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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

グッバイ・クリストファー・ロビン

2018-12-07 09:38:16 | 英国俳優
Goodbye Christopher Robin

Directed by Simon Curtis
Produced by Steve Christian Damian Jones
Written by Frank Cottrell-Boyce Simon Vaughan
2017 UK

ネタばれが含まれますのでご注意ください。


やっと観れました。
この映画は「くまのプーさん」の作家、A・A・ミルンの半生を実話に基づいて描いています。
日本は未公開で先月かな?DVDのみ発売となっています。

主なキャストです。

A・A・ミルンはドーナル・グリーソンが演じています。

ミルンの瞳が青かったのでミックネームのブルーで呼ばれています。
やっぱり好きだわ、ドーナル・グリーソン。
私の目にはイケメンとしか映りません。

妻のダフネはマーゴット・ロビー 。「アバウトタイム」でも共演していました。
派手好きと言われていた奥様を好演していらっしゃいます。


ミルンの息子、クリストファー・ロビン(ビリー)はウィル・ティルストン。
丸い目とかわいらしい前歯が印象的です。


成長したクリストファーはアレックス・ロウザー。
イミテーションゲームで若アランを演じていました。


クリストファーのナニー、オリーヴ(ヌー)ケリー・マクドナルドです。
The Child in Time でベネディクト演じるスティーヴンの妻ジュリーを演じていました。



イラストレーターのアーネスト・H・シェパード。くまのプーさんの挿絵を描いています。
演じているのはThe Child in Timeでチャールズ・ダーク役のスティーヴン・キャンベル・ムーア 。



1941年、サセックスにある美しいアッシュダウンの森を郵便配達人が通り抜けミルンに電報を配達します。

そして1916年に遡ります。

第一次世界大戦、最大の会戦と言われているソンムの戦いから生還したミルンは
壮絶な経験をしたためにPTSDになっていました。


ミルン夫妻に男の子が産まれます。クリストファー・ロビンと名づけられました。
でもダフネは男の子は戦争にとられてしまうからとナニーをやといパーティや旅行に明け暮れていました。


ブルーは劇作家として成功しますがPTSDはいっこうに治らず、
反戦を訴えるものを書くためにサセックスに引っ越すことを決めます。


ダフネは子どもを振り返らない冷たい母親のように見えますが、
ぬいぐるみで遊んであげる一面もあって、
プーさんに登場するキャラクターはダフネがビリーと遊んだぬいぐるみです。


とはいえ映画のダフネは自分中心であることは間違いないです。

サセックスに移っても思うように書くことができず
見かねたダフネはロンドンに帰ってしまいます。

ある日ヌーが母親の看病で休暇をとり家政婦さんも不在で
ブルーとビリーふたりきりの生活が始まりました。

この映画の見どころは何といっても100エーカーの森の美しさでした。


この森をふたりで散歩しながら距離を縮めていく父子。
ブルーのPTSDもこの森とビリーによって癒されていきました。


子どもって本当に無限の可能性を秘めているんだと感じました。

「自分のためのお話を書いてほしい」
ビリーの願いがきっかけで
ビリーとビリーがずっと大切にしていたテディベアの物語が生まれます。
主人公の名前はビリーの本名、クリストファー・ロビンでした。


アーネストの挿絵で出版された本は飛ぶように売れ社会現象にまでなります。
疲れ切った国民に必要なのは反戦を唱えることではなく
現実を忘れさせてくれる夢のストーリーだったんですね。

ここでハッピーエンドなら良かったのですが
現実はとても厳しかったです。


ダフネも戻り夫妻はラジオや雑誌の取材に引っ張りだこ状態。
ビリーの誕生日には派手なプレゼントを外出先から手配しましたが
実際にそばにいたのはヌーだけでした。

やがて「クリストファー・ロビン」もイベントや撮影の仕事が増え続けます。
「自分を知らないところに行きたい」とビリーが言います。


ダフネは注目を浴びるのが好きだしブルーも自分の名前が売れるのは嬉しい事なので
ビリーもきっと喜んでいるんだろう、と思ってたのかな。

誰よりも一番ビリーを理解しビリーの幸せを考えていたヌー。
そんなヌーにも春が来てデートしているところを見たビリーが怒って
ダフネに言いつけてしまいます。

ダフネはヌーを呼び出し言います。
「ビリーを裏切った。子どもの幸せより自分の幸せを優先した。」
と、完璧なまでのお前が言うななセリフ。
さすがのヌーもこれにはブチ切れ。
「子どもと向き合って。」と言い残し辞めてしまいました。

ダフネは現実と向き合うのが苦手なのかもしれません。
いつかは戦争で失ってしまう男の子を授かった時からダフネの心は逃避していたのかも。

ヌーから渡されたビリーのスケジュールを見て驚くブルー。
ビリーが置かれた状況をようやく理解したブルーは
2度とプーの話を書かないと約束し、ビリーを寄宿学校に入れます。

でも子どもは残酷で容赦もありません。
ビリーを待ち受けていたのは寄宿生による執拗ないじめでした。
結局ビリーはどこに行っても「クリストファー・ロビン」から逃げることはできませんでした。

やがて再び戦争が始まります。
身体検査で徴兵は免れたビリーですが兵士として戦場に行きたいと嘆願します。

戦場へ行く列車を見送りにきたブルー。
そこでビリーはブルーに今まで言えなかったことを言います。
「僕はブルーと森で遊びたかっただけなのに。
でもブルーは物語を書くために僕と森に行っただけだった。」


父親が書いた本によって人生を変えられてしまったビリー。


そして物語は冒頭へ。
電報を受け取ったら現実になるから受け取らないで!と叫ぶダフネが印象的でした。
彼女はビリーの出征時もきちんと見送ることができなかったんです。
実はすごく弱い女性なんですね。

ビリーの戦死の電報を受け取ったブルー。
自分が書いた本のために戦場に追い込み死なせてしまった父親の心情はいかばかりか。
年老いた父親を演じるドーナル・グリーソンが姿勢や振る舞いもちゃんと老けていて、
その苦悩する表情も決して大げさではなく、ああ、不器用なんだな、と思わせるんです。

物語はさらに続きます。
実は生きていたビリーが帰ってきました。

ブルーとふたりで森に入ります。
ビリーは戦場で兵士たちがプーさんの歌を歌っているのを見て
父親が何を成し遂げたのかを知ります。

「歌を歌えば魔法をかけられたようにいつでも暖炉と物語の世界に戻れるんだ。」


泣きました。
号泣です。
疲れ切った心に必要なのはまさにこれなんです。
どうして日本で公開されなかったんでしょうね。

ビリーはプーさんで得た収入を受け取らなかったと言います。
史実ではあまりハッピーエンドではなさそうなんですよね。

この続きが「プーと大人になった僕」になるのかしら。
これもまだ観てないので配信されたら観ないとです。

ダラダラと書きましたがかなり端折っていて、
風船や木の扉、そして原題の「Winnie the Pooh」の由来などプーさんエピソードが満載でした。


2 コメント

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本当に (あきこ)
2018-12-08 16:42:18
日本にはプーさん好きが多いはずなのに、どうして劇場公開がなかったのかしら。暗いからかな・・・。私も幼いビリーの苦悩にはかなり胸が痛みましたが。
後年の老け役を背中で演じていたドーナルくん、すごく良かったんですけどね。
「プーと大人になった僕」はほとんどフィクションで、ディズニーらしいハッピーな家族映画でしたよ。
我らがお兄様、マークさんが嫌な上司の役でご活躍ですwww
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Re:本当に (dico)
2018-12-08 20:13:00
あきこさん
ホントに謎ですよね。
プーさんの作家に暗いイメージがつくのが嫌だったとか?
だとしたら随分観客をバカにしてますけど、うーん、単に売れなさそうだったのかしら。
ビリーの苦悩は有名子役はもちろん全世代の著名人共通の苦悩なんでしょうね。
しかし何と言ってもドーナルくんの演技が素晴らしいです。
背中、そうそう、ホントにそれです!
大人になったプーはお兄ちゃんが出てるんでしたっけ。楽しみです。
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