本日は達磨大師と第ニ祖慧可を撮影。慧可断臂のエピソードは、インド人の達磨大師が、慧可の弟子入りを許し、その後慧可が中国に禅を拡めることになるという、座禅一つしたことがない人間が手掛けるには、恐れ多い場面であるが、メインテーマは覚悟である。『慧可断臂図』の達磨大師は、国宝の雪舟作では己の腕を差し出す慧可を、その想いがまだ伝わっていないのか、壁を向いたまま無視しているかのようだが、私は慧可の決意の念を感じ、振り返ったところとした。いつもなら座禅する達磨大師の居る洞穴を先に撮影して二人の配置を考えるところだが、今回洞穴も作るので、達磨大師と慧可を白紙の上に配し、それに合わせて洞穴内部の壁を作り後から下地に敷くという初めての試みをする。 雪舟はもっとも国宝の点数が多い人物だった気がするが、日本ではどうしても山水図などの評価が高く、今のところ最後に選ばれたのが『慧可断臂図』である。画面に自分の腕を切り落として悲しげな顔をした人物では仕方ないだろう。 明日は布袋尊辺りの撮影を考えている。