弁護士NOBIのぶろぐ

マチ弁が暇なときに,情報提供等行います。(兵庫県川西市の弁護士井上伸のブログです。)

裁判官,検察官が増えない理由

2007年01月10日 | ⑥弁護士等法曹情報
ガンダーラさんからの以下のようなコメントを頂いたので,標記の件について述べたいと思います。

>弁護士の数が一気に増え路頭に迷う弁護士も出てくる時代となりそうですが、
>検事志望、裁判官志望の若者が増えないのは如何なものかと思います。

>この偏りはなんなのか?やはり収入か?
>弁護士ばかりが増えても裁判が進まない気がして心配です。

司法修習生の検事志望,裁判官希望は実際は増えていると思います。

やはり収入が安定してますし(社保完備,社宅あり,退職金あり。これに対して,弁護士は,事務所によりますが,ほとんどが個人経営で,経営は安定してないし,病気したら終わり,ハイリスク・ハイリターン。生涯平均年収も,裁判官が一番多いとも聞いたことがあります。),
優秀な人がなることが多いので,法曹界ではエリートとして扱われることが多いですからね。

それなのに,なぜ実際は裁判官・検察官の年間の採用人数がそれほど増えないかといえば,裁判所,検察庁の方が採用人数を増やしていないのが現状だと思います。

修習生が裁判官・検察官になりたいと手を挙げても,司法研修所の教官の方で,多くの修習生に,(裁判官・検察官に)向いてないとか,能力的に(裁判官・検察官になるのが)無理とか言って説得して,手を下げさせているのが現状だと思います。

確かに,裁判所・検察庁の予算の面とか,修習生の能力の面とか現状裁判官・検察官を増やすのにも限界があるかと思います。
予算の関係については,増やしたらそれだけ,彼らの給料はいるし,事務官・書記官も必要になるし,増えた分を入れるだけの箱(庁舎や執務室)や机や機材等もいるし,とにかく人件費と設備等お金がたくさんかかりますし,
修習生の能力面については,司法試験の合格者を増やしても優秀な人の絶対数が増えるわけではないですからね。

しかし,予算,裁判官,検察官を増やさないと,司法制度改革と言っても,現役の裁判官,検察官の負担ばかり増える一方で,司法制度は一向によくならないと思います(逆に悪くなる一方です)。
ちなみに,司法制度改革のための裁判官・検察官の手間の点を説明すると,
①法科大学院の教員をしたり,
②修習生が増員され,その教育の手間が増えたり,
③裁判員制度のため,今まで比較的すぐ済んだ「合議」が裁判員を含めた「評議」になり,裁判員にいろいろわかりやすく説明するためなどの時間と手間がかかる,
などといったことです。

そもそも法曹人口の増員とかは,経済界の働きかけもあって,動き出したと聞いたことがあります。
経済界には,その責任を取って,税金をもっとたくさん払って欲しいものです。

税金の話が出ましたので,ここから少し話は脱線します(前からこれはと思っていたことです)。

司法制度改革の問題だけではないですが,昨今の政治は,経済的弱者に対しては,年金,健康保険その他公的給付は減らしたり,増税したりしてますが,法人,特に大企業・銀行に対しては,減税しているという不公平がまかり通っている気がします。

今の政治のあり方は何とかしないといけないのではないでしょうか。

それには,やはり,選挙の投票率を上げて,政治家の持っている組織票の価値を下がらせ,企業の持っている票の価値を相対的に下がらせ,浮動票の価値を上げ,政治家たちをびびらせる必要があるのではないでしょうか(昔森喜朗元首相が,総理大臣在任中に,投票率が下がって欲しいというようなことを言ってひんしゅくを買ったことがありましたよね)。

浮動票で選挙の勝負が決まるようになれば,企業べったりの選挙・政策でなくなり,もっと一般の人にやさしく・わかりやすい選挙・政策になるのではないでしょうか。
そして,本当の意味の民主主義に近づくのではないでしょうか。

ガラにもなく,少し政治的なことを書きましたが,今の政治には少し愛が足りないなと感じてならないので,思わずこのようなことを書いてしました(私自身は政治家になるつもりは全くないし,政治活動もするつもりはないですが)。
私個人としてはあまり好きではないですが,この問題の場合,力(国家権力や経済力等)には力(言論,投票等)で対抗するしかないのかなと思います。
政治家や官僚がもう少し国民全体に対する愛を持って政治をしてくれたらよいのでしょうが。

ですから,皆様,例えよくわからなくても(私自身もよくわからない),是非選挙にはめんどくさいても行くようにして下さい。
また,家族・友人。知人など多くの人に選挙に行くよう誘って下さい。
そして,政治家たちに国民からの愛のムチを入れて,目を覚まさしてあげましょう。

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