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地獄門

2014年01月07日 13時36分21秒 | 邦画1951~1960年

 ◇地獄門(1953年 日本 89分)

 英題 Hell's Gate

 別英題 The Gate of Gate

 staff 原作/菊池寛『袈裟の良人』 監督/脚本:衣笠貞之助 撮影/杉山公平 色彩指導/和田三造 技術監督/碧川道夫 美術/伊藤熹朔 助監督/三隅研次 音楽/芥川也寸志

 cast 長谷川一夫 京マチ子 山形勲 黒川弥太郎 田崎潤 千田是也 清水将夫 香川良介 澤村國太郎 殿山泰司 伊達三郎 市川男女之助

 

 ◇つまりはストーカー?

 原作を読んだことがないのでよくわからないんだけど、その題名からすると主人公は京マチ子の夫を演じた山形勲ってことになるんだけど、これってただのお人好しってことになるんじゃないのかな?

 まあどだい菊池寛だの直木三十五だのといった往年の作家について作品を読むような機会はなかなかないわけで、ことにぼくみたいな活字嫌いには縁遠い存在だから勝手な想像にしかすぎないんだけど、いったい、この物語の主題ってのはあるんだろうか?

 平清盛の厳島詣の留守を狙って起された平康の乱、その後始末が物語の背景にはなってるんだけど、実をいえば、そんな背景はあんまり関係ないわけで、戦乱の中で夫があるということを知らずに見初めてしまった女のことが忘れられずやがて夜這いして密会を重ねるんだけど結局は女を苦しませるだけのことでしかも女が夫を殺してくれと嘘をいって夫の代わりに布団に入りみずから刺されて死んでしまったために嘆き悲しんで出家し旅立つという、いつの時代でもかわまないような普遍的な劣情が主題といえば主題になってる。

 しかし、なんでこの物語がアカデミー賞の外国映画賞なんだ?

 たしかに男女のどうしようもない、いわゆる抜き差しならない恋なのかもしれない。恋に惑われてしまうことで人生をも狂わせてしまうという、人間の儚さや脆さを描いているのかもしれない。けどな~観終わったあとには決して晴れ晴れとはしないんだよな~。

 ただまあ、撮影は凄いわ。色彩もまた凄い。そういう技術的な面においてはいうことないし、世界的にも上々のレベルだってことはよくわかる。邦画の技術の高さと感性の凄さに世界が感嘆したであろうことはうなずけないこともない。

 そのあたりのことを加味すると、そうだね~、ある意味においては傑作なのかもしれないね。

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