明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


母と電話で話していて制作中のDの話になった。祖母がよく頼んでいた鰻屋の斜め前あたりに住んでたらしいよ。というと、昔、結納を済ませた後、両親と父と四人でその店で鰻を食べたそうである。
ようやく首が仕上げに入った。身体は表紙用としては意味があるが、肝心の仕事着でなく普段着なので、人物像としては面白くない。よって写る部分しか作らない予定。羽織を着せるので、先日、死んだ犬の法事で、喪服を着たままK本で飲んでいた建設会社のMさんに、谷崎に続いて今回もまた、羽織の紐をお借りしたい、と頼んでおいた。 Dについて、ちょっと知りたいことがあり、いい加減なこともできないので、関係者の方に質問したら、Dの三代後のDに、電話で直接訊いて頂だいてしまい、恐縮する。まったく冷や汗ものである。やはり、昔の写真感材の感度の低さは、被写体の表情にも影響があっただろう、ということである。三島由紀夫のように、撮影時、いくらでも瞬きしないでいられる、という妙な特技の持ち主なら別だろうが。  来週中には、背景の撮影にいく予定である。都合がつけば、件の鰻屋で鰻でも食べてみたいものである。

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