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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

NT Live Frankenstein その5

2014-04-22 11:12:48 | フランケンシュタイン
ナショナル シアター ライブ「フランケンシュタイン」


ほぼ文章ばかりです。
読みづらかったらごめんさない。

続きです。

「彼女はどこに?見せてくれ。」
ヴィクターはゴムチューブの裏から女性のクリーチャーの手を引き連れてきます。
とても美しく顔には傷ひとつありませんでした。
「どうだ?」
「美しい!」
「そうだろう。」
「腕の産毛やヒップの曲線、なんて細部にわたる仕事だったんだ。」
そう言いながらそっとタッチをするクリーチャー。
「彼女は完璧だ。完璧な妻だ。」
ヴィクターがそう言うと「あなたはすごい。」と感嘆するクリーチャー。
「だが、お前に彼女はやれん。」
「なぜだ?」
「何が起こるかわからないからだ。もし彼女に命を吹き込んだ結果、
どんな危険な事になるか、私には予測できない。」
「俺が自分の汚らわしい素性を克服して理性的な人間になれば、彼女、俺の妻も同じようになれるんだ。」
「なれなかったら?」
「デ・レーシーが俺に道徳を教えた、だから俺が彼女に教える。」
「だがお前は追放者として生きると誓った。もし彼女が街に行きたくなったら?」
「彼女に選択権は無い。俺たちはアルゼンチンに行く。」
「だが、もしも彼女がその契約を拒んだら?よく考えろ。もし彼女がお前を拒絶したら?
お前の姿をひどく嫌悪するかもしれない。お前の姿を見て逃げ出し、
モンスターではなく人間と暮らしたいと言ったとしたら?」
「やめてくれ!あなたは残酷だ。」
「彼女を見ろ!この上なく素晴らしい作品だと思わないか?
彼女の頬、唇、豊かな乳房、この乳房を望まない者などいない。もしも彼女がお前のもとを立ち去ったら?
誰か他の人間に恋をしたら?自分と同じ種のたったひとりの仲間、
唯一ベッドを共にできる人から見捨てられたら、お前はどうする?」
「彼女に見捨てられたら俺は気が狂う!」
「それが危険だと言うんだ。」
「俺は彼女に愛情を与えて尽くすからそんな事にはならない。」
「危険を冒すべきだと?」
「そうだ!」
クリーチャーは彼女の髪をなでます。
「彼女は俺のものだ。お願いだ!Please.」

上段、ベネ博士。下段JLM博士。

「彼女を守ると言ったか?」
「そうだ、誰にも彼女を傷つけさせない。」
「彼女を愛していると?」
「愛している!」
「だが愛は教わるものでも学ぶものでもない。心で感じるか、或いは・・・」
「マスター!俺は愛せる!」
「お前に心があるというのか。」
「ある。信じてくれ。」
「どうやって愛するのだ。」
「全ての命が俺の中から湧きあがり、口からこぼれおちるようだ。俺の肺に火がつき俺の心臓をたたきのめす。
この世界で何でもできるように感じる。」
「そう感じるのか?」
「そうだ。」
ヴィクターがクリーチャーが自分より愛することを知っていると気づいた悲しい瞬間でした。
「だから彼女に命を与えてくれ。俺は必ず彼女を大切にする。」
「その言葉を待っていたよ。我々が愛と呼ぶ感情をお前は理解しているようだ。」
ヴィクターはそう言うと女性のクリーチャーがいるゴムチューブの方に向かいます。
「お前も手伝ってくれ。この状態で彼女を外に出すわけにはいかない(女性のクリーチャーは裸なので)
彼女に服を着せよう。クイーンのように。」
「クイーン!」
「そこのトランクに私の婚約者の服がいくつか入っているから、
お前の花嫁に最も良いものを選んでくれ。私は仕上げをする。必要な時に呼ぶから。」
チューブの裏に入るヴィクター。クリーチャーはトランクのところに行きます。
「レースとベルベットを着せよう。シルクと真珠も欲しいな。
美しい天使のようなイブと庭を歩こう。彼女はイヴで俺はアダムだ。
そうすれば地獄だった記憶は雪のように溶けていく。」
そう言いながらトランクを開けますがそこには古い本がいくつか入っているだけでした。
騙されたと気づいた途端、嫌な音がしたので振り返るとヴィクターが大きな刃物で
女性のクリーチャーを切り裂いていました。

それを見たクリーチャーが叫び声をあげます。

「お前は愛の力の何を知っていると言うんだ。それは理性のない不合理なプールだ。
無秩序で、気まぐれで、不安定で狂ってる!その上コントロールができない。
交尾して子供を産んで地球上にお前のような怪物が100万?ダメだ!
お前のような怪物はひとりだけだ。そうでなければお前は存在できない。」

クリーチャーは横たわる彼女の前に跪きます。
そして「Awake!」目を覚まして!と彼女の腕を持ち上げます。
「俺の美しい妻よ、起きて!起きて!」
「彼女はもう目を覚ますことはない。」
突然クリーチャーはヴィクターに飛びかかり彼の首を絞めます。
窒息しかけた瞬間、ドアを叩く音がして警察官が「ドアを開けてください。」と叫びます。
その声と共に「ヴィクター!」とお父さんも呼びかけています。
クリーチャーはうめき声をあげながら手を離しヴィクターは床に倒れます。
「お前は俺を裏切った、フランケン、これで終わらないからな。」
クリーチャーはそう言うと窓から立ち去ります。

「今何かが逃げていったぞ。」「何だろうあれは。」イワンと警察官の声がします。
ドアを開け、倒れているヴィクターをお父さんが抱き起します。
「お父さん?なぜここに。」
「ずっと戻らないから心配したんだよ、ヴィクター。」
「僕が何をしていたか知らないのに。」
「お前はもう安全だ、息子よ、私と家に帰ろう。」
「お父さん、僕はすぐにエリザベスと結婚しなければ。すぐにだ!」
「息子を船に乗せるから手伝ってくれ。」
「はい。」とイワンがヴィクターを連れていきます。
その時、ヴィクターが日記を見つけお父さんに渡します。
「お父さん、これを処分してください。必ずしてください。」
「お前の日記か?」
「もう2度と読めないように燃やしてください。どうか約束してください、処分してくれると。」
「わかった、処分しよう。さあ、家に帰ろう。」

ヴィクターはお父さんと外に出て行きます。
警察官は血まみれで倒れている女性のクリーチャーを見て、
「彼は何をしていたんだ。」と言います。
「医学の研究だと言っていました。」とイワン。
「研究?Holy Christ!」
そう言いながら警察官はクリーチャーに布をかぶせます。

場面は再びフランケンシュタイン家に移ります。

続きます。

2 コメント

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Unknown (HAL)
2014-04-22 12:08:21
ぜひ映像で観たかった!と思わざるをえない場面ですね…。

ヴィクターは、クリーチャーが繁殖して手に負えなくなることも恐れているんでしょうが、
それ以上にクリーチャーが愛を知っていることに嫉妬して、憎悪しているようにも見えます。
読んでるだけで切なくなってきて、これを舞台で観ていたらと思うと、号泣してるに違いない(笑)
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Re.Unknown (dico360)
2014-04-22 22:35:55
HALさん、
こんにちは!
うん、本当にぜひ映像で観てほしかったです。
こんな事なら隠し撮りでもすれば・・・嘘です!
そうなんですよ、ヴィクターは恐れよりも憎悪しているように見えますよね。
恐れはクリーチャーに対してではなく、作った行為に対してかもしれません。
私もヴィクターとクリーチャーの会話が切なくて、ついついほぼ全文載せてしまいましたが、
ここから先はもっとせつないので、HALさんを泣かせられるようになるべくリアルっぽさを出せるよう頑張ります(笑)
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