明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



柳田國男は仕上げも終わり、着彩を残すのみとなった。鏡花がモデルにしたと思われる神社に柳田國男を立たせ、そして主人公の河童と対峙させる。思い付いてすぐ飲みに行ってしまったアイディア。大事に制作しなければならない。見つめ合う二人。“やっと会えたね”は誰かがいった臭いセリフであった。 冒頭、大魚であるイシナギを担ぐ若い漁師の二人がいる。陽に焼けた逞しい若者でなければならない。この人材ばかりは酒場で見繕うわけにはいかない。「焼けたね海?」。などとうかつにいうと、黒いのは別の理由があったりするので気をつけなければならない。 他の登場人物はより良いカットと入れ替えながらほぼ完成しているが、問題は踊りの師匠である女房の丸髷である。オークションで入手したカツラは独身用の島田なので、そのままでは使えないし、カット数も多いので厄介である。カツラは正確なサイズが判らないので、初めから合成するつもりであった。女房役のK子さんは実際被らないのを残念がっていたし、はやく見たい、といわれているのだが、ぐずぐずしていて最後になってしまった。届いた時、箱をあけ取り出すこともなく、アコーディオンでも入っていそうな取っ手付きの箱は、本棚の上に置きっぱなしである。相撲取りとは違う鬢付け油の匂いと艶が生々しい。人毛でさえなければどうということはないのだが、我ながら口ほどでもなくガッカリである。 近所にヒマを持て余しているオジさんがいるので、持っていてもらって撮影する手もある。普通の神経の持ち主ではないので、どうということはないだろう。

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