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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

ホロウ・クラウン ヘンリー4世 2/2

2016-06-08 07:27:39 | The Hollow Crown
The Hollow Crown:Henry IV
Based on Henry IV, Part1 Henry IV, Part 2 by William Shakespeare
Screenplay by Richard Eyre
Directed by Richard Eyre


続きです。


王からの和解の勧告を受けたウスター伯ですが保身からその言葉を握りつぶし、開戦となります。
両軍入り乱れる中、フォルスタッフは器用に避けながらその場から遠ざかっていきます。
ハル王子が戦いの最中に剣をなくしてしまったのでフォルスタッフに剣をよこせと言うので
銃ならかしてやるとフォルダーごと王子に投げますが中身は酒瓶でした。
このあたりって喜劇なの?
私はもうハラハラしっぱなしで、後ろからフォルスタッフをどつきたくなりましたけど。
そんな事をしているうちに敵に囲まれ馬から落ちた王子は傷を負ってしまいます。
父王が離脱しろと言いますが、兵士の士気が下がるからと拒否し、とりあえずテントに行くことになりました。

一方、ホットスパーたちも苦戦を強いられていました。
ウスター伯も馬から引きずり降ろされてやられてしまいます。

激戦地から少し遠ざかったところでハル王子はホットスパーとばったり会い、対峙することになります。
そこにはちょうどフォルスタッフもいて、彼は木の陰からこっそりと見守っています。


ホットスパーが名乗った時のハル王子のセリフがちょっとかっこよかったです。

Why, then I see.
A very valiant rebel of the name.
I am the Prince of Wales; and think not, Percy,
To share with me in glory any more.
Two stars keep not their motion in one sphere.
「ああ、なるほど。それは勇敢な反逆者の名前だ。
私はプリンス オブ ウェールズ。
もはや私と栄誉を分かち合えるとは思うなよ、パーシー。
二つの星が一つの軌道で回ることはできない。」


ハル王子の言葉に陰から「よく言った!」と応援するフォルスタッフ。お前は明子姉さんか。
そしてあまりの激戦にフォルスタッフはその場で死んだふりをしています。

満身創痍のハル王子はかなり苦戦しましが一発逆転でホットスパーを倒し、
倒れているフォルスタッフのもとに。
フォルスタッフが死んだと思っているハル王子は彼の死を悼みつつその場を離れます。

ハル王子が立ち去った後起き上がったフォルスタッフは自分の剣でホットスパーを刺し、
舌先三寸で自分の手柄にしてしようとします。
ハル王子にはフォルスタッフのウソだとわかっていましたが、必死のフォルスタッフに絆されたか、
もしくはただ面白がっていたのかもしれません。
ウソで褒美がもらえるなら自分も取り繕ってやる、とフォルスタッフのうそに乗ることにしました。

ハル王子の弟、ジョンも唖然とした様子です。

王側が勝利し和解の勧告を捻じ曲げたウスター伯は死刑を言い渡されます。
でもちょっと具合が悪そうな王様でした。


ここまでが第一部。
第二部では、ホットスパーは倒れましたが反乱は収まらずヨークの大司教たちが兵をあげます。
ホットスパーの父、ノーサンバランド伯も参戦しようとしますが、
妻やホットスパーの妻に説得され、様子を見ることにします。


イアン・グレン演じるヘンリー4世の側近、ウォリック伯登場。大好きな役者さんです。

ダウントン・アビーではちょっと嫌な成金男を演じていましたが最後は潔く身を引いたりしてかっこよかったです。
そういえばゲーム・オブ・スローンズにも出ていました。

そしてハル王子はといえば、再びロンドンに現れポインズと遊んだりしています。
それを知ったヘンリー4世はかなりショックを受けています。親孝行しないとだよ、ハル王子ー。

サービスショットか?

しかし以前のハル王子とはちょっと違うんです。
書物を前にひそかに学んでいる場面があります。
王となったときに英知を発揮できるよう準備をしているんでしょうね。

ヘンリー4世は眠れぬ夜を過ごしていました。
リチャード2世から奪い取った王冠が同じように奪い去られてしまうかもしれないという恐怖を
ヘンリー4世はずっと抱いていました。
この場面、ジェレミー・アイアンズの長い独白ですが、とても見事でした。


一方フォルスタッフは反乱に備え徴兵を言い渡され、旧友のシャロー判事のもとを訪れます。
また、ハル王子の弟、ランカスター公ジョンの活躍で反乱軍を捕らえ終結します。
反乱側の要求をすべて受け入れるように見せかけて油断させるというだまし討ちな作戦だったのですが
お互いの被害を最小限におさえるにはこれが最良の手段だったように思います。

ジョン王子、立派になりました。

その報告にヘンリー4世は喜びますが、その場で倒れてしまいます。
王冠を枕元に置きベッドの横たわるヘンリー4世を見たハル王子は王が死んでしまったと思い込み
枕元の王冠を取り上げます。


この時のハル王子の有名なセリフです。
This is a deep sleep indeed -
this is a sleep that has removed the golden ring from the heads of many English kings.
底なしの眠りよ。これは数多くのイギリス国王から黄金の冠を奪い去った眠りだ。

王子は王冠をかぶり玉座に座ります。
そして今まで泣くことができなかった王子が父王の死にやっと心から泣くことができたように見えます。


実はヘンリー4世は眠りについただけだったので目を覚ますとハル王子が王冠を奪ったと誤解をしてしまいます。
ハル王子を責める父王でしたが、王子の心からの言葉を聞き和解をします。
「父上の命を奪った王冠と正面から対峙したかった」とハル王子。


父王はハル王子に、王になったら父の味方を自分の味方に引き入れるよう忠告し、
ハル王子が見守る中、永遠の眠りにつきます。


ヘンリー4世が死去しハル王子がヘンリー5世になると知ったフォルスタッフは
自分の時代が来たと盛り上がり、ハル王子のもとに駆け付けます。


一方、ハル王子は父王の教えを守ります。
これからは生まれ変わり国に尽くすことをみんなの前で誓います。
王子はこの誓いを生涯守ることになります。
そして、それはすなわち王子時代と決別するという事でした。


ハル王子(ヘンリー5世)が自分を厚遇してくれる事を疑わないフォルスタッフ。
しかし王子に冷たくあしらわれ、果ては追放を言い渡されてしまいます。


この場面、ものすごく切ないんです。
フォルスタッフが縋るように「My King! My God! I’m talking to you, my heart!」と叫ぶのですが、
「I know you not, old man. 」お前など知らぬ、とハル王子。
だけど何だか感情が消えた表情で、言葉も棒読みな感じで。


この結果を招いたのはもちろんフォルスタッフ自身の増長なのですが、
増長させたのはハル王子で、王子もそれを分かっていたと思うんです。

酒場の寸劇で同じやりとりがありました。
王子はおそらく本心ではないだろうけど、王冠を引き継いだ以上自分の感情で行動することは許されません。
王子とフォルスタッフはとても不思議な関係だと思いました。
王子にとって友人であり人生の師でもあるような気がしますが、そのどれでもないような。
でも王子はかなりフォルスタッフを気に入っていたんでしょうね。
フォルスタッフの世渡り上手なところは認めていたし敬意もはらっていたようにも思います。

「ヘンリー4世」は正当な世継ぎではなくリチャード2世から王位を奪還した事への様々な葛藤と
放蕩息子の成長物語なんだと思います。
そしてハル王子はフォルスタッフとの関係を切ってしまう事で現実に生きる事を選択したように思います。
フォルスタッフたちと過ごした時こそハル王子にとっては夢のような甘い時間だったのかもしれません。


追放を言い渡していますが、生活に困らないようお金を渡すことを約束しています。
王子の態度にかなり衝撃を受け、放心状態なフォルスタッフでドラマは終わり、
ヘンリー5世へと続きます。


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