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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

パトリック・メルローズ 「Never Mind」その6

2018-10-25 16:56:10 | Patrick Melrose E2
Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"

Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger


一覧 → パトリック・メルローズ 「Never Mind」

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Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)




エレノアたちが戻ります。
ニコラスをブリジットが先に邸内に入り、エレノアはアンと話をしています。



EM:8時からよ。遅れないでね。それと、さっきの会話は忘れてね、いい?
AM:もちろんよ。

アンがコテージに戻ります。

ニコラスたちがメルローズ家に入ります。

NP:ここのすばらしさを忘れかけてたよ。
EM:ここで生活している私はもうすっかり忘れたわ。
NP:エレノア、そんなさみしいことを。本心ではないと言ってくれ。
EM:わかったわよ、本心じゃないわ。

BS:きれい。欲しいわ。
EM:デイヴィッドも同じことを言ったわ。
だから買ってあげたのよ。素晴らしい計画があったのよ。
アルコール中毒の施設を作ろうとしてたの。
ある意味、既に施設になってるけど。
荷物のことは心配しないで。
イヴェットに任せてあるから。
NP:デイヴィッドはどこに?
EM:お風呂で溺れてるんじゃないかしら。
イヴェットに探させるわ。


エレノアが先に中に入ります。

BS:彼女、すごくハイね。
NP:君が疲れてるかもしれないから軽めの会話をしてると思わないか?
BS:これが例の?
NP:なにが?
BS:イチジクの木よ。
NP:同じ木?


ブリジットは地面に手をつき四つん這いになります。
ニコラスがあわてて止めます。

ブリジット、やめるんだ。
立てよ。デイヴィッドに見られたらどうするんだ。


デイヴィッドが窓から見ていました。
ブリジットは口でイチジクを拾います。


NP:立てと言ってるだろう。ブリジット!
BS:どうしてみんなデイヴィッドを怖がるの?
彼があなたに何をするというの、ニコラス。


DM:誰の声かと思ったよ。

デイヴィッドが上から声をかけます。


NP:デイヴィッド!会えてうれしいよ。
彼女はブリジット・ワトソン・スコットだ。
DM:Hello, my dear.
BS:ここは本当にステキなところね。
DM:まあしかし、マシンガンひとつあれば谷をまるごと支配できてしまうところだよ。
そこにいてくれ、降りていくから。イチジクの木の下でお茶にしよう。



庭でお茶を飲む3人。


DM:君はこれからも結婚式や告別式に行くつもりなのか?
NP:今でも結婚式には行ってるけど、追悼式をもっと楽しみたいね。
DM:プレゼントを持っていかなくてもいからな。
敵の追悼式には行くべきなんだ。
そこには長生きの喜びがある。だが休戦の機会でもあるのだ。
赦しはとても重要なのだ。そう思わないか?ブリジット。
BS:ええ、そうね。何よりあなたがみんなから赦しをもらうことがね。
DM:何よりあなたがみんなから赦しをもらうことがね。


エレノア登場。

EM:あら、どうしてみんなここにいるの?まぶしいわね。
BS:イチジクを踏まないように気をつけて。 


ブリジットは足元にあるイチジクを拾います。

BS:奇妙だと思わない?紫と白がこんなふうに一緒になってるのよ。
DM:気腫を患った酔っ払いのようだ。

BS:完璧よ。

ブリジットはデイヴィットに見せつけるようにイチジクを食べます。
その様子を見ているデイヴィット。


ブリジットは視線を前に向けます。


BS:あら、見て。男の子がいる。
EM:息子のパトリックよ。

パトリックは畑を歩いていました。

BS:子どもがいるの?

エレノアがパトリックに向かって声をはりあげます。

EM:パトリック!こっちにきたら。お茶してるのよ。

デイヴィッドも話しかけます。

DM:パトリック、こっちに加わりなさい。

立ち止まるパトリック。


BS:聞こえてないんじゃないかしら。
NP:聞こえてるよ。
BS:面倒なのよ、きっと。
お部屋に案内してくれるかしら。お風呂に入って荷物も出したいわ。
EM:もちろんよ、ついてきて。



続きます。

パトリック・メルローズ 「Never Mind」その5

2018-10-22 22:02:04 | Patrick Melrose E2
Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"

Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger



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Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)



ブリジットとニコラスがフランスに到着します。

着陸した飛行機のトイレでブーツからたばこを取り出し火をつけるブリジット。
先に降りたニコラス。


ブリジットも降りようとしたその時、男から声をかけられます。

BA:ブリジット?ブリジットだよね?
BS:バリー!驚いた。
BA:今朝、ちょうど君の事を考えていたんだよ。
共時性ってやつだな。
BS:ここで何してるの?
BA:アルルでジャズフェスティバルがあるんだ。みんな参加するんだよ。
面白ぞ。来なきゃダメだよ。ね、来なよ。
BS:無理よ。私はメルローズ家に滞在するの。
BA:そうなんだ。
BS:電話番号教えて。


空港でスーツケースをピックアップしているニコラス。

EM:ニコラス!

エレノアとアンが迎えにきます。

EM:ごめんなさい。
観覧車が止まっちゃって降りられなかったの。
NP:君らしいね、エレノア。楽しんだようだ。
ちょっと失礼するよ。

遅れて出てきたブリジットに近寄ります。

NP:何をしていたんだ。私は君を探してスーツケースを持ち歩いていたんだぞ。

怒るニコラスにバリーが話しかけます。

BA:カートを使えよ。おじさん。
僕はバリーだ。
NP:二度とバカなまねはするなよ。
EM:ニコラス?

近づくエレノアとアンにブリジットを紹介するニコラス。


NP:彼女はブリジット・ワトソン・スコットだ。
エレノア・メルローズ。
EM:こちらは?

バリーを見るエレノア。

NP:知らないやつだ。さ、行こう。

畑を歩くパトリック。



葉巻を吸うデイヴィッド。
飲み物が乗っているトレーに蟻が数匹歩いています。
葉巻で蟻を焼くデイヴィッド。


イヴェットが外にいるパトリックを呼びます。

Y:ランチは?
PM:いらない。
Y:おなかすかないの?
PM:お父さんといたくないんだ。

ふたりの様子を窓から見ているデイヴィッド。


Y:どうしたの?
PM:ママがいい、ママに会いたいんだ。
Y:私にはどうすることもできないの、ごめんね。

イヴェットに抱きつくパトリック
その様子をじっと見ているデイヴィット。


イヴェットが去ったあと、たくさん落ちているイチジクを次々と踏みつけていくパトリック。
イチジクを手に取り放り投げようとするパトリックにデイヴィットが怒鳴ります。

DM:やめなさい。二度とやるんじゃない。


そのまま固まるパトリック。

PM:僕、何かした?
DM:今すぐ私の部屋に来るんだ!


パトリックは星の名前を唱えながらゆっくりとデイヴィットの部屋に向かいます。

Mercury, Venus, Earth, Mars Jupiter, Saturn, Uranus, Pluto.


ベッドに座っているデイヴィット。
パトリックは部屋の入り口に立つと小さな声で聞きます。


PM:僕が何をしたの?
DM:こっちに来なさい。


一歩中に入り泣きそうな声でもう一度聞きます。

PM:でも僕何か悪い事したの?
DM:お前が一番よくわかっているだろう。
もっと近くに来なさい。

不安そうに黙ったまま立っているパトリック。

DM:キング・シャカを知ってるか?
PM:ううん。
DM:キング・シャカは軍隊を大地に生えるヤブを踏み鳴らさせ、熱いとがった岩を何日も行進させた偉大で無敵なズールー族の戦士だ。
彼らの足の裏は切りつけられ焼かれていった。
その時は憤りや痛みがあったが皮膚が固くなりできたマメのより傷がつくことはなくなった。
何の痛みも感じなくなったんだ。
その時には虐待のように感じていたことは実はギフトだった。
愛だったんだよ。


靴を脱ぐデイヴィット。

DM:今は私に感謝するとは思っていない、
だがお前が大人になった時に私が教え込んだタッチメント(*)の技術に感謝してくれればいい。
ドアを閉めてこちらに来なさい。

(*)ヒトが世界における物事、人物、価値観などへの愛着欲求を克服し、それによってより高い視点を獲得するという概念。


パトリックは壁についているヤモリを見ます。


DM:私に閉めさせるつもりか?

立ったまま動かないパトリック。
デイヴィットが立ち上がります。


DM:ズボンをおろしなさい。

ドアを閉めるデイヴィッド。



ひとしきりの静寂。


ひとりベッドに座るデイヴィッド。
ベッドのシーツは乱れていました。
立ち上がりガウンの紐を締めるデイヴィッド。

畑を全速力で走るパトリック。

ベッドをなおし身だしなみを整えるデイヴィッド。


ランチを食べるデイヴィッド。
イヴェットがサーブをしています。

Y:パトリックの昼食はどうされますか?
DM:食べないからいいよ。


古い建物の中で横たわり泣いているパトリック。

現在。
ベッドの上で離脱症状に苦しむパトリックを解放するジョニー。


続きます。

パトリック・メルローズ 「Never Mind」その4

2018-10-17 20:40:39 | Patrick Melrose E2
Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"

Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger



Previous → パトリック・メルローズ 「Never Mind」その3



Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)





庭に出たデイヴィッドは落ちているイチジクを踏みつけます。


じっと見つめているデイヴィッド。


タクシーに乗っているブリジットとニコラスの会話。

BS:メルローズってどんな人たち?
NP:デイヴィッドは一文無しだった。
彼の恐ろしい父上は彼を勘当したんだ。
彼に残されたのは着古したパジャマだけだった。
BS:なんで?
NP:彼に背くためにあえて医者になるからさ。
以前は作曲家になりたがっていた。なれたかもしれないな。

ドライブしているエレノアとアン。

NP:一方、エレノアはアメリカの大富豪の出身だ。
ドライクリーニング液の特許で稼いだ成金だがものすごく裕福な家だ。
あの家は彼女を口説いて買わせた最初のものだ。
最初の夏みんなでテラスに座っていたら彼女が木から落ちたイチジクが腐って無駄になってる、
世界には飢えて苦しんでいる人がいるのに、と文句を言った。
そうしたらデイヴィッドがとんでもないことを言い出した。
エレノアに四つん這いになって地面に落ちているイチジクをすべて食べろと言ったんだ。
BS:あなたの目の前で?
NP:そう。
でも彼女は抵抗もせずに全部食べたよ。
BS:変態ね。

デイヴィッドはあたりを見渡しパトリックを探しますが姿が見えないので家に入ります。


エレノアとアン。
前の車が止まっているので進むことができません。


EM:充実した人生だわ。
まるでアメリカンインディアンみたい。
早起きして土地のものを食べて生きるの。
チキンが食べたかったら自分で絞殺するのよ。
AM:牧歌的ね。
EM:これはイライラするけど。

車のホーンを鳴らすエレノア。

EM:ランチに行きたいのよ。

エレノアはイラつきながらもう一度ホーンを鳴らします。

AM:パトリックは学校に戻るのを楽しみにしてる?
EM:どうしてみんなパトリックの事を聞けば私が喜ぶと思ってるの?
あの子がどうしてるのかなんて知らないわ。あの子に聞いてよ。
AM:ごめん。私は・・・・
EM:ねえ、今夜はあの子に会えるわよ。どこかに隠れてると思うけど。
そうか、今夜なんだわ。お酒飲まないと。


エレノアは乱暴に車を発進させると前の車を追い越していきます。
目的のレストランに到着しました。

EM:ほら、ここよ。すてきでしょ。
マーセル!マーセル!
戦後、ナチスはマーセル以外の村の男を全員殺したの。
でもラッキーだったわ。何しろ美味しいんですもの。


ふたりはレストランに入ります。

食事をするふたり。

EM:楽しいわね。

ふらふらと寝落ちしそうなエレノア。

AM:ちょっと、起きてよ。


EM:起きてるわよ。私の欲しいもの何かわかる?コニャックよ。
AM:それはお勧めしないわ。
EM:何を言ってるの。
消化の悪いものを食べたあとは飲んだほうがいいのよ。
頭痛がするし。
マーセル、コニャックを。

AM:率直に言ってもいいかしら。
EM:その言葉嫌いなの。
AM:少し飲みすぎじゃない?
E:何が?
AM:こんなランチはあなたのためにも良くない。
パトリックのためにも。
もちろん、家庭内で何が起きてるかは知る由もないけど。
EM:そうよ。わからないわ。
特に結婚もしてなければ子どももいないあなたにはね。

エレノアは食事の代金を払います。
コニャックを飲むエレノア。


EM:私の生活を心配してくれてるから運転してもいいわよ。

エレノアはアンに車のカギを放ります。

森の中で隠れるように身をひそめるパトリック


アンが運転し助手席のエレノアは眠っています。
ラジオをつけるとエレノアが目を覚まします。

EM:だいぶ気分が良くなった。
AM:良かった。


看板を見たエレノア。

EM:ねえ、「OK牧場」よ。行きましょうよ。
家に帰るようだわ。
AM:でも時間は大丈夫?
EM:大丈夫よ。行きましょうよ、お願い。
AM:いいわ。

EM:見て。観覧車よ。


エレノアとアンは観覧車に乗ります。

浮かない顔のエレノア。

AM:あら、あなたのキャデラックが見える。
あなたとこうして過ごせてすごく嬉しいの。
女子だけで出かけられて。
EM:あなたにはわかってもらいたいの。
昔はあんなふうじゃなかったのよ。
AM:デイヴィッドのこと?

EM:初めて会った時、彼の振る舞いは最高にステキだった。
知的で美しかった。
他の紳士気取りの英国人とは全く違ったわ。
私たちは一緒に価値あることをやろうとしていた。
彼は難しい人ではあったけど。
でも頼れる人だと思ったの。
彼と同じ部屋で孤独な今も彼に頼ろうとしているなんてね。


観覧車が止まります。

EM:どうして止まってるの?
AM:すぐに動くわ。
EM:ニコラスのお迎えに間に合わないかも...
AM:大した時間じゃないから大丈夫よ。
EM:ニコラスはデイヴィッドに言いつけるわ。
AM:彼はそんな事気にしないから大丈夫よ。
もうすぐ動くよ。

EM:すごく高いね。
AM:心配することなど何もないわ。
EM:どうして動かないの?
今回の事、デイヴィッドには何も言わないで。
AM:エレノア・・・
EM:お願い。
AM:エレノア、あなた彼が怖いの?
脅えているように見える。

動揺し立ち上がるエレノア。

EM:はやく何とかして!
AM:エレノア、座ってないと。
EM:ちょっと、降ろしてよ降りたいの。

何度も叫ぶエレノア。



続きます。

エレノアにもう少し強さがあったならパトリックを守れたのかもしれません。

かなりどよーんとしてきましたが次もかなりヤバいです。


パトリック・メルローズ 「Never Mind」その3

2018-10-14 11:17:25 | Patrick Melrose E2
Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"

Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger



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Patrick Melrose:PM(パトリック・メルローズ)
David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)
Johnny Hall:JH(ジョニー・ホール パトリックの友人)



エレノアは家を出て車に向かう途中パトリックに言います。


EM:パトリック、どこにいたの?お父様が呼んでいたわよ。
PM:遊んでくれる?
EM:今はだめよ。
PM:でも遊ぶって言ったよ。
EM:ごめんね。ニコラスを空港まで迎えに行くのよ。
だから遊べないのよ。
PM:約束したのに!
EM:また今度ね。

エレノアはパトリックにキスをして車に向かいます。

PM:僕も一緒に行っていい?
EM:だめよ。お父様が一緒にここにいてほしいって。
PM:車に乗りたいよ。大人しくしてるから。


エレノアは深くため息をつくとパトリックの前できしゃがみ込み、
やさしい口調で話します。

EM:変な話、お父様がやきもち焼くのよ。
私に甘えすぎてはいけないの。だから私よりお父様を優先しないとだめなのよ。
PM:わかった。
EM:じゃあ、今の話は誰にも話しちゃだめよ。
ダディにやさしくしてね。いい?
ディナーの前に私のところにいらっしゃい。
今日一日どうしていたか話してちょうだい。私も話すから。


エレノアは立ち上がりパトリックと額を合わせます。

EM:約束するわ。あなたの事だけを考える。

パトリックの額にキスをして、近寄ってくるアンたちに挨拶をします。

EM:ハロー。来たわね。ちょうどいい時間だわ。
コテージは快適かしら。
家に泊まってもらってもよかったのだけど、
デイヴィッドは何かひとつでも誰かと共有するのを嫌がるのよ。
空気でもね。
もちろんディナーの席では紳士的に接するわよ。


パトリックに話しかけるアン。

AM:パトリック、私たちと一緒に行きたい?
私はそうしたいわ。
EM:ダメよ、悪いけどアメリカンガールオンリーなの。
AM:例外をつくることはできるわよね。

エレノアはアンの問いかけには答えずヴィクターに話しかけます。

EM:ヴィクター、暑くて大変ね。執筆は進んでる?
VE:アイデンティティは壮大なテーマなんだ。
EM:フロイトは出てくる?
VE:いや、僕は精神分析の観点からはアプローチしていないからね。
AM:私も運転になりそうね。
EM:いえ、私以外の人は誰も運転しないわよ。私だけのものだから。
AM:でもかなり遠いわよ。

エレノアの運転する車で走り出すエレノアとアン。
車を見送っていたヴィクターとパトリック。

VE:元気だったかね?

パトリックは何も答えず家に入ります。




パトリックはデイヴィッドがピアノを弾いている部屋に入ります。


DM:そこにいるのはわかってるよ。

デイヴィッドはピアノを演奏をやめてパトリックのほうに振り向きます。


DM:そこにいるんだろう。やあ、Mr.マスターマン
みんな行ったか?よし。今日は特別な日になりそうだ。

再びピアノを弾き始めます。
後ろから近づくパトリック。

DM:この曲を覚えてるか?
PM:僕に作ってくれた曲だ。


DM:イートンを卒業した時に父が言ったんだ。「お前は自分の人生において何をしたい?」
私は作曲がしたいと答える勇気がなかった。
「わかりません。」と言った。父はなんて言ったか?
「軍隊に入隊したほうが良さそうだな。」と言った。

デイヴィッドは再びパトリックを見ます。

DM:お前は何をするんだろうか。
PM:わかりません。
DM:それじゃあ、お前の耳をつかんで持ち上げてみようか?
PM:No!
DM:おいで。


パトリックを近くに寄せ両耳をつかみます。

DM:いいか?

うなずくパトリック。
デイヴィッドは耳をつかんだままパトリックを持ち上げます。
パトリックはデイヴィッドの両手首をつかんでいます。
楽しそうに笑うパトリック。
デイヴィッドも笑います。


DM:手を離してみなさい。
PM:No.
DM:離せばそのままお前を落とすから。
PM:No!
DM:いいから。3つ数えるぞ。

手を離した瞬間叫びながら痛みを訴えるパトリック。

DM:お前は今日、役立つ教訓を得たんだ。
自分で考えてみなさい。
自分に重要な決断は他人に委ねるな。わかったか?
PM:降ろして!
DM:わかったのか?
PM:わかった、わかったから!


乱暴に手を離すデイヴィッド。
反動で床に倒れこむパトリック。

うそつき!痛かったじゃないか!


叫ぶパトリック。

DM:めそめそするな。醜いぞ。

パトリックは部屋を出ると庭を走り抜けます。
激しくピアノを演奏するデイヴィッド。


デイヴィッドはピアノの演奏を止め痛そうに手を振ると薬を酒で流し込みます。


そして窓から叫びます。

DM:パトリック!

デイヴィッドの叫びとともに現在に戻ります。
車の中で目を覚ますパトリック。
ジョニーの肩を借りながら家に入りベッドに横たわります。




続きます。

闇が深そうなメルローズ家・・・怖。
デイヴィッドの闇は父親が原因なんでしょうか。
虐待は連鎖するっていうし・・・・。

パトリック・メルローズ 「Never Mind」その2

2018-10-10 07:44:30 | Patrick Melrose E2
Patrick Melrose Episode 2 "Never Mind"

Based on Patrick Melrose by Edward St Aubyn
Written by David Nicholls
Directed by Edward Berger


続きです。



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David Melrose:DM(デイヴィッド・メルローズ パトリックの父)
Eleanor Melrose:EM(エレノア・メルローズ パトリックの母)
Nicholas Pratt:NP(ニコラス・プラット デイヴィッドの親友)
Anne Moore:AM(アン・ムーア ヴィクターの恋人?)
Sir Victor Eisen:VE(ヴィクター・アイゼン デイヴィッドの大学の友人?アンの恋人?)
Bridget Watson Scott:BS(ブリジット・ワトソン・スコット ニコラスの愛人)




再び過去。

もう一度ふたをするとその上に乗り何度もジャンプを繰り返します。


薬を酒で流し込む母のエレノア。


階下からデイヴィッドの声がします。

DM:エレノア?パトリック?どこに隠れているのだ?

再び井戸の上をジャンプするパトリックと
化粧を直すエレノアと交互に映ります。


来た道を戻っていくパトリックの様子を窓からアンが見ていました。


ヴィクターが入ってきます。

VE:アン、目が覚めたのか?


アンに近づくヴィクター。

VE:で、君の上にいたのは誰なんだい?
AM:カリギュラよ。じゅうぶんにふさわしいでしょう。
VE:おいで。朝食だよ。
AM:あら、ダーリン、そんな事しなくても。
VE:そんな事?
AM:朝食を作ったでしょう。
VE:いや違うよ、僕のおなかの準備が整ったってことだよ。


ニコラスとブリジット。

ニコラスとセックスをしながら時計に手をのばすブリジット。

NP:時計に手を伸ばす君もいいね。興奮するよ。
BS:タクシーは何時だっけ?


ニコラスはドレッサーの前に座ると身なりを整えます。

NP:「かつてはとてもハンサムだった。」と言われるんだろうな。
BS:あら、あなたは今でもハンサムよ。


ドアベルの音がします。

NP:ああ、タクシーが来たな。
BS:今回はどこに行くの?
NP:言っただろう。南フランスだ。



アンとヴィクターはメルローズ家に行く支度をしています。

VE:少々失礼なんじゃないのか。僕たちはゲストなんだぞ。
AM:そうねごめんなさい。まさかテストがあるなんて。
EV:まあ、デイヴィッド・メルローズといるといつもテストがあるからね。
何か知的な話の準備をしておくのはいい考えだよ。
AM:カリギュラは妻にのめり込んだ理由を探るために妻を拷問したと知ってる?
デイヴィッドはどんな理由をつけるのかしらね。

AM:それであなたにどんなメリットが?ヴィクター卿。
そんなに彼を恐れるならなぜここにいるのかしら。
EV:恐れてなどいないよ。興味があるんだ。
イートンでは才能あふれた青年で、非常に際立っていたよ。
畏れられていたと言っていい。
AM:私が大学にいた頃、フットボールのスターは必ずチアリーダーと寝ていた。
イートンの人気者は侮辱されるために叩かれるのね。

EV:僕は叩かれなかったよ。
重要なのは今は友人関係で彼のゲストだという事だ。
AM:私は生粋のアメリカ人だけど何が魅力なんだかわからない。
何が際立っているのよ。自分の立場を守るために何もしないの?
VE:それは言わないでくれ。
AM:私の唯一のお気に入りは男の子よ。
少なくとも彼の人生はまだ始まったばかり。


ピアノを弾くデイヴィッド。
そっと家を出ようとするエレノア。
床の軋む音がしてピアノの音が止まるので足を止めます。
それに気づいたデイヴィッドは楽しそうに再び演奏します。

エレノアも足早に玄関に向かいますがまた床の軋む音がしてピアノが止まります。
デイヴィッドは立ち上がると声をかけられます。


DM:どこに行くんだ?
EM:空港へニコラスを迎えに。
DM:こんな早くに?
EM:アンとドライブをしたくて。約束したの。
DM:わかった。パトリックは置いていくんだろうね。
EM:もちろんよ.
DM:私たちの話し合いを覚えてるか?
EM:ええ。
DM:よし。彼の飛行機は2時に到着する。行きなさい。



続きます。

アンとヴィクターの会話はあまり自信がありません。怪しいです。
エレノアの脅えようを見るだけでデイヴィッドの人物象が何となくわかりますね。