第四ページ
解読
此次第前代聞未之事なり
一 右異舩之儀ハ同月十八日ヨリ十月三日朝迄大坂ニ
滞留致シ其中ニ何之変儀無之何分交易之
願筋との様子ニ相聞へ候同三日四ツ比大坂退帆
致同六日ニ者又候古座沖へ参り七日暁方迄此邊を
読み方
(前から続いて)此の次第、前代未聞之事なり。
一つ 右異舩の儀は、同月十八日より十月三日迄大阪に
滞留致し、其の中に何の変儀これ無く、何分交易の
願い筋との様子に、相聞こえ候。同三日、四つ頃大阪退帆
致し、同六日には、又候(またぞろ)古座沖へ参り、七日暁方迄此の邊を
解説
「此の次第」・・・異国舩に備えて戦闘準備をした様子。 「前代聞未」=前代未聞、原文の「聞」と「未」の間左にVの印が有りますが、これは「返り点」と言って、漢文風に下の字を先に読み、続いて上を読むと言う印・記号です。勿論、古文書にこういう印は無く、後に読んだ人が、こう読むんだよと入れたものだと思います。当時でも「未聞」と書くのが普通で、この場合は、書き間違えたのではないかと推定します。熟語では未聞ですが、意味は「未だ聞かざる」と「未」には「否定の意味も含んでいます。「聞」という文字も極端な崩し方で、これはこれで覚えましょう。 「三日朝」・・・「朝」も読みにくい字です。 「変儀」・・・変わった事。 「無之」・・・聞未と同じく、「これ無く」と読む。 「交易」・・・貿易、商取引。 「願筋」・・・願いの件。 「様子」・・・子が読みにくいですが、下のニと繋がっています。 「四つ比」・・・「比」は「頃」を崩した文字です。 「又候」・・・「またぞろ」と読む。当時の人はこういう当て字を常に使います。=またまた。 「暁方」・・・明け方。 「邊」・・・「辺」、この辺り。