古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四章 極月改書・その五

2011年06月12日 11時52分10秒 | 古文書の初歩

第四ページ

解読

 此次第前代聞未之事なり

 一 右異舩之儀ハ同月十八日ヨリ十月三日朝迄大坂ニ

 滞留致シ其中ニ何之変儀無之何分交易之

 願筋との様子ニ相聞へ候同三日四ツ比大坂退帆

 致同六日ニ者又候古座沖へ参り七日暁方迄此邊を

読み方

 (前から続いて)此の次第、前代未聞之事なり。

 一つ 右異舩の儀は、同月十八日より十月三日迄大阪に

 滞留致し、其の中に何の変儀これ無く、何分交易の

 願い筋との様子に、相聞こえ候。同三日、四つ頃大阪退帆

 致し、同六日には、又候(またぞろ)古座沖へ参り、七日暁方迄此の邊を

解説

 「此の次第」・・・異国舩に備えて戦闘準備をした様子。  「前代聞未」=前代未聞、原文の「聞」と「未」の間左にVの印が有りますが、これは「返り点」と言って、漢文風に下の字を先に読み、続いて上を読むと言う印・記号です。勿論、古文書にこういう印は無く、後に読んだ人が、こう読むんだよと入れたものだと思います。当時でも「未聞」と書くのが普通で、この場合は、書き間違えたのではないかと推定します。熟語では未聞ですが、意味は「未だ聞かざる」と「未」には「否定の意味も含んでいます。「聞」という文字も極端な崩し方で、これはこれで覚えましょう。   「三日朝」・・・「朝」も読みにくい字です。  「変儀」・・・変わった事。  「無之」・・・聞未と同じく、「これ無く」と読む。  「交易」・・・貿易、商取引。  「願筋」・・・願いの件。  「様子」・・・子が読みにくいですが、下のニと繋がっています。  「四つ比」・・・「比」は「頃」を崩した文字です。  「又候」・・・「またぞろ」と読む。当時の人はこういう当て字を常に使います。=またまた。  「暁方」・・・明け方。  「邊」・・・「辺」、この辺り。