明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



今まで撮影して来たネガ、ポジをスキャニングしていると、懐かしいカットに遭遇する。裸で奇妙なポーズのこの人。いったい何しているんだろ?と良く見ると、それは江戸川乱歩の『盲獣』用に、バラバラに切断される死体を演じてもらった場面であった。こちらがお願いしておいて何してる?とは失礼な話である。 『盲獣』は余りなグロテスクさに、乱歩自身が辟易とし、一部書き直したような作品であるが、私はとっくに亡くなっている作者であろうと、本人に見せてウケたいという妄想のもと制作している。よって乱歩に盲目の殺人鬼役を演じてもらっても、人ごとの様な顔をしているだけであるし、切断死体も、切り口はリアルにはせず、それこそハムを切ったようである。その分、死体役の女性には、奇妙なポーズをお願いすることになった。そういえば、雪の中から発見される足は不可欠であったが、そのころ東京にはすで雪がなく、雪を求め電車で某温泉地までいってしまった。足役の女性に道路沿いに残る雪に足を突っ込んでもらい撮影した。二人で温泉に浸かるなどという色っぽい場面もなくとっとと帰ったが、様々な場面が作れたのも、自分の切断されたパーツが浅草寺の上空を風船に結ばれて飛んでいたり、ショーウインドウに飾られたり、湯船に浮かんでいたりを面白がってくれる女性連のおかげであった。そして私は“だって乱歩がそう書いているから”仕方がない、とばかりに、すべて乱歩のせいにしている訳である。

オイルプリント制作法

インキング映像↓

http://youtu.be/kZozcEqgKsE 

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