古典技法を手掛ける人のモチーフは、それが映え、効果的なためであろう。モシャモシャした景色が多い。オイルプリントにしても同様であろう。人物にしてもツルっとした青年より皺じみたヒゲ面の老人など雰囲気が出る。しかし30年以上男ばかり作って来た私にしてみると、男は作るもので女は撮るもののようである。あえてゴツゴツモシャモシャより、丸みのある物を、ということでヌードで制作してみようと思ったのである。当然野島康三も頭にある。 着衣のポートレイトも一応選んでみたがこれは数は少ない。その数少ない中から20年前くらいに撮影した物を選んでみた。展示することになればモデルを務めてくれた彼女にお知らせしたいが、確かこの人だったはず、という人はいるのだが、面差しがあまりにも変わった。人の形には敏感で、子供の頃から人物のシルエットクイズなど得意中の得意だった私が首を傾げ、確信が持てないのだから、人というものはよっぽど変わるものである。昔、ヌードのモデルを頼んだ友人がいた。なかなか色よい返事をもらえなかったが、何年も経って、心境の変化でもあったか撮ることになった。結果を見て彼女曰く。「なんであの時もっと撮ろうって強引にいってくれなかったの。3回目に引き受けるつもりだったのに」。勝手なこといわれても困るのである。
オイルプリント制作法
インキング映像↓
http://youtu.be/kZozcEqgKsE
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