明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



やるべきことがあるのに、他のことをせずにいられない。こういう人間を怠け者という、といったのは遠藤周作だったろうか。私がまさにそれで、これは生まれつきのことなので、例によって私に責任はない。 しかし、単なる怠け者とちがって、何かはやっているわけで、一概に悪いこととはいえないのではないか。私の場合は、陶芸作家になるはずが本分を逸脱し人形を作っている。なのに、一時人形の制作を中断し、発表するつもりもないのに、廃れた写真の古典技法『オイルプリント』の研究を始める。その他細かいことなど数え上げたらキリがない。この場合、本分が大事であればあるほど、やっちゃいけないとハラハラしているのに熱は燃え上がるようにできている。そして血が妙な支流に流れ込んだと思ったら、その血管が太くなって主流になっていく。どこへ延びていくのか判らないのが欠点であるが、一応前には進んでいるから良いとしている。 ところで先日の鮎川哲也賞の会場で思いつき、この期に及んで何を馬鹿なことを、と我慢していたのは、剥製にされた三島を黒蜥蜴と江戸川乱歩が美術品を鑑賞するかのように眺めている、というものであった。何か一点減らしてでも作りたくなってしまった。などといいながら、すでに初めてしまった。つくづく弱い人間である。などといいながら、悪魔の誘惑に乗り続けることをとっくに決めている私であった。間違いなくそのほうが結果が良い。ただしそれは作品に限ったことだ、といっておかなければならないが。

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