明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



“日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展” 10時に東京都写真美術館へ。田村写真の田村さんが声をかけ10人ほどが集合する。これだけのピクトリアリズム作品が集まるのは初めてであろう。壮観である。 明治頃から海外より様々な写真技法が流入し、大正時代にピークを迎える。当時は芸術として先行する絵画を手本にしていたこともあり、絵画主義などと称され、私が試みたオイルプリントのように顔料を使用する技法もあった。しかし作家の多くは富裕なアマチュアが多く、戦後写真で生活しようと、プロとして活動を始めたリアリズム派の若者からは、古臭いサロン写真とみなされ、時代と共に消えていくことになる。 絵画と違って、写真は1カットで作者が判るほど個性を発揮することの難しい手法である。しかし、展示されている作品は個性的な作品が多い。もちろん歴史的には貴重だが、必ずしも志が高いといえない作品もある。画家になりたかったが才能及ばず写真に転向した人物も少なくないだろう。しかし現在の眼で眺めると様々な試行錯誤を繰り返し、あげくに日本独自に発達した技術などもあり、独特のアプローチは興味深い。今になって海外からも注目されつつあるという。5月8日(日)まで。 この数十年後、被写体の人物を自分で作ってしまって、その頃の技術を使って表現する人間が出現するとは、連中も想像しなかったろう。

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