小説的人生
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小説的人生を生きるレンゲさん
レンゲさんは“欠落している部分”を自分で作っているんですよ。
どういうことですの?
清水君と別れる必要がまったくなかったのに、別れてしまったのはレンゲさんが勝手に被害妄想を起こしたからですよ。それで、アパートから出て行ってしまったんですよ。
被害妄想ではありませんわ。洋ちゃんが久美子さんと浮気をしたのです。
だから、レンゲさんが認めているように、それは浮気でしょう?本気ではないんですよ。
でも、あたしは洋ちゃんに言って欲しくない事を言われて心が傷ついたんですねん。
だから、それもレンゲさんの被害妄想ですよ。
だって、女にとって、とっても気になることを言われたんですよ。デンマンさんには、この気持ちは分かりませんわ。
(中略)
いわば清水君はレンゲさんに“筆おろし”してもらったんですよ。男にとって“筆おろし”してくれた女性のことは忘れないものですよ。しかもレンゲさんは経験豊富で男の扱いに慣れている。清水君にとってレンゲさんは理想的な人なんですよ。レンゲさんにだって清水君の気持ちが分からないわけではない。レンゲさんを傷つけようとして言ったわけではないですよ。それなのに、どうして下つきだと言われたぐらいで気にしてしまうのですか?
だって、下つきの女は淫乱な女だと言うことになっているんです。デンマンさんだってご存知でしょう?
もちろん聞いたことはあるけれど、医学的には全く根拠のないことだと言うことも知っていますよ。
でも、洋ちゃんはそう思っているんです。あたしが根っからエッチが好きな女だと思い込んでいるんです。それにデンマンさんだって。。。
僕もそう思っていると言うのですか?
だって、デンマンさんは、はっきりとおっしゃいましたわぁ~。。。。
僕が何を言ったのですか?
洋ちゃんとエッチばかりしていないで、少しは心が触れ合うような趣味を二人で見つけたらどうか。。。そう言ったのですわ。
レンゲさんが淫乱だと言ったわけではありませんよ。
でも、デンマンさんだって、あたしが洋ちゃんとエッチばかりしていると思っていますわ。
レンゲさんが僕に言ったからですよ。清水君は競馬競輪が好きで、詩など全く関心がない、小説だとか、文学的なことには全く見向きもしないので共通の話題があまりないんだって。。。清水君がレンゲさんに夢中になるのはエッチの時だけだって。。。そう、レンゲさんが言ったんですよ。

それで夜桜見物に出かけても、清水君と詩の話だとか万葉集の話などしてもちっとも聞いてくれないので、ついついペッティングになってしまって気づくと夢中になってエッチしているんだって。。。
確かに、あたし、そう言いましたけれど。。。でも、エッチばかりしていたわけではありませんわ。
。。。で、他にどういうことをしていたのですか?
だから、一緒にテレビを見るとか、。。映画を見るとか、。。。コンビニに行くとか。。。ドライブに出かけるとか。。。
そうですよ。。。そうやって二人で愛を育ててゆけばいいんですよ。でも、レンゲさんは頭のいい女の子なのに、何か気になることを言われると、その事にこだわってしまって理性が消えて飛んでしまうんですよね。今度のことだって、“下つき”と言われたぐらいでレンゲさんは気にしすぎている。清水君はレンゲさん以外に女性経験がなかったんですよ。男性週刊誌で読んだことをたまたま口にしたに過ぎないんですよ。実際には、レンゲさんが下つきなのかどうなのか分かっていないんですよ。レンゲさんだって、冷静になれば分かりそうなものなのに、つい、気になるものだから、そのことにこだわってしまう。そういうことでしょう?
。。。あたしはどうすれば良いのでしょうか?
だから、女の意地を捨てて、清水君と対話を持つことですよ。じっくりと話し合うことですよ。
『もう一度抱きしめて (2007年7月10日)』より
今度は、あたしと洋ちゃんが別れた頃の事を持ち出してきて、デンマンさんはあたしをイジメようとするのですか?
ちがいますよ。。。違いますよォ~。。。誤解しないで下さいよゥ。僕はレンゲさんが清水君と仲直りしたことを祝福するつもりでこうして1年程前のレンゲさんの悩みを思い出して欲しいと思ったのですよ。
それが、あたしを祝福することになるのですか?
そうですよ。レンゲさんが清水君と仲直りしたんだから素晴らしいことじゃないですか?
デンマンさんがそうおっしゃっても、あたしは素直には喜べませんわ。
どうしてですか?
見え見えですわ。
何が見え見えだと言うのですか?
話題を変えてあたしの矛先をかわそうとしているのですわ。
ん?。。。話題を変える?
そうですわ。とぼけないで下さいな。洋ちゃんとあたしの問題を話していたのではありませんわ。デンマンさんとあたしの問題を話していたのです。デンマンさんがあたしからめれんげさんに乗り換えることを問題にしていたのですわ。
だからねぇ、僕はレンゲさんだって素晴らしい詩を書くじゃないか、と褒めたんですよ。とても凡庸な女には書けないむき出しの愛を強烈に詠(うた)っていた。正に、炎の愛と火焔の性そのものの詩ですよ。めれんげさんだって感動していたんですよ。
あたしは。。。あたしは。。。
なんですか?
騙されませんわ。
僕が。。。僕が。。。レンゲさんを騙そうとしていると言うのですか?一体何を騙そうとしているのですか?
デンマンさんはめれんげさんと身も心も一つになっているのですわあ。
やだなあああ。。。レンゲさんには、清水君と言うれっきとしたボーイフレンドが居るじゃないですかぁ~。。。仲直りして、今では毎日愛し合っているパートナーですよ。だから、その事をレンゲさんにもはっきりと分かってもらうために上の文章を引用したのですよ。
あたしと洋ちゃんのことは、ほおって置いてくださいな。あたしはデンマンさんとあたしのことを問題にしているのですわ。
だから、レンゲさんは独占欲が強すぎるのですよ。つまり、見捨てられることが何よりも怖い。僕は別にレンゲさんをお払い箱にして、めれんげさんとこれからこの対話シリーズ『レンゲ物語』を続けようとしているのではないのですよ。めれんげさんはピンチヒッターでレンゲさんの代わりを1日勤めただけなんですよゥ~。
いいえ、それは口実で、本当はデンマンさんはあたしからめれんげさんに乗り換えたいのですわ。
やだなあああ。。。まるで僕が車を乗り換えようとしているように聞こえますよ。
だって。。。デンマンさんは、そうしようとしているのですってばあああ~。最近、めれんげさんの事ばかり書いているのが何よりの証拠ですわ。デンマンさんは絶対にめれんげさんに乗り換えようとしているのですわあああ~
違いますよ。
そうですってばああああああああ~~
分かりましたよ。初めからそのような大きな声を上げないでくださいよ。レンゲさんの気持ちが落ち着いたと言ったからこの話を始めたのですよ。
分かりましたわ。冷静になりますわ。
そうですよ。それでこそ思慮も分別も兼ね備えた熟女のレンゲさんですよ。うへへへへ。。。
見え透いたお世辞は止めて下さいな。。。それで、今日は何がおっしゃりたいのですか?
去年のクリスマスに、僕はレンゲさんが気になって次のようなメールを書いたんですよ。
送信者: "barclay1720" <barclay1720@aol.com>
宛先: "レンゲ" <renge@chan.co.jp>
件名: 愛(いと)しいレンゲさんは寂しがらずに頑張っていますか?
日時: 2006年12月25日 19:40:03

クリスマスの頃になるとレンゲさんは寂しいと言うからね
気になって書きましたよ。
最近は仕事に身を入れて寂しさを紛らわせているようだけれど、
そろそろ年貢の納め時ではないのですか?
つまり、レンゲさんが一緒に人生を歩みたいという相手を見つけたらどうですか?
レンゲさんの飽きっぽいと言う性格は充分に理解しています。
でもね、いつまでも小説的人生を夢見ながら女学生のようにルンルン気分ではいられないですよ。
僕が言うまでもなく、人生には苦あり楽ありですよね。
苦楽を共にする人生の伴侶を見つければ、
クリスマスを迎えて寂しい思いをすることもありません。
今のレンゲさんにとって最善の道は
清水君と仲直りして一緒に家庭を築くような気持ちで二人の絆を強めてゆくことですよ。
大きなお世話かもしれないけれど、
幸せになれる条件をすべて兼ね備えていると思えるレンゲさんが
同じところで足踏みしているように思えてなりません。
新年には、ぜひ人生のパートナーを見つけてくださいね。
クリスマスに寂しい思いをしないためにも。。。
じゃあね。
デンマン
これに対するレンゲさんの返事はきわめて短いものでしたよ。
送信者: "レンゲ" <renge@chan.co.jp>
宛先: "barclay1720" <barclay1720@aol.com>
件名: RE:寂しくありませんよ。 (*^_^*)キャハハハ。。。
日時: 2006年12月26日 20:24:32

うーーん...
孤独と自由は、切り離せないものでして、
誰であっても、生涯一緒にいたいとは思えないのです
すぐに束縛されてしまうような気がしてしまうのです
なので「彼氏」どまりですね
ははは...
(^Д^)
レンゲ
もう随分前のものですわ。このあたしの返信がデンマンさんには不満なのですか?気に喰わないのですか?
そうではありませんよ。僕はレンゲさんの気持ちが良く分かっているつもりですからね。ただ、ときどき矛盾することを書くことがありますよ。
上の返信の中であたしが何か矛盾していることを書いていますか?
書いていますよ。孤独と自由は切り離せない。。。確かに、そうですよ。レンゲさんの言う事に間違いは無いですよ。でもね、レンゲさんの場合には孤独が自由と結びつくよりも、孤独が寂しさと結びつく方が圧倒的に多いのですよ。だから、僕はクリスマスに上のメールをレンゲさんに書いたのですよ。
それ程、孤独と寂しさがあたしの中で切り離せないものになっていますか?