明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



多少の手直しを含む作品もあるが、ほとんどすぐにでも展示可能なのはざっと。江戸川乱歩、横溝正史、泉鏡花、寺山修司、三島由紀夫、永井荷風、ジャン・コクトー、円谷英二、柳田國男、宮武外骨、向田邦子、森鴎外、松尾芭蕉、谷崎潤一郎、ロバート・ジョンソン、ブラインドレモン・ジェファーソン、夢野久作、オスカー・バルナック、『古石場文化センター』から小津安二郎。『町田文学館ことばランド』からは日影丈吉を借りる。  制作中なのが伊集院静、古今亭志ん生。神奈川近代文学館の漱石展と展示期間が重なるので、できれば夏目漱石をもう一体作りたいし、手塚治虫、村山槐多、九代目市川團十郎、エドガー・アラン・ポー、セルゲイ・デイアギレフ、ヴァスラフ・ニジンスキーも完成させたい。そんなことをいっていられるのも、一番時間がかかる頭部がすでにあるからである。目標は30体。乱歩、コクトー、荷風、三島など複数体展示できる可能性のある作品もある。 これを機会に以前からいっていた、ビートルズの『サージャントペパーズ』のジャケットのように、作って来た連中を一同に集めたカットを作ってみたい。脈絡も何もないので発表する予定はないけれど。

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『河本』を背景に撮影した志ん生は店内に飾っていただいている、もちろんお銚子にコップバージョンである。そういえば女将さんに、中尾彬と池波志乃夫婦が来たことがあると聞いた覚えがある。昔ドラマで中村嘉葎雄が志ん生を演じた時、志ん生の孫の池波志乃が奥さん役をやっていた。圓生や金語楼も誰か役者がやっていた気がするが、中村嘉葎雄のん生が実に良かった。 私は長男の十代目金原亭馬生が大好きであった。まだ二十代の頃、初個展は作品が溜まってから決めたのでなんとかなったが、翌年の二回目の個展はプレッシャーから生意気にもスランプみたいなことになり、これは酒を飲んでる場合じゃない、と一年近く禁酒をした。その間はTVで馬生の顔を見たらチャンネルを替えていた。俳優がドラマでいくら飲酒していてもどうということはなかったが、馬生がシラフからだんだん酩酊していくところはとても見るに耐えられるものではなかった。馬生は『火焔太鼓』がかついで運べるような物ではない、と大八車で運ぶ噺にしたが、志ん生いわく「だからお前は駄目なんだ。大きさなんかどうでもいいんだ。」といったらしい。 引退して久しい晩年の志ん生に小沢昭一がインタビューに行った時、読んでいたネタ帳をコタツの下に隠したという。こんなエピソードに私は弱い。

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