去年の頭の報道から,弁護士業界,隣接士業の間では,デリバティブバブルがおこっているようです。
平成18年(2006年)のリーマンショックの前後に,銀行・証券会社は,法人・富裕層などの顧客に,デリバティブ(為替デリバティブ,金利スワップ,為替先渡取引などの金融派生商品)と仕組み債(仕組み投資信託,仕組み預金なども含む)の勧誘を少なからずしています。
そして,リーマンショックの影響で,多額の取引損など顧客に損を与えるケースが少なからずあるようです。
(バブルと言ったのは,被害の多くはリーマンショックの影響を受けており,その影響を受けた商品の満期が3~7年,広くは1~10年で,リーマンショックと金融庁や銀行・証券業界の対応から見て,事件にピークに限りがありそうだからであり,かつ,それを見込んでこの業界に新規参入したり,宣伝したりする弁護士や隣接他士業が増えているからです。)
金融庁の影響などで,全銀協やFINMACの金融ADRがある程度実質化しているそうで,証券被害弁護士などデリバティブに詳しい弁護士以外でも,まあまあ悪くない解決ができるかもと言った感じになっているようです。
しかし,デリバティブの仕組みやリスクについて詳しくない弁護士のみが関与すると,本来問題となるはずの論点で,ADRのあっせん委員が気づかない論点や軽視している論点が,無視ないし軽視されるおそれがあります。
最悪訴訟になることを見越して,デリバティブの訴訟対応に少なからず自信がある弁護士が弁護団に入っていないことは,相談者・依頼者の期待可能性を減少させるおそれがあり,被害救済側の弁護士としては,そういう弁護士・弁護団はどうなんかな?と思う点がないことはないです。
(ADRのあっせん委員の方が裁判官よりデリバティブに対する理解はある場合が多いので,悪くない解決がされる場合はないことは少なくないです。しかし,業者側がADRのあっせん案を飲む可能性がどのくらいあるか,統計的に見てなかなか判断が難しく,中にはあまりあっせん案飲まない傾向にある業者があるのではないかと思い,受任時にはADRで終わらず最悪訴訟に発展することも,念頭に置くべきだと思います。)。
ただ,私を含めた証券被害弁護士の一部には,相手が主要銀行だと,今後の主要銀行との付き合い方などに疎く,経営的・総合的にベターなアドバイスができるか自信がない者もいるようです。
そこで,証券会社などを相手にした事件は,我々証券被害弁護士やそれ以外のデリバティブや仕組み商品に詳しい弁護士を入れていると,そういった主要銀行問題などがなく,とりあえず安心なのかなと思います。
相手方が,主要銀行を相手の事件は,特に中小企業の法務や金融政策に詳しい弁護士を入れないと不安ですので,両方できる弁護士か,どちらかをできる弁護士を合計2人以上入れる必要があると思います。
デリバティブ・仕組み商品の事件は,最先端の金融被害の事件なので,証券被害弁護士としても1人だけでやるのは,私の目からすると,少し不安な場合があります。
そういう場合には,デリバティブに詳しい弁護士を,複数入れた方がより安心かなと思います(ここらへんは担当弁護士の判断になりますので,一概には言えませんが・・・)
それでも証券会社・銀行を相手に勝てるかどうかは難しい場合は,金融工学に詳しい専門家も入れてチームを組む必要はあるのかなと思います。
まとめると,商品の仕組みが難解で,被害金額の大きい事件では(被害総額数千万円から数億円の事件),
①主張銀行相手の場合は,主要銀行対策をできる弁護士,デリバティブ等に詳しい弁護士が必要で(両方できれば1人でもOK),さらに,できれば金融工学の専門家の助言を受けられる体制が整うのが望ましい。
②主要銀行以外の銀行,証券会社を相手の事件は,デリバティブに詳しい弁護士が必要で,さらに,金融工学の専門家の助言が受けられる体制が望ましい。
って感じでしょうか。
ところで、
証券被害の分野は,本当は泣き寝入りすべきでないのに,泣き寝入り人が多い気がします。
一概にはいえませんが,歴史的に見ても,訴訟で勝とうと思ってもすぐにはなかなか勝ちにくく,訴訟で勝てるようになるまで,多くの敗訴判決を出しながら,それでも歯を食いしばって,それらを踏み台にし,ようやく裁判所が真実を見つめ,勝訴できるようになるという流れがあるようです。
依頼者も弁護士も,やるにはそれなりの覚悟が必要です。
しかし,デリバティブの分野では,金利スワップの福岡高裁判決,為替オプションの大阪判決(いずれも未確定),その他仕組み商品の勝訴判決があるだけ,まだいい方なのかなと個人的にはまだ戦いやすいと勝手に楽観しています。
とりあえず,悩んでいるなら,相談料なんて被害額に比べるべと,かなりやすいですから,デリバティブに詳しい弁護士に相談だけでもすることをお勧めます。
(相談に行っても,依頼をしない選択は当然あるので,話によっては断るつもりで行けば,出費は最悪相談料のみでとどまります。)
ただ,バブルに乗っているだけの弁護士・専門家とそうでない者の見極めだけにはご注意いただきたいと思います。
僕自身も,一人でやる自信がなかったら,最初からか途中から他の弁護士を入れるつもりです。
とりあえず,私の入っている神戸先物・証券被害研究会*では,複数体制で受ける準備をしています。
平成18年(2006年)のリーマンショックの前後に,銀行・証券会社は,法人・富裕層などの顧客に,デリバティブ(為替デリバティブ,金利スワップ,為替先渡取引などの金融派生商品)と仕組み債(仕組み投資信託,仕組み預金なども含む)の勧誘を少なからずしています。
そして,リーマンショックの影響で,多額の取引損など顧客に損を与えるケースが少なからずあるようです。
(バブルと言ったのは,被害の多くはリーマンショックの影響を受けており,その影響を受けた商品の満期が3~7年,広くは1~10年で,リーマンショックと金融庁や銀行・証券業界の対応から見て,事件にピークに限りがありそうだからであり,かつ,それを見込んでこの業界に新規参入したり,宣伝したりする弁護士や隣接他士業が増えているからです。)
金融庁の影響などで,全銀協やFINMACの金融ADRがある程度実質化しているそうで,証券被害弁護士などデリバティブに詳しい弁護士以外でも,まあまあ悪くない解決ができるかもと言った感じになっているようです。
しかし,デリバティブの仕組みやリスクについて詳しくない弁護士のみが関与すると,本来問題となるはずの論点で,ADRのあっせん委員が気づかない論点や軽視している論点が,無視ないし軽視されるおそれがあります。
最悪訴訟になることを見越して,デリバティブの訴訟対応に少なからず自信がある弁護士が弁護団に入っていないことは,相談者・依頼者の期待可能性を減少させるおそれがあり,被害救済側の弁護士としては,そういう弁護士・弁護団はどうなんかな?と思う点がないことはないです。
(ADRのあっせん委員の方が裁判官よりデリバティブに対する理解はある場合が多いので,悪くない解決がされる場合はないことは少なくないです。しかし,業者側がADRのあっせん案を飲む可能性がどのくらいあるか,統計的に見てなかなか判断が難しく,中にはあまりあっせん案飲まない傾向にある業者があるのではないかと思い,受任時にはADRで終わらず最悪訴訟に発展することも,念頭に置くべきだと思います。)。
ただ,私を含めた証券被害弁護士の一部には,相手が主要銀行だと,今後の主要銀行との付き合い方などに疎く,経営的・総合的にベターなアドバイスができるか自信がない者もいるようです。
そこで,証券会社などを相手にした事件は,我々証券被害弁護士やそれ以外のデリバティブや仕組み商品に詳しい弁護士を入れていると,そういった主要銀行問題などがなく,とりあえず安心なのかなと思います。
相手方が,主要銀行を相手の事件は,特に中小企業の法務や金融政策に詳しい弁護士を入れないと不安ですので,両方できる弁護士か,どちらかをできる弁護士を合計2人以上入れる必要があると思います。
デリバティブ・仕組み商品の事件は,最先端の金融被害の事件なので,証券被害弁護士としても1人だけでやるのは,私の目からすると,少し不安な場合があります。
そういう場合には,デリバティブに詳しい弁護士を,複数入れた方がより安心かなと思います(ここらへんは担当弁護士の判断になりますので,一概には言えませんが・・・)
それでも証券会社・銀行を相手に勝てるかどうかは難しい場合は,金融工学に詳しい専門家も入れてチームを組む必要はあるのかなと思います。
まとめると,商品の仕組みが難解で,被害金額の大きい事件では(被害総額数千万円から数億円の事件),
①主張銀行相手の場合は,主要銀行対策をできる弁護士,デリバティブ等に詳しい弁護士が必要で(両方できれば1人でもOK),さらに,できれば金融工学の専門家の助言を受けられる体制が整うのが望ましい。
②主要銀行以外の銀行,証券会社を相手の事件は,デリバティブに詳しい弁護士が必要で,さらに,金融工学の専門家の助言が受けられる体制が望ましい。
って感じでしょうか。
ところで、
証券被害の分野は,本当は泣き寝入りすべきでないのに,泣き寝入り人が多い気がします。
一概にはいえませんが,歴史的に見ても,訴訟で勝とうと思ってもすぐにはなかなか勝ちにくく,訴訟で勝てるようになるまで,多くの敗訴判決を出しながら,それでも歯を食いしばって,それらを踏み台にし,ようやく裁判所が真実を見つめ,勝訴できるようになるという流れがあるようです。
依頼者も弁護士も,やるにはそれなりの覚悟が必要です。
しかし,デリバティブの分野では,金利スワップの福岡高裁判決,為替オプションの大阪判決(いずれも未確定),その他仕組み商品の勝訴判決があるだけ,まだいい方なのかなと個人的にはまだ戦いやすいと勝手に楽観しています。
とりあえず,悩んでいるなら,相談料なんて被害額に比べるべと,かなりやすいですから,デリバティブに詳しい弁護士に相談だけでもすることをお勧めます。
(相談に行っても,依頼をしない選択は当然あるので,話によっては断るつもりで行けば,出費は最悪相談料のみでとどまります。)
ただ,バブルに乗っているだけの弁護士・専門家とそうでない者の見極めだけにはご注意いただきたいと思います。
僕自身も,一人でやる自信がなかったら,最初からか途中から他の弁護士を入れるつもりです。
とりあえず,私の入っている神戸先物・証券被害研究会*では,複数体制で受ける準備をしています。