弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

もし逮捕されたら(当番弁護士と被疑者国選弁護の制度)

2007年11月10日 | ⑤法律問題について
もし自分自身や家族や友人が警察や検察等に逮捕・勾留されたら,どうしますか?

私は,弁護士なって,多くの人が「当番弁護士」の存在を知らないことを知って,びっくりしているのですが,とにかく,逮捕されたときは,まず「当番弁護士」の出動要請か知っている弁護士を呼びましょう。

当番弁護士は,弁護士会がボランティアでやっている制度で,最寄りの弁護士が当番で来ることになっていて,初回無料で呼ぶことができます。

弁護士が来たら,まず自分が逮捕されたことについての悩みを相談しましょう。
自分は無実であるとか,家族や仕事をどうしたらいいか,いつ出られるとか,いろいろ悩みはあると思います。
そして,弁護士をつける必要があると思えば,弁護人をつければいいと思います。

弁護人は,捕まっている人の依頼にしたがって,無実を証明したり,被害者と示談したり,罪を軽くしたり,起訴猶予にしたり,早く出られるように動いたりします。
もちろん弁護士も神様ではないので,黒を白にしたりすることはできませんし,短い間に思うような成果を上げられるとは限りませんが,その点は,見通しを聞いて,弁護人をつける意味があるかどうかを考えたらいいです。

弁護人を選任したいが,お金がなくて弁護人を選任できない人はどうするか。
被疑者国選弁護人をつけるか,法律扶助で弁護人をつけるしかありません。

被疑者国選弁護人は,現在では,死刑,無期懲役・禁固,短期1年以上の懲役・禁固の罪(比較的重い犯罪だけ)でないとつけられません。
※短期1年とは,刑罰法規で,例えば「●年以上■年以下の懲役」とある場合の「●年以上」の最低刑の方です。単に「■年以下の懲役」とある場合は,最低刑は1ヶ月以下と言うことになります。

ただし,平成21年4月からは,被疑者国選弁護人制度は,死刑,無期懲役・禁固,長期1年以上の懲役・禁固の罪まで広げられ,ほとんどの事件で可能になります。
※「長期」とは,上の例の「■年以下」の最高刑の方です。

法律扶助は,刑事の被疑者段階でやっているかどうかは,弁護士会によって違うと思うので,弁護士に聞いてみましょう。ただ,弁護士は法律扶助で事件を受ける義務がないので,当番弁護士で来た弁護士がそれで事件を受けてくれるとは限りませんので,ご注意を。

とりあえず平成21年4年までは,短期1年以上の重い犯罪を疑われている人か,お金がある人か(親族や友人や職場が出してくれる場合も),法律扶助でやってくれる弁護人を見つけられた人でないと,被疑者段階で弁護人をつけることができません。
結局は,どの事件でも同じですが,弁護士をつけるメリットが弁護士費用を払っても得たいものかどうかで弁護士をつけるかどうか決めるほかないです。

まあとにかく逮捕されることをしないように犯罪を犯さないよう,また,犯罪を犯したと疑われないよう気をつけていただきたいと思います(特に,痴漢事件。なるべく,乗り物で女性と接触しないよう,痴漢と疑われない位置に手を置くように。)。

あと,当番弁護士を呼んで,弁護士をつける必要があるときでも,ないときでも,そして,私選弁護人を頼むつもりはなくても,とりあえず意味がわからなくても「私選弁護人選任申出」をしておいた方がいいです(大概は当番弁護士の方から,「私選弁護人選任申出をするように言われます。」)。

「私選弁護人選任申出」をすると,弁護士と報酬等の条件さえがあえば,弁護士をそのままつけることになりますが,条件が合わなくても(最初から私選で弁護人を選任する意思がなくても),この申出さえしておけば起訴前の重大事件(平成21年3月まで)については,被疑者国選弁護人がつきますし,そうでなくても,将来起訴されたときの,国選弁護人の選任手続がスムーズに進みます。

この記事をまとめますと,よくわからなければ,とりあえず,①「当番弁護士」警察や弁護士会にを呼ぶこと,そして,②私選弁護人選任申出をすることが大事です。
私選弁護人選任申出の後も,別にその弁護士に高い弁護士費用で私選で依頼しなければならない義務はないですので,安心して「私選弁護人選任申出」をしたらいいと思います。