけられる小説。まさに心して読むべき。これほどまでに多くの題材をつめこみストーリーが破綻しないところが篠田さんのなせる業か。最高!…9.5点


「硝子の鳥」 新堂 冬樹 読了!

2014年09月22日 13時23分28秒 | 作家 さ行
「硝子の鳥」[角川文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.9.9読了 。

すべてを隠し潜入捜査を行う美貌の女公安刑事・梓。捜査情報と引き換えにヤクザの上がりをかすめる悪徳警官・佐久間。コリアンマフィア「朝義侠」の残虐非道なリーダー・李。新宿、大久保を舞台に、覚醒剤の密売をめぐって3人の欲望と思惑が入り乱れる。いったい誰が味方で、誰が敵なのか。そして裏切りと不信のうちに訪れた、驚愕の結末とは…。ノワール小説の帝王・新堂冬樹が描く初めての警察小説。一気読み必至の傑作!!



新堂氏初の本格警察小説ということだったけど、やっぱ普通の警察小説にはならないのね。警察の人が主人公のいつもの新堂作品といったところです。まあ、でもそれなりに面白かったし、なんかグレー新堂って感じかな。ところどころ白いところがミソ。
ラストのどんでん返しがまあ読めちゃうところもらしくて良いのではないかい。…6点

「血塗られた神話」 新堂冬樹 読了!

2014年09月15日 14時31分55秒 | 作家 さ行
「血塗られた神話」[幻冬舎文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.9.3読了 。

「悪魔」と恐れられた街金融の若き経営者・野田秋人。彼のまわりで、関係する人が次々と惨殺されていく。常軌を逸した連続猟奇殺人の目的とは!?「金」ほど人間の本性を剥き出しにし、争いごとを生む物はない。人の命など毛ほどの重さも持たぬ街金融の世界で修羅を生きる著者ならでは、超リアルな問題作。


なにせ、デビュー作ですからね。そりゃー、原点ですよ。
街金界で「悪魔」と恐れられていた野田が主人公。悪魔ねぇ~、のちのちの新堂作品の極悪な主人公から見れば、「天使」に見えますが。
読んでみると、これはこれで、サスペンス小説としてなかなか面白いんですが、それより、ストーリーではなく、そこかしこにその後の名作の卵が散らばっている点ですね。ここから「カリスマ」が、「無間地獄」が、白新堂の純愛路線が、その他もろもろと、垣間見れて面白かったですね。…6点

「無間地獄」 新堂 冬樹 読了!

2014年09月10日 13時23分31秒 | 作家 さ行
「無間地獄」[単行本幻冬舎] 新堂 冬樹 (著)  2014.8.27読了 。

サラ金、街金はまだ甘い。最底辺の闇金は生け贄の全てを奪う。財産、職場、家庭、人権。女は肉体、男は臓器。金のためなら命も狙う。人はどこまで堕ちるのか。神への謀反か、悪魔への追従か。逃げるろくでなし、追う人でなし。騙し、騙され、裏切り、嵌める。獰猛な獣たちが咆哮する殺戮と禁断のエクスタシー。


文庫本借りられなくて、単行本で読んじまったよ。458ページって電車の中で読むには重過ぎるが、面白ければ関係ない。この本が新堂さんの闇金系の中では一番面白かったかな。ある意味驚愕のラストだったし。本は借りてもいいけど、金は借りるもんじゃないね(うまい!)。…7点。

「その日のまえに」 重松 清 読了!

2014年09月06日 16時34分00秒 | 作家 さ行
「その日のまえに」[文春文庫] 重松 清 (著)  2014.8.25読了 。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。


気をつけていたのに、電車の中なんかはとくに。いくつかの感涙ポイントを過ぎ、自信過剰になっていた俺は、「赤い歯ブラシ」のあたりでやられてしまった。最悪なことに電車の中だった。
ある日突然訪れる病魔、余命、死といった人生の突然の終わりをどうやってうけとめて、その後、残されたものがどうやって生きていくのかが書かれている。戸惑うし、悲しむし、悔しいし、でもどうにかこうにか受け止めて「その日」に対峙する、本人や、家族の姿。いま思い出しても悲しくなる。
なんか思うのはやっぱさあ、大切なのはさあ、日常のあたりまえを幸せと感じ、一緒にいてくれる人に感謝しながら生きていくことなんだ。とか思ったよ。…7点。

「整形夫婦 アンチエイジング」 新堂冬樹 読了!

2014年09月02日 14時04分28秒 | 作家 さ行
「整形夫婦 アンチエイジング」[ポプラ文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.8.17読了 。

夫に愛されなくなった妻とかつての「若さ」を取り戻したかった夫。『老いる』ことは罪で、『若さを保つ』ことが正義なのか?「老い」に過剰に抗う二人の切実で滑稽な姿から「アンチエイジング」の功罪が浮かび上がる新堂冬樹の異色小説。



なんだろうなこれ、「アンチエイジング」とか「整形」の話しではじまって、いつのまにやら得意の借金まみれの無間地獄状態突入。成れの果てはお決まりのパターンでした。なんか中途半端。…5点。

「銀行籠城」 新堂冬樹 読了!

2014年08月22日 17時05分49秒 | 作家 さ行
「銀行籠城」[幻冬舎文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.8.16読了 。

うだるような猛暑の七月十五日午後三時、あさがお銀行中野支店で惨劇は起こった。閉店寸前の行内に押し入った男が、男性客と案内係を次々に射殺。人質にとった行員と客を全裸にし籠城した。何ら具体的な要求をせず、阿鼻叫喚の行内で残虐な行為を繰り返す男。その真の目的とは何なのか?現代社会の歪みを描ききったクライムノベルの最高傑作。


あまり、前評判が良くなかったので、そんな先入観のせいなのかなかなかおもしろかった。(もっとエロいの期待してたんだけど…)
男が銀行に籠城し、恐怖で人質を支配していく。そして描かれていくのは、人の心の汚さ。人は極限状態に置かれると本性が露呈しちゃうからね。警察も、保身人間の集団だから、うまくいかなくなると結局は責任のなすりつけあい。そんでもってキャリアとノンキャリの対立。人質の生命よりも自分の立場の方が大事なんだからしょうがないわな。
まあ、こんなところは例によって人の汚さを描かせたらうまいですからね新堂さん。おもしろく読めるわけですよ。
でも、しかし、やはり、評価があまりよろしくなくなってるのには理由があるわけで、わたしも読んでて思いました、この非現実感。この犯人、別に元グリーンベレーとかじゃないわけですから、こんなに冷静沈着正確無比に篭城と殺人をこなしていけるんですかね。警察の出方もみんな先に読んでるんですよ。やっぱ、ちょっと無理があるでしょう。しかも、落ちが…。まあ、そういうところには目をつぶって(なんだそりゃ?)ですね、読んでみてください。…6点。

「闇の貴族」 新堂冬樹 読了!

2014年08月20日 20時38分35秒 | 作家 さ行
「闇の貴族」[幻冬舎文庫] 新堂冬樹 (著)  2014.8.15読了 。

眼球が飛び出し、ペニスを釘で打ちつけられた惨殺死体が見つかった。それは倒産整理会社の経営者・加賀篤が目をつけた破産寸前の企業の社長だった。加賀は自身の部下をはめて犯人を殺させ、数十億の金を手にする…。いつしか巨万の富と権力を手にし、「闇の貴族」と称される加賀。だが、既に崩壊は始まっていた。裏社会を熟知した著者の衝撃作。


デビュー1年後ぐらいの初期作品。読んでみて思うのは、ああ、この作品が最盛期の新堂作品の原点なんだなって思うこと。
ほとんど、この作品で出揃ってますね。あぶない業界の裏事情解説、暴力、キャラクター、エロ(この作品はエロ少ないな)、グロ、変態登場、かっこいいアサシン等々。それにおなじみの台詞なんかも。
ただそれだけではなく、一見、読者にストーリー展開が読めた!なんて思わせておいて、それを凌駕してくるサブストーリーだったり、どんでん返しだったりと読ませるうまさ。しかも本作の中にはその後の白新堂につながっているような場面も散見されます。この作品以後、ばんばんと新堂さんは後の代表作となる作品を発表していくわけです。…7点。(8点つけたいんですが、エロとグロが物足りない)

「炎(ひ)と氷」 新堂 冬樹 読了!

2014年08月15日 15時34分17秒 | 作家 さ行
「炎(ひ)と氷」[祥伝社文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.8.8読了 。

「行内融資を担保に金を借りたい」暴利の競馬金融を営む世羅のもとに堅物の銀行マン赤星が訪れた時、運命の歯車が狂い始めた。赤星の裏で巨額の強奪を画策していた男こそ、世羅の親友で風俗金融を経営する若瀬だったのだ。燃えるような暴力の男・世羅と、冷徹な頭脳の男・若瀬。闇社会の制覇を目論む二人が袂を分かった時、“炎と氷”の壮絶な戦いが幕を開けた。



武闘派闇金屋の世羅(ゴリラみたいだけど設定よりは結構頭働くんだよ)、狡猾でクールな闇金屋の若瀬。
ふたりは親友。そんで、いちお、性格は炎と氷ほど違うという設定。
一人しか立てない闇金融世界の頂点を争うことになるんだけど、親友なんだから、協力したらいいのに。
でも、このふたり。ともにものすごい強欲。(似てんじゃん)
友情より金を迷わず選択するタイプだもんな。やっぱ戦うしかないか。
そんじゃ、やっぱりラストは予想通りこうなるよね。
まあ、ある意味期待通りの作品になっているのではないかな。
新堂ファン、納得作品だと思うよ(なんかエラそうなのがスイマセン)。…7.5点。

「鬼子」 新堂 冬樹 読了!

2014年08月13日 00時56分09秒 | 作家 さ行
「鬼子」(上・下)[幻冬舎文庫] 新堂 冬樹 (著)  2014.8.5読了 。

売れない作家の袴田勇二は、同居していた母の民子が死んで以来、急に暴力的になった息子の浩に翻弄され続けていた。妻の君江までよそよそしくなったばかりか、袴田の唯一の味方だった娘の詩織が浩の不良仲間に凌辱され、完全に家庭崩壊の危機に直面していた。いったいなぜ、素直な息子が悪魔に豹変したのか?稀代のストーリーテラーの新境地。

袴田は編集者の芝野から息子の浩の悪行と家庭崩壊のすべてを暴露するノンフィクション『鬼子』の執筆を迫られていた。断れば作家生命を失う。本を出せば生き恥をさらす。収入源も断たれ苦悩するが、娘の詩織が自殺し、完全に地獄に突き落とされる。それでも浩の暴拳はエスカレートし、ついに息子殺しを決意する。最後まで目を放せない衝撃作。

新堂/冬樹
1966年生まれ。金融会社勤務を経て、現在は都内各所でコンサルタント業を営む。第七回メフィスト賞受賞作「血塗られた神話」(講談社ノベルス、講談社文庫)でデビュー



まあ、新堂さんの小説でこの手の主人公の場合は、病的に勘違い野郎の可能性が高いので、たぶんこんなことなんだろうと予想はついた。急に良い子の長男が時を同じくして母親とともに変になるというのは、まあこんなんだろう。
また、一番善人っぽい登場人物は得てしてとんでもないろくでなしだったり、切れ者であったりというパターンが多いので、この物語に登場する善人も陰でなんかやってんだろうとは思っていたが…すべての顛末を書くわけにはいかないので、アレだけど、あの小説のアレは出来すぎというか無理があるというか、急に書けるもんかな? だから思いもよらなかっよ。反則っぽいからしょうがないけど。
ほんと、この小説は、主人公のアホさ加減に笑わされて、壮絶な家庭内の状態に驚かされて、ちょっと(ちょっとね)泣かされる、インパクトのある小説でした…8点。(新堂さんのなかのマイベスト3に入れとくよ)